急性心筋梗塞治療薬に対する新規治療薬の開発

文献情報

文献番号
201309034A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞治療薬に対する新規治療薬の開発
課題番号
H25-医療技術-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
南野 哲男(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松崎 高志(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 真田 昌爾(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 姚 香景(ヤオ シャンジン)(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 岩出 卓(東レエンジニアリング株式会社)
  • 佐藤 雄一郎(株式会社バイオメッドコア)
  • 清水 佳隆(株式会社バイオメッドコア)
  • 中村 歩(大阪大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性心筋梗塞発症数は過去20年間に2倍に増加している。繰り返して入院加療が必要な梗塞後心不全患者が増加しており、国民医療費増大の一因となっている。そのため、梗塞後心不全進展を抑制する治療法の開発は重要なアンメットニーズである。心筋梗塞による細胞死はミトコンドリアPermeability Transition Pore(mPTP)が開口し,チトクロムC の遊離により誘導される。動物実験・探索的臨床試験において、mPTP 開口阻害薬であるサイクロスポリンA(CsA)による心筋梗塞サイズ縮小効果が報告されたが、CsAは免疫抑制などの副作用を誘発するため、その臨床投与量に制限がある。以前、申請者は代表研究者として、厚生労働科研医療機器開発推進研究事業<ナノサイズリポソームを用いた急性心筋梗塞治療法の開発>で、ナノサイズリポソームが障害心筋へ特異的に集積し、リポソームに封入された心保護薬の薬効増強と副作用軽減を世界に先駆けて見出した。本研究の目的は、急性心筋梗塞に対する新しい治療薬として、リポソーム化CsA(Lipo-CsA)を開発することである。
研究方法
薬効薬理試験、薬物動態試験、GLP基準非臨床試験(安全性薬理試験・一般毒性試験)、製剤最適化、PMDA相談を実施した。
結果と考察
(1)薬効薬理試験 
ラット心筋梗塞モデルを用い、再灌流時にリポソーム化サイクロスポリン(Lipo-CsA)、またはサイクロスポリン(CsA)の静脈内単回投与を行った。低用量・高用量いずれのCsAでも心筋梗塞サイズ縮小効果を認めなかったが、低用量Lipo-CsAで著明な心筋梗塞サイズ縮小効果を認めた。本試験の成果は、非臨床試験や早期探索的臨床試験の投与量決定に活用した。
(2)薬物動態試験
3H標識CsAを封入したLipo-CsAの体内分布を定量オートラジオグラフィー法で解析し、既知のCsA体内分布と比較する。リポソーム化による心筋梗塞部位へのCsAの集積効果も検討した。
(3) 製剤最適化
GMPリポソーム製剤の組成・製造については、PMDA薬事戦略相談(対面助言)を反映し、ロット間の均一性を担保しつつ製造する。
(4) 安全性薬理試験・一般毒性試験
PMDA薬事戦略相談(対面助言)を反映し、Lipo-CsAを用いた安全性薬理コアバッテリー試験ならびに拡張型単回投与毒性試験を実施中である。
(5) PMDA相談
前臨床試験ならびに製剤の品質について、薬事戦略相談(対面助言)を実施した(平成25年11月、平成26年2月)
結論
ラット心筋梗塞モデルにおいて、低用量リポソーム化CsA(Lipo-CsA)による心筋梗塞サイズ縮小増強効果を確認した。さらに、平成25年度末までに、薬物動態試験ならびに製剤最適化を終了した。平成26年度には阪大病院薬剤部で試験薬GMPリポソーム製造装置を稼働し、平成27年度には、早期探索的臨床試験を医師主導型治験として実施する。Lipo-CsAを新規心筋梗塞治療薬としてアカデミア創薬を目指す。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
65,000,000円
(2)補助金確定額
63,923,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,077,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,318,254円
人件費・謝金 5,608,227円
旅費 715,170円
その他 29,281,689円
間接経費 15,000,000円
合計 63,923,340円

備考

備考
事業進捗の遅れにより、購入不要となったため。

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-