社会保障と税の一体改革に向けた新たな看護職員確保対策に関する研究

文献情報

文献番号
201305026A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障と税の一体改革に向けた新たな看護職員確保対策に関する研究
課題番号
H25-特別-指定-025
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
井部 俊子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,947,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会保障と税の一体改革においては、医療介護サービス提供体制の強化を図るためのマンパワーの増強として、2025年までに約50万人増の看護職員の確保が必要との試算が示されている。また、2013年6月以降、社会保障制度改革国民会議、社会保障審議会医療部会等の論議を踏まえ、新たな看護職員確保対策として、ナースセンター(以下NC)への看護師免許保有者の届出制度創設による「潜在看護職員の復職支援強化」及び、大卒社会人経験者等を対象とした「新規養成促進」が提案されている。こうした状況を踏まえ、本研究では制度改正の円滑な実施を図るため次の課題について調査する。
A)NCー機能強化の方策(求職・求人の機能強化)
B)NCー機能強化の方策(研修履歴情報の活用)
C)新規養成促進(大卒社会人経験者等の支援)
研究方法
A)求人求職の機能強化に関する研究
・インタビュー調査の実施:再就業したもしくは再就業先を探している看護職員(26名)、求人施設(4施設、看護管理者・人事担当者それぞれ4名ずつ)、民間職業紹介事業者(3社)
・サイト調査:民間職業紹介事業者のインターネットサイト(16サイト)
B)研修履歴情報の活用に関する研究
・サイト調査:ウェブ上で検索可能な研修実態調査(10サイト)
・質問紙調査:看護職員にむけた研修を実施している機関の実態調査(500施設)
C)大卒社会人経験者等の支援に関する調査
・質問紙調査:大卒社会人学生の実態に関する学校調査(513校)、病院調査(357施設)
結果と考察
A)NCが利用者のニーズを踏まえた事業を実施するためには、看護職員のキャリア段階・ライフステージに応じた就業継続支援や、潜在させないスムーズな再就職支援を行うことが必要であることが分かった。そのためには、NCの認知度の向上をはかること、利便性を向上すること、地域の保健医療福祉施設との連携を支援することなどが必要であることがわかった。
B)看護師を対象とした研修の実態を把握し、研修履歴情報を整理するための分類枠組みを作成した。研修履歴情報の活用に向けた課題も明らかになった。質問紙調査の回収数は168部であった。研修とキャリア形成との関連について探索し、研修が離職中の看護職の復職意欲を高める可能性が示唆された。
C)146校(大学49、養成所96、無回答1)、および99病院より調査票を回収した。大卒社会人学生の実態を調査し、彼らに必要な看護基礎教育の在り方や、就職後の支援について考察した。一般大卒看護学生の教育については、ガイドライン作成に向けた提言をまとめた。
結論
研究A)においては、NCの利用を促進するため、より多くのニーズに合致した求人情報の提供と、利用者が情報を収集しやすいシステムの構築を行うこと。また、求職・求人者、特に求人側の看護管理者には、ワークシェアリングなどの新しい働き方への意識改革を推進していくこと。
研究B)においては、作成した研修の分類枠組みの検証をするとともに、履歴情報wお活用するための検索システムの構築や、すべての研修期間が共有できるキャリアラダーを作成し、研修の対象者をキャリアの段階別に明示できるようにする等の工夫を行う。
研究C)では、一般大卒看護学生の教育に関するガイドラインの作成に向けて、提言した内容の普及を図るとともに、一般大卒看護学生に適したカリキュラムや教授方法に関する研究を推進していく。

公開日・更新日

公開日
2015-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201305026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
看護職員確保対策のための制度改正に向け、ナースセンター(NC)機能強化による「復職支援強化」、大卒社会人経験者等を対象とした「新規養成促進」に関わる課題について実態を明らかにした。これにより、NCの利用を促進するための方策が明らかになった。また、大卒社会人経験者等に対する教育機関、医療機関における支援の在り方について、ガイドライン作成に向けた提言を作成した。
臨床的観点からの成果
新たな看護職の養成促進、看護職の離職防止・復職支援策が実施されることにより、今後の保健・医療の現場を支える看護職員の確保につながる。
ガイドライン等の開発
一般大卒看護学生に関するガイドライン作成に向けた提言をまとめた。
その他行政的観点からの成果
本研究の結果により、ナースセンターを通した看護職の離職防止・復職支援策の実施、大卒社会人経験者等を対象とした新規養成者数増加に向けた施策を実施するための制度改正の円滑な実施に寄与することができる。
その他のインパクト
報告書の公開、学会等での発表を通し、研究結果を幅広く公開する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-05
更新日
2019-05-24

収支報告書

文献番号
201305026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,634,217円
(2)補助金確定額
11,634,217円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,229,176円
人件費・謝金 2,697,713円
旅費 699,030円
その他 4,324,298円
間接経費 2,684,000円
合計 11,634,217円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
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