文献情報
文献番号
201309010A
報告書区分
総括
研究課題名
ボルテゾミブによる成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)救援療法の医師主導治験
課題番号
H23-臨研推-一般-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
石塚 賢治(福岡大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 宇都宮 與(慈愛会今村病院分院)
- 日高 道弘(国立病院機構熊本医療センター)
- 石田 高司(名古屋市立大学 医学部)
- 勝屋 弘雄(福岡大学 医学部)
- 吉満 誠(鹿児島大学 医学部)
- 野田 慶太( 福岡大学 医学部 )
- 田村 和夫( 福岡大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブの再発・難治性ATLに対する有効性を臨床第Ⅱ相試験(医師主導治験)で検討し、本剤の製造販売承認一部変更承認(効能追加)を目指すとともに、本研究に参加した医療機関が今後も継続的に新たな医師主導治験を実施するユニットとして機能する体制を構築する。
研究方法
【患者選択基準】急性型、リンパ腫型、または予後不良因子を持つ慢性型ATLと診断後、1レジメン以上の化学療法を受け、再発あるいは再燃した20歳以上で、ECOG performance status 0~2の患者
【治療計画】ボルテゾミブ1.3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間(1,4,8,11日目)静脈内に投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。これを1サイクルとし8サイクル繰り返す。
【評価項目】主要評価項目;抗腫瘍効果(総合最良効果)、副次評価項目:安全性、抗腫瘍効果(部位別最良効果)、無増悪生存期間、血清LDH、血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)、末梢血HTLV-1 provirus DNA量
【目標症例数と設定根拠】25例(第1段階15例、第2段階10例)【設定根拠】ボルテゾミブによる奏効率を25~30%と期待し、期待値を25%、閾値奏効率を5%と設定する。Southwest Oncology Group(SWOG)の2ステージデザインにもとづくものとし、閾値5%、期待値25%、α=0.055(片側)、1-β=0.9のもとで算出した。
【中間解析、最終解析の判断基準】登録例数が15例に達した時点で、症例登録を一時中断し、抗腫瘍効果および安全性に関する中間解析を行う。抗腫瘍効果に関する中間解析では、仮説HA:「真の奏効率が25%以上である」に対する検定を行う。この検定の有意水準は、SWOGデザインに従ってα=0.02(片側)とする。15例中奏効例が1例も観察されなければ、仮説HAを棄却し本試験対象集団に対するボルテゾミブ療法は無効であると結論する。
第1ステージでHAが棄却されない場合、第2ステージとして10例を集積し最終解析を実施する。最終解析では、仮説H0:「真の奏効率が5%以下である」を検定する。この検定の有意水準は、SWOGデザインに従ってα=0.055(片側)とする。25例中4例以上の奏効が観察されれば、仮説H0を棄却して、ボルテゾミブの有効性を主張し、製造販売会社に対し、製造販売承認事項一部変更承認申請を行うことを促す。奏効数が25例中3例以下に留まれば、仮説H0を受容して、ボルテゾミブは無効であると結論する。
【治療計画】ボルテゾミブ1.3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間(1,4,8,11日目)静脈内に投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。これを1サイクルとし8サイクル繰り返す。
【評価項目】主要評価項目;抗腫瘍効果(総合最良効果)、副次評価項目:安全性、抗腫瘍効果(部位別最良効果)、無増悪生存期間、血清LDH、血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)、末梢血HTLV-1 provirus DNA量
【目標症例数と設定根拠】25例(第1段階15例、第2段階10例)【設定根拠】ボルテゾミブによる奏効率を25~30%と期待し、期待値を25%、閾値奏効率を5%と設定する。Southwest Oncology Group(SWOG)の2ステージデザインにもとづくものとし、閾値5%、期待値25%、α=0.055(片側)、1-β=0.9のもとで算出した。
【中間解析、最終解析の判断基準】登録例数が15例に達した時点で、症例登録を一時中断し、抗腫瘍効果および安全性に関する中間解析を行う。抗腫瘍効果に関する中間解析では、仮説HA:「真の奏効率が25%以上である」に対する検定を行う。この検定の有意水準は、SWOGデザインに従ってα=0.02(片側)とする。15例中奏効例が1例も観察されなければ、仮説HAを棄却し本試験対象集団に対するボルテゾミブ療法は無効であると結論する。
第1ステージでHAが棄却されない場合、第2ステージとして10例を集積し最終解析を実施する。最終解析では、仮説H0:「真の奏効率が5%以下である」を検定する。この検定の有意水準は、SWOGデザインに従ってα=0.055(片側)とする。25例中4例以上の奏効が観察されれば、仮説H0を棄却して、ボルテゾミブの有効性を主張し、製造販売会社に対し、製造販売承認事項一部変更承認申請を行うことを促す。奏効数が25例中3例以下に留まれば、仮説H0を受容して、ボルテゾミブは無効であると結論する。
結果と考察
今年度は新規に鹿児島大学を治験実施施設として追加し、合計5施設となった。5例(福岡大学2例、熊本医療センター・名古屋市立大学・鹿児島大学各1例)が新規登録され、第一段階15例が終了した。今後、事前に計画されていた通り中間解析を行い、第二段階に進むかどうかを決定する。
今年度に治験が実施された5例で発生した重篤な有害事象は、低ナトリウム血症の1件のみであった。治験薬との関連があるかもしれないと判断したが回復している。有害事象に関しては、治験調整委員会・治験薬提供者・他施設の責任医師への当局規定に従った迅速な報告と、電子メールでの周知・検討を行った。
開発業務受託機関(CRO)によるモニタリングは現在本研究に参加している5医療機関とも随時実施され、GCPに準拠した品質の治験を実施していることを確認している。
昨年度は年間3例の患者登録であったが、今年度は第一段階が終了し、患者登録をいったん中止するまでの8か月間で5例が登録された。これは施設数追加の効果もあるが、2012年5月末に本治験の対象患者群に保険適用を有する新規治療薬が上市され、実臨床に変化があった影響が大きい。当該新規治療薬上市後は、本治験登録に優先して当該新規治療薬の投与が行われたためと考えられ、臨床的にも倫理的にもやむを得なかった事象であると考える。今年度の新規登録5例中、4例が上市された当該新規治療薬の投与後に再増悪し、本治験に登録された症例であった。
医師主導治験実施体制については、治験参加施設内での治験をサポートする体制が充実し、医師主導治験実施のハードウエア、ソフトウエアを確立することができたと考える。しかしながら、企業の開発治験で医療機関に支払われる受託研究費は医療機関の収入源の一つとなっている背景もあって、それに相応するインセンティブのない医師主導治験は参加施設全体の理解が必要であった。
今年度に治験が実施された5例で発生した重篤な有害事象は、低ナトリウム血症の1件のみであった。治験薬との関連があるかもしれないと判断したが回復している。有害事象に関しては、治験調整委員会・治験薬提供者・他施設の責任医師への当局規定に従った迅速な報告と、電子メールでの周知・検討を行った。
開発業務受託機関(CRO)によるモニタリングは現在本研究に参加している5医療機関とも随時実施され、GCPに準拠した品質の治験を実施していることを確認している。
昨年度は年間3例の患者登録であったが、今年度は第一段階が終了し、患者登録をいったん中止するまでの8か月間で5例が登録された。これは施設数追加の効果もあるが、2012年5月末に本治験の対象患者群に保険適用を有する新規治療薬が上市され、実臨床に変化があった影響が大きい。当該新規治療薬上市後は、本治験登録に優先して当該新規治療薬の投与が行われたためと考えられ、臨床的にも倫理的にもやむを得なかった事象であると考える。今年度の新規登録5例中、4例が上市された当該新規治療薬の投与後に再増悪し、本治験に登録された症例であった。
医師主導治験実施体制については、治験参加施設内での治験をサポートする体制が充実し、医師主導治験実施のハードウエア、ソフトウエアを確立することができたと考える。しかしながら、企業の開発治験で医療機関に支払われる受託研究費は医療機関の収入源の一つとなっている背景もあって、それに相応するインセンティブのない医師主導治験は参加施設全体の理解が必要であった。
結論
多施設で医師主導治験を実施する上での問題点と方向性を明らかにし、希少難治性疾患の治療開発における問題点を明確にすることができた。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
-