文献情報
文献番号
201306016A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト iPS 細胞を用いた有用な医薬品等創出のための基盤技術開発研究
課題番号
H24-iPS-指定-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
川端 健二(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部 幹細胞制御プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
- 関野祐子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒトiPS細胞は再生医療だけでなく、創薬への応用も強く期待されている。医薬品の開発初期段階において免疫毒性や神経毒性等の薬物毒性を精度高く予測することは、創薬コスト削減・期間短縮・創薬シーズのヒット率の向上をもたらし、我が国の基幹産業のひとつである製薬産業の国際競争力向上に繋がると期待される。しかしながら、薬物毒性を in vitro で簡便にスクリーニング可能な評価系は確立されていない。そこで、ヒトiPS細胞を用いて、薬物免疫毒性評価系および薬物神経毒性評価系を新たに構築することを目指す。
研究方法
ヒト iPS 細胞から胚様体形成法により血液前駆細胞を分化誘導し、さらにサイトカイン(IL-6)存在下メチルセルロースで浮遊培養することにより、肺や腸粘膜に多く存在する MC(T)(tryptaseのみを含むマスト細胞)を分化誘導した。ヒト iPS 細胞由来血管内皮細胞をラットグリオーマ C6 細胞と共培養することにより、脳特異的血管内皮細胞を分化誘導した。さらに、PI/calcein イメージングや LDH/MTT 同時測定法等の細胞毒性評価プロトコルをヒト iPS 細胞由来神経細胞に最適化した。
結果と考察
ヒト iPS 細胞から肺や腸粘膜に多く存在するMC(T)(tryptaseのみを含むマスト細胞)を分化誘導でき、MC(T)は肺などに多く存在することから、喘息を含む肺に存在するマスト細胞が関与する疾患や慢性閉塞性肺疾患などに対する治療薬の開発にヒトiPS 細胞由来MC(T) 型マスト細胞が有用であると考えられた。ラットグリオーマ細胞株である C6 細胞と共培養したヒト iPS 細胞由来血管内皮細胞は、単独培養と比較し、強固なタイトジャンクションを形成することが明らかとなり、脳血管内皮細胞様細胞に分化したことが示唆された。PI/calcein イメージングやLDH/MTT 同時測定法の細胞毒性評価プロトコルがヒト iPS 細胞由来神経細胞の薬物毒性評価系に応用できることが示された。
結論
ヒトiPS細胞から肺や腸粘膜に多く存在するMC(T)(tryptaseのみを含むマスト細胞)を分化誘導できた。ラットグリオーマ細胞株であるC6細胞と共培養したヒトiPS細胞由来血管内皮細胞は、単独培養と比較し、強固なタイトジャンクションを形成することを明らかにした。PI/calcein イメージング、LDH/MTT 同時測定法の細胞毒性評価プロトコルをヒト iPS 細胞由来神経細胞に最適化した。また、新たな神経毒性の評価であるシナプス機能障害定量評価法として、アクチン結合タンパク質ドレブリンの局在変化を指標とできることを見いだした。
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
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