BIM遺伝子多型に起因するEGFR変異肺がんのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性をボリノスタット併用で克服する研究

文献情報

文献番号
201307042A
報告書区分
総括
研究課題名
BIM遺伝子多型に起因するEGFR変異肺がんのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性をボリノスタット併用で克服する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 聖二(金沢大学がん進展制御研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 間野 博行(東京大学 大学院)
  • 萩原 弘一(埼玉医科大学 医学部)
  • 長谷川 好規(名古屋大学 医学部)
  • 高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター)
  • 井上 彰(東北大学 附属病院)
  • 西岡 安彦(徳島大学 ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 片上 信之(公益財団法人先端医療振興財団 先端医療センター病院)
  • 里内 美弥子(兵庫県立がんセンター)
  • 安藤 昌彦(名古屋大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
目的は、BIM遺伝子多型に起因した耐性症例の臨床的特徴を明らかにすること、およびEGFR-TKIに耐性となったBIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんを対象にゲフィチニブ+ボリノスタット併用の第1相試験により安全性プロファイルを明らかにし、最大耐容量を決定することである。
研究方法
1. BIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺がんの臨床的特徴を明らかにする前向き研究 (PEOPLE-J)
新たにEGFR-TKI治療を受けるEGFR変異肺がん400例(約51例のBIM遺伝子多型陽性が見込まれる)において、末梢血を用いBIM遺伝子多型を測定し、ゲフィチニブの奏効性や生存期間との相関を前向きに検討する。H25年度は、研究計画書および患者説明・同意文書を作成し、分担研究機関の倫理審査を行うとともに、症例登録システムの作成、検体収集および解析方法の確立など、研究体制を構築する。

2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
BIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんで、EGFR-TKIおよび殺細胞性抗がん剤治療に抵抗性を示した患者に対し、ゲフィチニブ(250mg/日、連日)+ボリノスタット(200mg, 300mg, あるいは400mg/日、7日間服薬、7日間休薬)の治療による第1相試験を医師主導治験として行い、安全性を評価し最大耐容量を決定する。H25年度は、研究計画書および患者説明・同意文書を作成し、分担研究機関の倫理審査を行うとともに、症例登録システムの作成、検体収集および解析方法の確立など、研究体制を構築する。
結果と考察
1. BIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺がんの臨床的特徴を明らかにする前向き研究
本年度は、本疾患群の臨床を明らかにする多施設共同前向き試験のプロトコールおよび患者説明文書を作成し、2013年12月16日に金沢大学ヒトゲノム・遺伝子研究倫理審査委員会の承認を受けた。また、名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センターにおいて、400症例の登録および臨床情報管理を行うWebシステムの構築を完了した。さらに、検体の収集および解析を行う体制の構築も完了した。

2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
医師主導治験(VICTORY-J)のプロトコールおよび患者説明文書を作成し、2014年1月23日にPMDAの薬事戦略相談(対面助言:戦P107(MK-0683))を受け、「試験実施可」という見解を得た。治験参加4施設内での試験担当CRCの確保、文部科学省橋渡し研究促進プログラムの拠点である東北大学と名古屋大学による相互モニタリング体制を構築した。さらに、金沢大学附属病院先端医療開発センター内に治験調整事務局設置し業務の一部をCRO(CMICホールディングス)へ委託し、各種標準作業手順書(SOP)を作成するとともに、ForumPLUSを用いた治験実施施設間の情報共有システムを構築した。また、中部先端医療開発円環コンソーシアム代表である名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センターの支援を受け、プロジェクトマネージャーによるプロジェクト推進、統計/データマネジメント等の協力を金沢大学と協業し治験データを収集していくための電子版データ収集システム(EDC)の準備を含め治験体制の構築と整備が完了した。2014年3月13日に金沢大学附属病院治験審査委員会で承認を得た。以上のように、今年度は多施設共同前向き試験(PEOPLE-J)と医師主導治験(VICTORY-J)を実施する体制を構築した。
結論
今年度に実施体制が整備された多施設共同前向き試験(PEOPLE-J)については、金沢大学の他に先端医療センターにおいてもIRBの承認を得た。平成26年度には、参加8施設すべてでIRBの承認を得て、BIM遺伝子多型を有するEGFR変異陽性肺がんの臨床的特徴を明らかにすべく、症例登録を開始する。
一方、今年度に実施体制が整備された医師主導治験(VICTORY-J)については、平成26年度には治験参加4施設すべてでIRBの承認を得て、治験届の提出や治験登録などを行い、治験を開始する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201307042Z