再発卵巣癌・卵管癌・腹膜癌の予後改善のための新たな治療法確立のための研究

文献情報

文献番号
201309016A
報告書区分
総括
研究課題名
再発卵巣癌・卵管癌・腹膜癌の予後改善のための新たな治療法確立のための研究
課題番号
H24-臨研推-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 恵一(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 板持 広明(鳥取大学 医学部)
  • 笠松 高弘(国立がん研究センター 婦人腫瘍科 )
  • 波多江 正紀(鹿児島市立病院 産婦人科)
  • 道前 洋史(北里大学 薬学部)
  • 落合 和徳(東京慈恵会医科大学 産婦人科)
  • 高野 忠夫(東北大学病院臨床研究推進センター プロトコール作成支援部門)
  • 杉山 徹(岩手医科大学 医学部)
  • 野河 孝充(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 婦人科)
  • 万代 昌紀(近畿大学 医学部)
  • 櫻木 範明(北海道大学病院 婦人科)
  • 榎本 隆之(新潟大学 医歯学総合研究科遺伝子制御部門)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
  • 青谷恵利子(北里大学 臨床研究機構)
  • 平田英司(広島大学 産科婦人科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
上皮性卵巣癌は初回化学療法によく奏効するものの、半数以上の症例が再発する。治療後6カ月以上経過して再発するものを化学療法感受性再発例として取り扱い、現時点ではパクリタキセルとカルボプラチン併用療法が標準化学療法である。しかし、再発後の生存期間の中央値は約2年と予後不良であるので、延命効果に寄与する薬物療法の開発が求められている。Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブ(Bev)は再発卵巣癌、腹膜癌、卵管癌に対して行われた第2相試験において高い有効性を示している。最近、2つのランダム化第3相比較試験(GOG-0218,ICON-7)の成績が報告され、初発進行上皮性卵巣癌・腹膜癌に対するパクリタキセルとカルボプラチン併用(TC)療法にBevの上乗せおよび維持療法が有意に無病生存率を改善することが明らかとなった。本研究はそれに続く世界初の再発卵巣癌・腹膜癌・卵管癌に対するBev投与のランダム化第3相試験(GOG213試験)であり、TC療法にBevの併用およびBevの維持療法としての有用性を検証する。同時に、再発癌に対する手術療法の有用性を評価する意欲的な研究である。
本試験は先進医療(旧高度医療評価制度)の下で遂行する。
研究方法
本試験の対象症例は、プラチナフリー期間6ヶ月以上のプラチナ感受性再発卵巣癌、卵管癌、腹膜癌である。研究者が、再発腫瘍が摘出手術の候補と考えられた場合は、手術を行うかどうかのランダム化の対象となる。そのいずれに割り付けられた場合も、手術適応症例でない場合のいずれも、化学療法としてTC療法 対 TC+Bevのランダム化が行われる。目標症例は、GOG全体で927例(うち手術ランダム化症例267例)、我が国から、50例登録を目標とする。
本試験は、北里大学臨床研究機構臨床試験コーディネーティング部の管理の下、GOG Japan施設で遂行し、すべてのデータは米国GOG Data Centerに送られ、独立したデータ管理と統計解析を行う。
本試験は、臨床研究に関する倫理指針に則り施行される。候補患者への説明は各施設の倫理委員会で承認された説明文を用い、文書で同意を得る。患者には、同意の自由、同意撤回の自由、本試験参加による利益、不利益を伝える。個人情報は適切に管理される。利益相反は各施設によって審査管理される。
結果と考察
【研究結果】本試験は、米国GOGでは2008年9月に開始された(NCT00565851)。
本邦においては、BevはNCIから輸入されたものを使用するので、患者には無償提供出来るよう、2009年より高度医療評価制度(現先進医療)への申請を行い、2010年1月29日に開催された高度医療評価会議において本研究が承認され、引き続き2010年4月16日に開催された先進医療専門家会議において承認された。その後、13施設で開始した。現在日本からの登録症例数は41例である。
 米国全体では現在までに771例が登録されている。Bev投与のランダム化対象登録症例数はすでに目標を達成(674例)したため、2011年8月より、手術施行のランダム化のみが行われるようになり、プロトコルが改訂された。これらの症例に対しては、希望のある患者には全員Bevが使用出来ることとなっている。
【考察】 卵巣癌は初回治療によく奏効するものの、半数以上の症例が再発し、その予後は極めて不良であり、再発卵巣癌に対して高い抗腫瘍効果が得られ、延命効果に寄与する薬物療法の開発が強く求められる。
われわれは、GOG-0218第3相試験を、医師主導治験として行った実績を生かし、それに続く取り組みを行った。本研究は高度医療評価制度の承認を受け、第3項先進医療として国内13医療機関において実施している。しかも米国NCIから無償提供された試験薬を輸入して実施する我が国発の国際共同試験である。
すなわち、本試験は我が国の新しい臨床試験制度に基づき、さらに米国NCIから輸入した試験薬を用いて行う、我が国発の国際共同ランダム化比較試験であることに重要な意義がある。
結論
世界初の再発上皮性卵巣癌・腹膜癌・卵管癌に対するTC療法にベバシズマブ投与を加える有用性を検証するランダム化第3相試験を、米国NCIから無償提供された試験薬を輸入して実施する国際共同試験として、我が国における新たな臨床試験制度である高度医療評価制度の承認を受け、第3項先進医療として国内13医療機関において実施している。一日も早い登録終了を目指し、結果を得ることが肝要である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
39,000,000円
(2)補助金確定額
38,694,000円
差引額 [(1)-(2)]
306,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 587,203円
人件費・謝金 8,630,347円
旅費 4,181,862円
その他 16,295,429円
間接経費 9,000,000円
合計 38,694,841円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
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