文献情報
文献番号
201306012A
報告書区分
総括
研究課題名
小児心不全に対するヒト幹細胞移植による先進医療の実用化加速に向けた第2相臨床研究
課題番号
H25-再生-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
王 英正(岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部)
研究分担者(所属機関)
- 佐野俊二(岡山大学医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
- 大月審一(岡山大学病院 小児循環器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心臓移植の適応と判断された小児心不全の1年生存率は30%と極めて予後不良であるが、国内での小児心臓移植の実施はドナー不足などの問題で、これまでの乳幼児への移植実施例はない。一方、申請者らが開発した佐野手術により機能的単心室症の短期予後は著明に改善してきたが、長期予後を左右する心予備能の改善は依然として重要な研究課題である。本研究では、2011年より「ヒト幹細胞を用いた臨床研究に関する指針」で実施承認された「機能的単心室症に対する自己心臓内幹細胞移植療法によるTICAP第1相臨床試験(NCT01273857)」の研究成果を踏まえ、臨床治験を見据えた先進医療による第2相臨床試験を実施し、世界初の小児心不全に対する心筋再生医療法の早期実用化を目的とする。
研究方法
1.第2相臨床研究における対象症例のランダム化やデータマネジメントはeClinical Base Web入力システムを活用して、臨床研究情報センターにおいたデータセンターによる中央登録制とする。
2.第2相臨床試験(PERSEUS試験: NCT01829750)の実施(合計34症例:17対17例の対照比較試験)。
3.臨床治験に向けたPMDAとの事前相談。
4.有効性の評価項目は術後3ヶ月、1年目における心不全の臨床症状、BNP値ならびに心エコー法、心MRI、心室造影による心駆出率の改善度とし、また、心臓カテーテル検査による心室拡張末期圧、肺動脈圧、肺動脈圧格差、肺血管抵抗値の計測実施し、標準治療の修復術単独群と比較検証する。
2.第2相臨床試験(PERSEUS試験: NCT01829750)の実施(合計34症例:17対17例の対照比較試験)。
3.臨床治験に向けたPMDAとの事前相談。
4.有効性の評価項目は術後3ヶ月、1年目における心不全の臨床症状、BNP値ならびに心エコー法、心MRI、心室造影による心駆出率の改善度とし、また、心臓カテーテル検査による心室拡張末期圧、肺動脈圧、肺動脈圧格差、肺血管抵抗値の計測実施し、標準治療の修復術単独群と比較検証する。
結果と考察
本第2相臨床試験(PERSEUS試験)の基本デザインは、目標症例数を34症例とし、選択基準は症例登録時20歳以下でかつ心駆出率が70%以下を満たす第2または3期の心臓シャント術適応症例とする。登録期間は2013年4月から2017年3月の4年間で、試験期間は登録開始から最終症例の移植後1年後までとする。試験デザインの概要は1:1のランダム化割付試験で、非移植群については標準治療単独とし、3ヶ月目の機能評価後、希望により救済移植を同意の上で実施する。すべての幹細胞移植数は体重(kg)あたり30万個を3mLの細胞培養液で希釈し冠動脈内注入とする。2013年4月8日に厚生科学審議会の承認後、2014年4月11日まで合計28症例を登録した。
平成25年度臨床研究中核病院に選定された岡山大学病院内に、GMP基準の細胞調節施設を新規整備中である。企業選定の治験薬製造施設以外に平成27年度より臨床治験に向けた運用が可能となる。
平成25年度臨床研究中核病院に選定された岡山大学病院内に、GMP基準の細胞調節施設を新規整備中である。企業選定の治験薬製造施設以外に平成27年度より臨床治験に向けた運用が可能となる。
結論
これまでに細胞移植を受けた全17症例(移植群10名、非移植群への救済移植7名)において有害事象の発生はなく概ね良好な臨床経過を示し、移植を受けていない症例に比べ有意な心機能の改善効果を認めた。今後予定された時期において各種心機能検査による治療効果について総合的に判定していく。
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
-