文献情報
文献番号
201309012A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心不全を対象とする脂肪組織由来多系統前駆細胞による心筋再生細胞医薬品の開発
課題番号
H24-臨研推-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松山 晃文(国立大学法人大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
研究分担者(所属機関)
- 宮川 繁(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
- 早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国心不全による年間死亡数は約4万3千人であり、その多くが末期虚血性心疾患による。重篤な虚血性心疾患・心筋梗塞症例に選択される冠動脈バイパス術によっても、残存心筋細胞の枯渇により治療効果が得られない症例(poor-responder)が存在する。そのため、サイトカイン効果による血管新生を期待した第1世代の再生医療を超えた、枯渇した心筋細胞を再生する第2世代の再生医療が待たれている。本研究の目的は、重症心不全を対象疾患とし、冠動脈バイパス術poor-responderに適用する自己由来細胞製剤の開発である。
研究方法
研究は、①有効性用量設定試験、②頻回投与有効性蓄積試験、③Confidence-in-Mechanism検証、④安全性検証、⑤品質検証、⑥プロトコール関連文書作成、の6項目をWorking Breakdown Structure (WBS)として設定し、研究開発を進めることとした。
結果と考察
1. 有効性検証:己脂肪組織由来多系統前駆細胞は、薬剤添加24時間培養により心筋指向細胞へとcommitmentする。当該細胞を有効成分とする細胞製剤の有効性用量は、冠動脈形成術・冠動脈バイパス術poor-responderの重症心不全の病態を反映したブタ心筋梗塞モデルを用いたところ3x10^5 cells/kgである。凍結保存細胞製剤を解凍後非洗浄にて投与しても、有効性(EF)は低下せず、本細胞製剤の長期保存の可能性を示唆する結果を得た。
2. 安全性検証:安全性試験(毒性試験)の実施を目指し、単回投与毒性試験(安全性薬理併合試験)を実施した。洗浄細胞製剤および非洗浄細胞製剤のいずれでも有効性用量の3倍量の投与で不整脈など安全性上の懸念すべき事象は発生せず、本細胞製剤はヒト幹細胞臨床研究あるいは治験開始にむけ安全性は克服したといえる。
3. 品質(製造)検証:薬事法第42条基準である生物由来原料基準に適合しないLife Technologies社のKnockOut Serum Replacementの代替品を見出し、売血由来のトランスフェリンも遺伝子組み換えへの変更の目途がたち、verificationの実施にむけた検討を開始している。
4. プロトコール関連文書作成:薬食審査発0420第1号治験通知を参考に、治験届関連文書作成を開始した。具体的には、治験薬概要書、治験計画書、製品標準書、標準手順書、製造指図書・記録書および三管理基準書の作成を行い、製品標準書、標準手順書、製造指図書・記録書のドラフトは完成した。薬事法第42条基準適合の後の修正、治験届に記載する治験実施責任医師の確定は課題であるが、平成26年度中のヒト幹細胞臨床研究ないし治験の開始が十分射程に入っている。
これら試験結果は、自己由来細胞製剤・細胞調製物としてヒト幹細胞臨床研究を目指している大阪大学大学院医学系研究科先進心血管治療学講座と情報共有するとともに、同種脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いる心筋再生細胞製剤を薬事法下にて開発を目指している研究機関と共有することとした。本年度までの試験結果から安全性・有効性は確認されたと言える。
2. 安全性検証:安全性試験(毒性試験)の実施を目指し、単回投与毒性試験(安全性薬理併合試験)を実施した。洗浄細胞製剤および非洗浄細胞製剤のいずれでも有効性用量の3倍量の投与で不整脈など安全性上の懸念すべき事象は発生せず、本細胞製剤はヒト幹細胞臨床研究あるいは治験開始にむけ安全性は克服したといえる。
3. 品質(製造)検証:薬事法第42条基準である生物由来原料基準に適合しないLife Technologies社のKnockOut Serum Replacementの代替品を見出し、売血由来のトランスフェリンも遺伝子組み換えへの変更の目途がたち、verificationの実施にむけた検討を開始している。
4. プロトコール関連文書作成:薬食審査発0420第1号治験通知を参考に、治験届関連文書作成を開始した。具体的には、治験薬概要書、治験計画書、製品標準書、標準手順書、製造指図書・記録書および三管理基準書の作成を行い、製品標準書、標準手順書、製造指図書・記録書のドラフトは完成した。薬事法第42条基準適合の後の修正、治験届に記載する治験実施責任医師の確定は課題であるが、平成26年度中のヒト幹細胞臨床研究ないし治験の開始が十分射程に入っている。
これら試験結果は、自己由来細胞製剤・細胞調製物としてヒト幹細胞臨床研究を目指している大阪大学大学院医学系研究科先進心血管治療学講座と情報共有するとともに、同種脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いる心筋再生細胞製剤を薬事法下にて開発を目指している研究機関と共有することとした。本年度までの試験結果から安全性・有効性は確認されたと言える。
結論
平成25年度にあっては特に、①凍結保存細胞をon siteにて解凍し、非洗浄にて投与しても有効性の低下を認めないことを確認した。④安全性薬理一般毒性併合試験にて、凍結保存細胞をon siteにて解凍し、非洗浄にて投与しても、不整脈を含む安全性上の問題は生じないことを確認した。平成26年度にあっては、ヒト幹細胞臨床研究あるいは治験届提出に向け、臨床試験関連文書の作成を継続する。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
-