「認知症予防のための戦略研究」研究実施計画書作成に関する研究

文献情報

文献番号
201305031A
報告書区分
総括
研究課題名
「認知症予防のための戦略研究」研究実施計画書作成に関する研究
課題番号
H25-特別-指定-031
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学 医学医療系臨床医学域)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正仁(金沢大学)
  • 中島 健二(鳥取大学)
  • 清原 裕(九州大学)
  • 松田 博史(国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター)
  • 熊谷 秋三(九州大学)
  • 池内 健(新潟大学)
  • 田中 喜代次(筑波大学)
  • 三村 將(慶應義塾大学)
  • 角間 辰之(久留米大学)
  • 目黒 謙一(東北大学)
  • 杉下 守弘(脳血管研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
運動習慣をつけることによる認知症予防介入研究を今後実施するために、どのような介入方法、実施体制、成果物作成に関するプランニングを作成すべきかについて計画を作成する。その対象は65歳以上の高齢者であり、自治体単位のクラスター・ランダム化比較試験(クラスターRCT)により、運動介入プログラムと知的活動に基づく介入を実施することが前提である。
研究方法
研究開始より、まず中間報告までに班会議を繰り返し、研究における分担の確認、実務内容、協力・指令系統を決定する。次に本試験開始後の事務局とその機能などの素案を出し、研究実地面のプロトコール作成を中間報告として完成させる。ここでの指導を受けて平成26年1月から3月で仕上げ段階に入り、プロトコールとマニュアルを完成させるとともに、実行可能性の検討と予行を行うことで最終報告書としてまとめる。
結果と考察
本介入により認知機能の低下並びに認知症の発症に対する抑制効果の評価を行うという前提に対して、介入研究を機能させるための組織として、部会と委員会を置くことにした。部会としては、学術部会、運動部会、座学部会、バイオ部会、データセンター部会、IT部会を設けることにした。また委員会としては、研究推進委員会、組み入れ・除外判定委員会、プログラム標準化委員会、臨床判定委員会、データ関連委員会、IT関連委員会を設置することにした。その上で、本研究における検討項目として、Ⅰ目標登録症例数の設定、Ⅱ学術サイトの役割・責務、Ⅲ運動介入の実際、Ⅳ座学の実行:認知症予防の学習、Ⅴ戦略研究中央事務局機能、Ⅵ評価項目と臨床判定、Ⅶ生化学的データを定めた。これらの成果を要約して研究遂行の指針を示すプロトコールとして完成させた。また個々の実務や規約については、マニュアルとして個々にまとめた。さらに倫理的事項、データの公明性に関する事項についても詳細な検討を行った。
高齢者人口は今後も増加し続けるだけに団塊の世代が高齢期に突入する前に、個々の国民が認知機能低下や認知症発症の予防に自主的に取り組む下地を作る必要がある。この報告書に定めたプロトコールとマニュアルに則って、平成26年度から全国規模で認知症の予防活動を今後5年間に亘って展開する予定である。このような介入研究の成果として、認知症の発症遅延や予防が実現できれば、国民にとっては健康寿命の伸長に、国家レベルではDALY(disability-adjusted life year)の改善につながり医療費削減効果がもたらされる。また地域レベルで実行可能な認知症予防法の開発という点で今後の医療・保健・福祉の充実に関わる政策作りに貢献できるものと期待される。
結論
全国の65歳以上の高齢者を対象に、自治体単位のクラスター・ランダム化比較試験(クラスターRCT)により運動習慣をつけることによって、認知症予防の介入研究を実施するための計画を立てた。この報告書に定めたプロトコールとマニュアルに則って、平成26年度から全国規模で認知症の予防活動を今後5年間に亘って展開する予定である。

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201305031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
認知症高齢者は、今後の高齢化の進行と共に増加し続けることが予測されているのに、一部の治療可能な認知症を除いて、その根本的な治療法は存在しない。また認知症予防に関しても確実に有効とされるものはない。世界レベルで運動の予防効果が注目されるが、有酸素性運動等の運動の有効性が報告されているにすぎない。そそこで運動習慣をつけることによる認知症予防介入研究は注目される。そのためにどのような介入方法、実施体制、成果物作成に関するプランニングを作成し得た。
臨床的観点からの成果
7つの視点から計画立案した。Ⅰ目標登録症例数の設定、Ⅱ学術サイトの役割・責務、Ⅲ運動介入の実際、Ⅳ座学の実行:認知症予防の学習、Ⅴ戦略研究中央事務局機能、Ⅵ評価項目と臨床判定、Ⅶ生化学的データである。これらの成果を要約して研究遂行の指針を示すプロトコールとして完成した。また個々の実務や規約については、マニュアルとして個々にまとめ得た。さらにプロトコールとマニュアルでは、倫理的事項、データの公明性に関する事項についても詳細な検討を行った。
ガイドライン等の開発
全国の自治体の手上げ方式により参加者を募るという方向で検討を積み重ねた結果として具体案を構築した。成果物は研究の対象、方法等の道筋を記述するプロトコールと個々の作業や工程を具体的に詳述したマニュアルである。プロトコールは参加者に対する運動習慣づけの具体策を体育専門家らの意見を基に作成された。これらに則って65歳以上の高齢者に対して、自治体単位のクラスター・ランダム化比較試験(クラスターRCT)により、運動介入プログラムと知的活動に基づく介入を実施するための実務計画を策定した。
その他行政的観点からの成果
認知症高齢者の激増が予想されるにもかかわらずこれまでは具体的な対応策が存在しなかった。そこで運動習慣をつけることで認知症発生を防御できるという仮説に立って、研究目標を達成するためにはいかなる介入方法を行い、実施体制をどのように構築し、さらには世界に発信できる成果物を生み出すプランを立案できたことは、国家レベルでの認知症予防において意味がある。
その他のインパクト
平成26年1月1日の毎日新聞の第一面で本研究の背景と成果についての報告がなされている。

発表件数

原著論文(和文)
14件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-05-26
更新日
2018-05-30

収支報告書

文献番号
201305031Z