関節鏡視下自己骨髄間葉系幹細胞移植による関節軟骨欠損修復―多施設共同、非盲検、ランダム化、並行比較試験

文献情報

文献番号
201306013A
報告書区分
総括
研究課題名
関節鏡視下自己骨髄間葉系幹細胞移植による関節軟骨欠損修復―多施設共同、非盲検、ランダム化、並行比較試験
課題番号
H25-再生-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
脇谷 滋之(武庫川女子大学 健康・スポーツ科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 越智 光夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 整形外科学)
  • 吉矢 晋一(兵庫医科大学 整形外科学)
  • 田中 康仁(奈良県立医科大学 整形外科学)
  • 名井 陽(大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部)
  • 橋本 祐介(大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学)
  • 赤木 將男(近畿大学医学部 整形外科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節軟骨の損傷は自然修復が期待できず、放置すると10年から20年の長期の経過で変形性関節症に移行すると考えられる。現在のところ、関節軟骨を完全にかつ確実に修復する方法は確立されていない。本臨床研究の目的は、関節鏡視下に、骨髄刺激法と自己骨髄間葉系幹細胞移植を併用した新たな関節軟骨欠損修復法の長期的安全性と有効性を、標準的治療である骨髄刺激療法単独と比較し、有効性において優れており、安全性において非劣性であると推定可能であるか否かを明らかにすることである。
研究方法
研究方法の詳細は実施計画書、試験物概要書、製品標準書に記載されている。
[臨床研究施行の準備]
上記、臨床研究を施行するためにドライランを施行し、細胞の増殖が良好で、簡便な培養方法の開発を計画した。臨床研究を施行するための臨床試験保険加入、CRFの作成、コーディネーターの設定、データ割り付けシステム、データセンターでのデータ管理システムを作成した。
結果と考察
本臨床研究を行うにあたりその準備として以下のことを行った。
1)細胞培養プロトコルの改良、確定、標準手順書の作成およびその手順書の大阪大学CPCコンピュータシステムへの移植
細胞培養を簡便に、しかも確実に細胞を増殖させることが出来るようにするために、継代培養を行わないこととした。比較培養を繰り返し、充分量の細胞数が得られることを確認した。これに基づき、標準手順書を改訂し各施設に配布した。
2)臨床研究保険への加入
5病院で行われる細胞移植群40例、対照群40例のカバーする臨床試験賠償責任保険および補償責任保険について見積もりをとり、我々の希望条件を満たし、最も安価であった保険会社と契約した。
3)症例報告書(clinical report form; CRF)の確定
臨床データ収集のためにCRFを確定した。
4)モニターの準備
臨床データ収集において、カルテからCRFへの記載の齟齬をなくすため、両者を比較し確認するモニターを準備することとし、派遣する会社と契約した。
5)データセンターの準備
5病院の臨床データを客観的に一カ所で一括して処理するために、大阪大学データセンターに依頼した。大阪大学データセンターと契約し、システムを作成した。
6)登録システムの準備
登録患者をランダムに2群に分けて登録するために、登録センターと契約し、システムを作成した。割付システムのURL及び、ログインID/パスワードを各施設に配布した。
7)キックオフミーティング
平成26年2月14日、大阪大学未来医療センターにて全体会議を施行し、臨床研究の準備状況を確認した。平成26年3月19日に臨床研究開始のキックオフ会議とした。

前年度末、我々は、5病院6施設の施設内倫理審査委員会の承認を得たのち、厚生労働省「ヒト幹細胞と用いる臨床研究に関する指針」に申請した。厚生労働省「ヒト幹細胞と用いる臨床研究に関する指針」への申請は、順次承認され、本年度前半には全施設で承認された。
本年度に入り、細胞培養を簡素化しアイソレーターでの培養を容易にし、しかも充分量の細胞を確保できるようにするために、細胞培養法を改良した。
これに基づき、工程標準手順書を改訂した。各施設、マイナー変更を倫理審査委員会に申請、承認後、厚生労働省「ヒト幹細胞と用いる臨床研究に関する指針」にも変更を届け出た。
この時点で我々は臨床研究を行うために準備を開始した。結果に示したように、様々な必要事項を整えた。
症例数不足あるいは資金不足のため、各施設のコーディネーターを用いることが困難であったのでコーディネーターは設定せず、少なくとも2人以上の医師が、責任をもって臨床研究を進めることを基本とすることを確認した。モニターは省略することは困難である。本研究の参加施設のうち4施設は関西地区にあるが、1施設は広島であるために少し距離がある。モニターが定期的に広い範囲を巡回し、カルテとCRFを照合し、確認することとした。疑義は担当医に確認し、大阪大学データセンターにCRFを送ることとした。
本研究においては、細胞移植群が5例に達した時点で臨床研究をいったん中止し、その安全性を確認するために、効果安全評価委員会を開催し、安全性が確認されてから臨床で確実に登録を中断できるようにするため研究を再開することに設計されている。5例に、細胞移植3例目、および4例目でアラームを各施設に送付、5例目の登録で中止連絡が入るよう設定した。
平成26年3月初めに準備を完了し、19日に全施設の責任者を集め、キックオフミーティングを行った。これにより、臨床研究の登録が可能になった。
結論
臨床研究開始のために様々な準備を行い、平成26年3月に完成、3月19日キックオフミーティングを行った。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201306013Z