人生の最終段階における医療にかかる相談員の研修プログラム案を作成する研究

文献情報

文献番号
201305028A
報告書区分
総括
研究課題名
人生の最終段階における医療にかかる相談員の研修プログラム案を作成する研究
課題番号
H25-特別-指定-036
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 久幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 西川 満則(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 小野沢 滋(北里大学病院  患者支援センター部)
  • 尾藤 誠司(東京医療センター 臨床研究センター 臨床疫学研究室)
  • 木澤 義之(神戸大学内科学系講座 先端緩和医療学分野)
  • 樋口 範雄(東京大学大学院 法学政治学研究科)
  • 清水 哲郎(東京大学大学院 人文社会系研究科死生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,148,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省は5年おきに一般国民に対して終末期医療のあり方に関する意識調査(以下、意識調査)を実施し、終末期医療に関する議論を続け、平成19年には「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定した。それから6年が経過したが、昨年6月の意識調査の結果によれば、「ガイドラインを知らない」、「知っているが特に活用していない」と答えた医師や病院が多く、「職員を対象に終末期医療に関する教育・研修を実施している」と答えた病院が少なく、終末期医療を支援する体制が十分ではないことが判明した。これらを受けて、厚生労働省は平成26年度の事業において、看護師、MSW等の医療専門職を対象とした終末期医療に関する研修を実施し、現場で終末期医療の相談支援体制を構築するモデル事業を予定している。折しも、現在審議中の社会保障制度改革推進法案の中で「人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること(第6条の3)」を政府が行う方針が出されており、その方向性は合致している。
一方で、昨年8月6日に社会保障制度改革国民会議が提出した報告書の中で「尊厳ある死を視野に入れた『QOD(クォリティ・オブ・デス)を高める医療』」が提言された。QODとは、患者が本来望んでいた死の姿と実際の死の状況との一致度として定義され、終末期医療の質を評価する有効な指標として2001年に米国で提唱されている。2010年に報告された世界40ヶ国のQOD支援体制に関する研究では、日本は23位と決して高くはない評価であった。しかし、これまで日本ではQODに関する研究は十分になされておらず、終末期医療の在り方の議論の俎上にも上っていなかった。
昨年10月に国会議員によるQODの在り方についての勉強会が開かれるなど、QODに関して様々な議論が行われ、関心が高まっている。このため、QODの有り様を正確に把握し、来年度の終末期医療に関する事業の中にQODという新しい視点を取り入れる必要が出てきており、このための研究が急がれる。
研究方法
従来、終末期医療に関する研修としては、Peace Project※1や国立長寿医療研究センターにおける看護研修※2などが行われてきた。しかしいずれもquality of death(QOD) ※3は考慮されていなかった。本研究は、QODを正しく理解し、QODを取り入れて終末期医療の研修プログラムを作成し直すことを目的としている。
結果と考察
相談員プログラム骨子を作成できた。
26年度のモデル事業での活用、今後の発展的修正の道筋を確立できた。
結論
終末期医療に関する研修は、「相談員モデル事業」から始まり、医療機関、介護保険施設、医療/看護教育に広がっていくことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201305028C

成果

専門的・学術的観点からの成果
症状の評価とマネジメントを中心とした緩和ケアのための医師の継続教育プログラム(Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)に市民権をあたえ、本邦の教育プログラムに入れたことは成果である。
臨床的観点からの成果
QODとは、患者が本来望んでいた死の姿と実際の死の状況との一致度として定義され、終末期医療の質を評価する有効な指標として2001年に提唱されている。 2010年に世界緩和ケア同盟(仮訳)等が先進国及び新興国40ヶ国でのQODの支援体制を調査した結果、日本は23位と評価された。これらの改善にしうると思われます。
ガイドライン等の開発
本研究によってQODの概念を整理し、これをもとに新しい研修プログラムを作成し、平成26年度の事業において終末期医療の相談員の研修にガイドとして使用する予定である。
その他行政的観点からの成果
本プログラム策定は、厚生労働省は平成26年度の事業において、看護師、MSW等の医療専門職を対象とした終末期医療に関する研修を実施し、現場で終末期医療の相談支援体制を構築するモデル事業を予定している。折しも、現在審議中の社会保障制度改革推進法案の中で「人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること(第6条の3)」を政府が行う方針が出されており、その方向性は合致している。
その他のインパクト
本事業で作成される研修プログラムは、QODという新しい考え方を取り入れ、その後多くの医療機関で利用・応用されることになるであろう。解決困難な事例が生じやすい終末期医療の現場において、患者の意思が尊重され、より適切な医療が選択されることは、医療従事者だけでなく多くの患者、家族にも資するところが大きい。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
2019-06-12

収支報告書

文献番号
201305028Z