RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌に対する新規治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201309022A
報告書区分
総括
研究課題名
RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌に対する新規治療法の確立に関する研究
課題番号
H24-被災地域-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 功一(独立行政法人国立がん研究センター 東病院 呼吸器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 葉 清隆(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 早期・探索臨床研究センター 先端医療科)
  • 河野隆志(独立行政法人 国立がん研究センター研究所ゲノム生物学研究分野)
  • 蔦 幸治(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 診断病理)
  • 土原 一哉(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 早期・探索臨床研究センター トランスレーショナルリサーチ分野 分子生物学)
  • 石井 源一郎(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 臨床腫瘍病理分野)
  • 松本 慎吾(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 早期・探索臨床研究センター トランスレーショナルリサーチ分野)
  • 大津 敦(独立行政法人  国立がん研究センター東病院 早期・探索臨床研究センター 消化器腫瘍内科学)
  • 山中 竹春(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 早期・探索臨床研究センター トランスレーショナルリサーチ分野 先端医療開発支援室 生物統計学)
  • 佐藤 暁洋(独立行政法人 国立がん研究センター東病院  早期・探索臨床研究センター 臨床試験支援室)
  • 大江 裕一郎(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 腫瘍内科学)
  • 田村 友秀(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 肺がん化学療法 新薬臨床開発)
  • 村上 晴泰(静岡県立静岡がんセンター 肺癌化学療法)
  • 瀬戸貴司(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 腫瘍内科)
  • 西尾 誠人(公益財団法人がん研究会有明病院 肺癌化学療法)
  • 里内 美弥子(兵庫県立がんセンター)
  • 野上 尚之(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 呼吸器がん)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成24年に新たに発見され、その頻度が肺癌の約1%と希少なRET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌(RET肺癌)を対象に、国内未承認の医薬品であるRETチロシンキナーゼ阻害薬 Vandetanib(治験成分記号:ZD6474)の多施設共同非無作為化非盲検第II相試験を医師主導治験として実施し、Vandetanibの薬事承認申請を目指す。
研究方法
全国規模の遺伝子診断ネットワークLung Cancer Genomic Screening Project for Individualized Medicine in Japan (LC-SCRUM-Japan)においてRET肺癌のスクリーニングを行い、医師主導治験である「RET融合遺伝子陽性の局所進行/転移性非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象としたVandetanib(ZD6474)の多施設共同非無作為化非盲検第II相試験」へ登録する。プライマリーエンドポイントは奏効割合、予定登録数17例、登録期間2年、追跡期間1年とした。
結果と考察
【遺伝子診断ネットワークの構築】平成24年10月に「RET融合遺伝子陽性肺癌の臨床病理学的、分子生物学的特徴を明らかにするための前向き観察研究」の研究計画書を作成し、本研究に基づいたRET融合遺伝子陽性肺癌のスクリーニング組織として、Lung Cancer Genomic Screening Project for Individualized Medicine in Japan (LC-SCRUM-Japan)を組織し、平成25年2月7日より遺伝子スクリーニングを開始した。平成26年4月30日現在、LC-SCRUM-Japanには46都道府県から165施設が参加し、予定通り全国規模の遺伝子診断ネットワークが構築されている。これまでLC-SCRUM-Japanには734例の登録があり、648例の遺伝子解析を行った結果、23例のRET肺癌が発見され、更に、同様に希少なROS1融合遺伝子陽性肺癌27例、ALK融合遺伝子陽性肺癌16例もスクリーニングされている。
【Vandetanibの医師主導治験】医師主導治験が実施可能な7施設(国立がん研究センター東・中央病院、がん研有明病院、静岡がんセンター、兵庫県立がんセンター、四国がんセンター、九州がんセンター)で治験実施組織を構築した。平成24年12月に「RET融合遺伝子陽性の局所進行/転移性非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象としたVandetanib(ZD6474)の多施設共同非無作為化非盲検第Ⅱ相試験」の治験実施計画書が完成した。平成24年11月19日にPMDAの薬事戦略相談を受け、平成25年1月29日に治験計画届けを厚生労働省へ提出し、2月21日に患者登録を開始した。平成26年4月30日までに、LC-SCRUM-Japanでスクリーニングされた23例のRET肺癌のうち12例が本治験に登録されている。
【コンパニオン診断薬の開発】本年度は、KIF5B/CCDC6-RET融合全8バリアントを検出するRT-PCRスクリーニング系および、RET座の再構成を検出するbreak-apart FISH及びKIF5B-RET融合を検出するfusion FISHスクリーニング系を構築した。これらと並行して、RET融合遺伝子を含む複数の肺癌ドライバー変異を一度にかつ迅速に検出できるmultiplex遺伝子診断法の開発も行っており、微量のゲノムDNA(50ng~)から、ターゲットキャプチャーを用いて目的ゲノム領域を濃縮し、次世代シーケンサーで変異を検出するキットの開発が進行中である。これまでに既知の遺伝子変異をもつ約30の細胞株や臨床検体で正確に遺伝子変異の検出が可能であった。これらの結果をもとに薬事法承認をめざす体外診断薬キットの開発を開始している。
結論
本研究では、平成24年3月に我が国で発見された肺癌の新規遺伝子異常であるRET融合遺伝子の臨床応用を目指している。平成25年度は、全国規模の遺伝子診断ネットワークであるLC-SCRUM-Japanをもとに、実際の臨床検体を用いたRET肺癌の遺伝子スクリーニングを実施している。その結果、平成26年4月30日現在、RET肺癌23例がスクリーニングされ、このうち12例がVandetanibの医師主導治験に登録されている。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
104,000,000円
(2)補助金確定額
104,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,821,155円
人件費・謝金 3,297,176円
旅費 1,559,630円
その他 72,322,745円
間接経費 24,000,000円
合計 104,000,706円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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