医工連携人材育成プログラムの研究

文献情報

文献番号
201308022A
報告書区分
総括
研究課題名
医工連携人材育成プログラムの研究
課題番号
H24-医療機器-指定-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
竹之下 誠一(公立大学法人福島県立医科大学 医学部器官制御外科)
研究分担者(所属機関)
  • 小原 勝敏(公立大学法人福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部)
  • 錫谷 達夫(公立大学法人福島県立医科大学 医学部微生物学)
  • 大木 進司(公立大学法人福島県立医科大学 医学部器官制御外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医療機器の開発試作工程を、「医工連携OJTモデル」としてモデル化した「医工連携人材育成プログラム」を開発することである。本研究の特徴的な視座は、「医療研究seedsの産業化」の視点ではなく「医療現場のneedsを、工学的視点から製品へと展開・再構成する医療機器の製品化アプローチ(医工連携OJTモデル)」である。すなわち、医療現場のneedsの一例である消化管内視鏡改良型鉗子の開発試作と、改良型鉗子の評価のための疑似静脈瘤が装着可能な胃モデルの製作、内視鏡鉗子と関連する内視鏡洗浄システムの効率化にも寄与しうる内視鏡孔の新たな洗浄手法を評価・実験を実施し、人材育成プログラムとして最終的に構成する。
研究方法
「医療現場needs」から「製品開発過程」を経て「安全性評価・動物実験」にまで至る開発工程を、製品企画段階から試作・安全評価・動物実験に至るまでの製品化プロセスとして、実際の試作事例を踏まえて「ニーズ/要求実装技術/設計指針(背景技術、解決課題、実現形態)/特許事項/薬事事項」まで、医工連携OJTモデルの中核として定義・作成し、電子カリキュラムとして構築する枠組みを作成した。実際の試作事例として、「消化器官内視鏡鉗子の改良型静脈瘤穿刺・止血鉗子の第一次試作及び安全評価」を、「製品要求(ニーズ)→利用技術(要求実装技術)→製品使用(設計指針前段階)→製品試作(設計指針後段階)」の各段階における医工連携OJTモデルの製品試作の実施手順にもとづいて並行的に実施した。また、内視鏡改良型鉗子の評価実験のため、「疑似静脈瘤が装着可能な胃モデルの作成」を実施した。
結果と考察
内視鏡改良型鉗子の試作として、食道静脈瘤の内視鏡的治療法である食道静脈瘤硬化療法(EIS)のデバイスの問題点を解決する「食道・胃静脈瘤処置時の止血鉗子と静脈瘤穿刺針との機能が統合された改良型鉗子」の第一次試作と安全評価を実施した。試作として、H24年度の研究成果である複数の方式設計(鉗子一体型、バルーン型、エンドリフター型)を制作し評価実験を実施した。評価実験の結果、第二次試作として「バルーン型」鉗子を選定し、今回の評価実験で提示された課題の解決をH26年度に行う。また、前述の評価実験のため、疑似静脈瘤が装着可能な胃モデルの製作も行い、第一次試作としてウレタンゲルを使用した胃モデルと疑似静脈瘤を制作した。
試作工程において、医工連携OJTモデルとの比較検証を行ったが、「知識データベースを作り、知識を伝達すべき」という考え方、すなわちデータベースを効果的に設計したとしても、その効果は、情報の「伝達・共有・仲介」という人間が介在するネットワークに依存することが、本研究の育成プログラム構成の過程でも強く意識された。すなわち「共有すべき知識」の仲介機能(組織のネットワークとコミュニティー)の構築が非常に重要である。さらに重要な事項として、実際の失敗を仮想的ではあっても体験しうるプログラムである必要がある。「共有すべき知識」の仲介機能として、具体的な失敗を通じたコミュニケーションほど有効なものはなく、こうしたチームとしての議論に耐えうるためには、製品化を前提とした実際の試作にもとづいた事例を基本とした人材育成プログラムであることが重要である。
結論
当研究により期待される成果は、医工連携の教育促進を科学的に推進するための人材育成プログラムである。今年度の研究過程のなかで、福島県立医科大学の経験的開発事例としても蓄積される「医工連携OJTモデル」による実際の開発試作を、静脈瘤穿刺・止血の開発試作により、実施することができ、また電子カリキュラム化するための事例としてまとめることもできた。この具体的な試作事例を通じたOJTモデルの確立により、今後の医療機器開発・事業化において重要となる医工連携分野の大学教育・社会人教育・企業教育において標準的カリキュラムとしても利用可能な育成プログラムが可能となる。またこうした事例、及びプログラムは、医療従事者および企業における技術・製品開発・市場開発の従事者の今後の教育を、実際の医療現場のニーズに基づく機器開発のための大学カリキュラム及び企業内教育と関連づけて効果的に実施していくための事例・材料を提供していくこともできる。
またあわせて今年度の最終試作候補として選択された「バルーン型静脈瘤穿刺・止血鉗子」試作事例の製品化・上市に向けた活動を積極的に推進する。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201308022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,000,000円
(2)補助金確定額
27,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,033,429円
人件費・謝金 7,892,753円
旅費 974,750円
その他 12,099,068円
間接経費 3,000,000円
合計 27,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
-