Claudinを標的とした創薬基盤技術の開発

文献情報

文献番号
201307020A
報告書区分
総括
研究課題名
Claudinを標的とした創薬基盤技術の開発
課題番号
H23-政策探索-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 昌夫(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 八木 清仁(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科 )
  • 國安 弘基(奈良県立医科大学)
  • 深澤 征義(国立感染症研究所)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 國澤 純(医薬基盤研究所)
  • 岡田 欣晃(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今の上皮細胞生物学の進展により、タイトジャンクションシール機能を担う分子として、4回膜貫通蛋白質claudin(CL)が同定され、非侵襲性投与法、上皮がんターゲティング法、粘膜ワクチン、C型肝炎ウイルス(HCV)感染阻害法、薬物の血液脳関門透過法開発の可能性が示唆されている。しかしながら、CLは抗原性が低い上に立体構造が解析されておらず、CL binderの創製は著しく立ち遅れており、CLを標的とした創薬研究は遅々として進展していない。現在までに申請者は、CL-4 binderを用いたバイオ医薬の経粘膜吸収促進技術、癌ターゲティング法、粘膜ワクチン技術を先駆けて確立し、CLを標的とした創薬基盤として出芽バキュロウイルス(BV)を利用したCL蛋白質発現系を用いたCL binderスクリーニング系を構築した。上述した背景を踏まえ本研究では、CLを標的とした創薬基盤技術の創出を目指す。
研究方法
CL提示BV、CL欠損マウス、自己免疫疾患マウスなどを用いて、抗CL抗体の作製を進めると同時に、昨年度取得した抗CL抗体について生化学的解析、薬理活性解析を実施した。
結果と考察
免疫法の最適化を進め、新たに抗CL-2抗体を3クローン樹立した。さらに、昨年度取得した抗CL-1抗体についてヒト肝キメラマウスを用いてin vivo C型肝炎ウイルス感染防御活性を解析したところ、体重減少、肝障害、血中ヒトアルブミン濃度の低下などの副作用を伴うことなく感染阻害活性を示すクローンを複数見出した。さらに、各種ヒトキメラ抗体を作製し、druggabilityに優れたC型肝炎ウイルス感染阻害剤シーズの創製に成功した。また、各種ヒト癌移植マウスを用いて抗CL-4抗体の腫瘍集積性および抗腫瘍活性を解析し、in vivoにおいて腫瘍集積性を有し、抗腫瘍活性を示すクローンを複数見出した。尚、当該抗体投与に伴う副作用は観察されなかった。
結論
以上、本年度は新たに抗CL-2抗体の創製に成功し、昨年度作製した抗体が有効性および安全性を兼ね備えていること、ヒトキメラ抗体にすることでdruggabilityが向上することを見出した。今後は、引き続き、CL binderの創製を進めると同時に、抗体の各種活性を解析し、がん・感染症・炎症性疾患・ワクチン・DDSへの応用に向けた基礎的知見の集積を図る予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201307020Z