文献情報
文献番号
201309007A
報告書区分
総括
研究課題名
小児固形腫瘍領域で欧米臨床導入済みの国内適応外抗腫瘍薬のエビデンス確立のための研究
課題番号
H23-臨研推-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
小川 淳(新潟県立がんセンター新潟病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 河本 博(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
- 麦島 秀雄(日本大学医学部総合科学研究所 )
- 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
- 菊田 敦(福島県立医科大学臨床腫瘍センター 小児腫瘍部門)
- 多賀 崇(滋賀医科大学 小児科)
- 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
- 岡本 康裕(鹿児島大学医学部・歯学部附属病院小児診療センター 小児科)
- 山田 健志(愛知県がんセンター愛知病院 整形外科)
- 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター 小児科)
- 稲垣 二郎(国立病院機構九州がんセンター 小児科)
- 細野 亜古(国立がん研究センター東病院 小児科)
- 吉村 健一(神戸大学医学部附属病院臨床研究推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1.ドラッグラグの解消
本邦では小児固形腫瘍に対する抗腫瘍薬の本格的な国内企業治験は皆無で、再発治療だけでなく初発治療にもトポテシン(TPN)、テモゾロミド(TMZ)、ビノレルビン(VNL)等の新規薬剤を導入することが出来ず欧米の標準治療の実施が不可能になりつつある。そこで本研究班では小児固形腫瘍に対して欧米で臨床導入済みの国内適応外抗腫瘍薬に対してエビデンス収集をおこなうための臨床試験を計画、実施する。
2.小児固形腫瘍新規治療薬の開発スキームの確立
小児固形腫瘍は希少がんであるので国内エビデンス確立のために、欧米試験の追試を特に非比較下で行うことは、グローバルでは損失に近い。臨床導入対象の薬剤の欧米での開発相に適した未検討の研究課題の解消に貢献しうるエビデンスを発信する。
本邦では小児固形腫瘍に対する抗腫瘍薬の本格的な国内企業治験は皆無で、再発治療だけでなく初発治療にもトポテシン(TPN)、テモゾロミド(TMZ)、ビノレルビン(VNL)等の新規薬剤を導入することが出来ず欧米の標準治療の実施が不可能になりつつある。そこで本研究班では小児固形腫瘍に対して欧米で臨床導入済みの国内適応外抗腫瘍薬に対してエビデンス収集をおこなうための臨床試験を計画、実施する。
2.小児固形腫瘍新規治療薬の開発スキームの確立
小児固形腫瘍は希少がんであるので国内エビデンス確立のために、欧米試験の追試を特に非比較下で行うことは、グローバルでは損失に近い。臨床導入対象の薬剤の欧米での開発相に適した未検討の研究課題の解消に貢献しうるエビデンスを発信する。
研究方法
上記目的の達成のために先進医療B制度で2臨床試験を計画した。
試験1: 再発小児固形腫瘍に対するTPとIFO併用療法(TI療法)の第I/II相臨床試験の第II相
目的: 小児~若年成人期の固形腫瘍患者のうち、再発早期例に対して、TI療法の有効性・安全性を評価する。
背景: 欧米の再発標準薬であるTPNの適応拡大を最終目標とし、米国で開発されたTC療法に対して、一般にCYより再発症例に有効とされる同系統薬IFOに替えることでより有効なレジメンを開発する。
試験2: 再発小児固形腫瘍に対する低侵襲性外来治療VNL+CY対 TMZ+VPランダム化第II相試験
目的: 増悪・再発後で既存薬の治療適応のない小児~若年成人期の固形腫瘍患者に対して、外来治療可能な2レジメン(VNR+CY、TMZ+VP)についてそれぞれの有効性について検討する。
背景: 欧米でTPNにつぐ再発時の頻用薬で後期開発にある国内未導入・適応外薬のVNL、TMZの2剤について外来緩和療法としての有用性を検討する。
試験1: 再発小児固形腫瘍に対するTPとIFO併用療法(TI療法)の第I/II相臨床試験の第II相
目的: 小児~若年成人期の固形腫瘍患者のうち、再発早期例に対して、TI療法の有効性・安全性を評価する。
背景: 欧米の再発標準薬であるTPNの適応拡大を最終目標とし、米国で開発されたTC療法に対して、一般にCYより再発症例に有効とされる同系統薬IFOに替えることでより有効なレジメンを開発する。
試験2: 再発小児固形腫瘍に対する低侵襲性外来治療VNL+CY対 TMZ+VPランダム化第II相試験
目的: 増悪・再発後で既存薬の治療適応のない小児~若年成人期の固形腫瘍患者に対して、外来治療可能な2レジメン(VNR+CY、TMZ+VP)についてそれぞれの有効性について検討する。
背景: 欧米でTPNにつぐ再発時の頻用薬で後期開発にある国内未導入・適応外薬のVNL、TMZの2剤について外来緩和療法としての有用性を検討する。
結果と考察
試験1
2013年1月に35例を持って登録を終了した。追跡期間2014年11月のモニタリング・追跡にて終了。トポテカンに対して2013年1月31日薬食審医薬品第二部会にて公知申請が了承され、その後6月に小児悪性固形腫瘍に対して効能又は効果の追加承認が行われた。そのため高度医療の申請は取り下げた。
試験2
2013年6月に全75例の登録予定数の68例が集積された時点で登録を終了した。2014年6月に追跡期間を終了して解析を施行する予定である。先進医療Bを目指してプロトコール改訂、事前相談を行った。しかし小児がん患者は小児慢性特定疾患の制度により医療費が免除されている。また試験薬は製薬会社からの提供および本科学研究費で購入して賄っている。そのため先進医療B制度下に臨床試験を行うと新たに高額の患者自己負担が発生することが判明した。またVNRは製薬会社から提供を受ける手開始したが、再審査期間が終了して後発品が発売されており、先発メーカーが適応拡大のため費用を負担することにメリットは少なく積極的ではない。以上の2点が障害となり先進医療Bでの実施が実現できなかった。
2013年1月に35例を持って登録を終了した。追跡期間2014年11月のモニタリング・追跡にて終了。トポテカンに対して2013年1月31日薬食審医薬品第二部会にて公知申請が了承され、その後6月に小児悪性固形腫瘍に対して効能又は効果の追加承認が行われた。そのため高度医療の申請は取り下げた。
試験2
2013年6月に全75例の登録予定数の68例が集積された時点で登録を終了した。2014年6月に追跡期間を終了して解析を施行する予定である。先進医療Bを目指してプロトコール改訂、事前相談を行った。しかし小児がん患者は小児慢性特定疾患の制度により医療費が免除されている。また試験薬は製薬会社からの提供および本科学研究費で購入して賄っている。そのため先進医療B制度下に臨床試験を行うと新たに高額の患者自己負担が発生することが判明した。またVNRは製薬会社から提供を受ける手開始したが、再審査期間が終了して後発品が発売されており、先発メーカーが適応拡大のため費用を負担することにメリットは少なく積極的ではない。以上の2点が障害となり先進医療Bでの実施が実現できなかった。
結論
本研究の主目的であるドラッグ・ラグの解消と小児固形腫瘍新規治療薬の開発スキームの確立にむけて、2つの臨床試験を実施した。従来本邦においては小児悪性腫瘍再発・難治例を対象にした適応外薬を用いた新規治療開発のシステムが未成熟であったが本試験の計画から実施を通じて試験体制の充実が計られた。結果として二つの試験からグローバルなエビデンス収集が得られている。しかし小児固形腫瘍新規治療薬の開発を先進医療B下に施行するにあたっての障害も明らかになりより実際的なスキームの開発が課題として残された。
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
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