心臓カテーテル検査の低侵襲性代替診断法の開発-被曝量低減化に向けた革新的体外診断薬の開発-

文献情報

文献番号
201308004A
報告書区分
総括
研究課題名
心臓カテーテル検査の低侵襲性代替診断法の開発-被曝量低減化に向けた革新的体外診断薬の開発-
課題番号
H23-医療機器-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 亨(東京大学大学院医学系研究科 ユビキタス予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤 健一(東京大学大学院医学系研究科  循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
22,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では心臓カテーテル検査に代替する低侵襲性診断法の開発を目指す。心臓カテーテル検査の被曝は医療被曝の中で最大のものの一つであり、その低減化が求められている。冠動脈疾患の主な治療法であるカテーテル治療では約1割~3割程度の症例で再狭窄(約半年後に病変が再度進行ないし治療に対する反応として狭窄する現象)が発症する問題ないし限界がある。再狭窄を予知する方法がないため、治療半年後に再度心臓カテーテル検査を実施し再狭窄の有無を評価する必要があるが、X線照射を必要とする検査であり、安全性また医療費の面からも血液検査等の代替法の開発は急務であった。心臓カテーテル検査に代替する方法としてこのバイオマーカーを用いることで被曝量の低減化を図る。代替検査法の開発により被曝量軽減(患者、術者ともに)また医療費削減も可能となる。
研究方法
我々は心臓カテーテル治療後の再狭窄を反映する世界で初めての心臓カテーテル検査の代替法となるバイオマーカーを最近開発した(特許も申請済み)。本バイオマーカーは、心血管病態時に特異的に発現する蛋白質であるナトリウム利尿ペプチド(BNP)から、慢性虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定することを測定原理とする。本法は、BNPから慢性心筋虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定する方法である。本研究中に検査法の有用性の確立を目指す。
結果と考察
研究最終年度(平成25年度)は開発した分析手法および診断性能ないし初期検討結果の研究成果について論文化し、2013年5月13日にクリニカル・ケミストリー電子版に発表し、同年5月16日に東京大学医学部附属病院・株式会社島津製作所から共同プレス発表した。また、先進医療に向け、東京大学医学部附属病院内における自主臨床試験実施計画を立て、倫理申請を行い、IRB承認された。さらに、先進医療に向けた前処理、検出法等の最適化を目指した解析を実施した。
結論
研究終了後には先進医療の申請、薬事承認申請を目指す。被曝量の低減化、低侵襲の革新的診断機器を開発する研究、低侵襲かつ患者の視点から苦痛の少ない革新的治療機器を開発する研究となるものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201308004B
報告書区分
総合
研究課題名
心臓カテーテル検査の低侵襲性代替診断法の開発-被曝量低減化に向けた革新的体外診断薬の開発-
課題番号
H23-医療機器-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 亨(東京大学大学院医学系研究科 ユビキタス予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤 健一(東京大学大学院医学系研究科 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では心臓カテーテル検査に代替する低侵襲性診断法の開発を目指す。心臓カテーテル検査の被曝は医療被曝の中で最大のものの一つであり、その低減化が求められている。冠動脈疾患の主な治療法であるカテーテル治療では約1割~3割程度の症例で再狭窄(約半年後に病変が再度進行ないし治療に対する反応として狭窄する現象)が発症する問題ないし限界がある。再狭窄を予知する方法がないため、治療半年後に再度心臓カテーテル検査を実施し再狭窄の有無を評価する必要があるが、X線照射を必要とする検査であり、安全性また医療費の面からも血液検査等の代替法の開発は急務であった。心臓カテーテル検査に代替する方法としてこのバイオマーカーを用いることで被曝量の低減化を図る。代替検査法の開発により被曝量軽減(患者、術者ともに)また医療費削減も可能となる。
研究方法
我々は心臓カテーテル治療後の再狭窄を反映する世界で初めての心臓カテーテル検査の代替法となるバイオマーカーを最近開発した(特許も申請済み)。本バイオマーカーは、心血管病態時に特異的に発現する蛋白質であるナトリウム利尿ペプチド(BNP)から、慢性虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定することを測定原理とする。本法は、BNPから慢性心筋虚血時に生じる特異なプロセシング産物を質量分析計で測定する方法である。本研究中に検査法の有用性の確立を目指す。
結果と考察
研究初年度(平成23年度)は計画通り分析を行い、再狭窄の除外診断法としての性能(検出能ならびに予測能)を検証した(横断258例、縦断64例)。二年目(平成24年度)も計画通りに症例を重ね(横断306例、縦断99例)、本診断法の有用性を検証した。研究最終年度(平成25年度)は開発した分析手法および診断性能ないし初期検討結果の研究成果について論文化し、2013年5月13日にクリニカル・ケミストリー電子版に発表し、同年5月16日に東京大学医学部附属病院・株式会社島津製作所から共同プレス発表した。また、先進医療に向け、東京大学医学部附属病院内における自主臨床試験実施計画を立て、倫理申請を行い、IRB承認された。さらに、先進医療に向けた前処理、検出法等の最適化を目指した解析を実施した。
結論
研究終了後には先進医療の申請、薬事承認申請を目指す。被曝量の低減化、低侵襲の革新的診断機器を開発する研究、低侵襲かつ患者の視点から苦痛の少ない革新的治療機器を開発する研究となるものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201308004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究ではプロテオーム解析術を駆使し、免疫沈降による濃縮(イムノ)と質量分析計(マス)を組合せたイムノマス法を用いた手法にて、心臓利尿ペプチド(BNP)のプロセシングを直接的に評価することにより冠動脈狭窄の有無を判定する新しい診断法を開発した。BNPの存在量に加え、その存在様式、すなわち翻訳後修飾やプロセッシング体の病的意義に迫るものである。このように、疾患病態制御の理解を目的とした蛋白質解析を実施し、心血管疾患の病態制御の理解を可能とする画期的な成果を得た。
臨床的観点からの成果
本診断手法の先進医療への申請を目指し、院内の自主臨床試験についての倫理申請を行い(計画書・同意書・承認通知・試験審査結果通知書)、承認された。また、前処理、検出法等の最適化を目指した解析を実施するとともに、プロトコルを確立した。心臓カテーテル治療後に実施される再狭窄を対象に行われる確認目的の心臓カテーテル検査に代替する世界で初めてとなる血液検査を開発したことで、被曝量軽減、医療費軽減の両者の視点から非常に大きな果が期待できる。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
該当なし。
その他のインパクト
開発した分析手法および診断性能ないし初期臨床検討結果の研究成果については論文化し、2013年5月13日にクリニカル・ケミストリー電子版に発表し、同年5月16日に東京大学医学部附属病院・株式会社島津製作所から共同プレス発表した。2013年5月22日付日経産業新聞、2013年5月17日付日刊工業新聞等、マスコミにも取り上げられ、医薬業界および患者から注目を集めた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
33件
平成28年度1件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
17件
その他成果(特許の出願)
2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
心疾患診断マーカー
詳細情報
分類:
特許番号: 2011-175982
発明者名: 鈴木亨、日本電気株式会社 宮崎賢司 他、積水メディカル株式会社
権利者名: 東京大学、NEC、積水メディカル
出願年月日: 20110811
国内外の別: 国外
特許の名称
血液試料を用いて心筋虚血状態を評価する方法
詳細情報
分類:
特許番号: PCT/JP2008/65444
発明者名: 鈴木亨、藤本宏隆
権利者名: 国立大学法人東京大学、株式会社島津製作所
出願年月日: 20080828
国内外の別: 国外

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Fujimoto H, Suzuki T, Aizawa K, et al.
Processed B-Type Natriuretic Peptide Is a Biomarker of Postinterventional Restenosis in Ischemic Heart Disease
Clin Chem. , 59 , 1330-1337  (2013)
原著論文2
Suzuki T, Israr MZ, Heaney LM, et al.
Prognostic Role of Molecular Forms of B-Type Natriuretic Peptide in Acute Heart Failure
Clin Chem. , 63 , 880-886  (2017)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
2018-06-11

収支報告書

文献番号
201308004Z