文献情報
文献番号
201305021A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療に関する意識調査の調査対象拡大の検討に資する基礎研究
課題番号
H25-特別-指定-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
介護老人保健施設(以下、老健と略)と介護療養型施設(以後、介医と略)における終末期医療の現状を、施設長、看護職員、介護職員を対象に調査し、介護老人福祉施設(以下、特養と略)と比較する。
研究方法
平成25年3月に実施された国の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(以下、国調査と略)と同じ調査内容と方法を用いる。
結果と考察
結果:調査の回収率は、施設長は老健24.8%、介医21.7%、看護職員は同じ順に25.1%、21.6%、介護職員は21.6%、21.2%といずれも国調査の特養の同じ順に46.5%、43.4%、44.0%の半分程度であった。
施設長の回答で割合に差があったのは、家族の悲しみが特養58%・老健38%・介医31%、事前指示書の利用が同じ順に42%・21%・15%、終末期医療に関する教育・研修の実施は同じ順に56%・38%・34%であった。一方、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」に沿って指導する割合は、特養と老健で2割であったが、介医では12%に留まっていた。
看護職員と介護職員の回答については、「終末期の決定プロセスに関するガイドライン」を参考にしている割合で老健と特養はほぼ同じであったが、介医では看護職員15%、介護職員9%と半分程度であった。末期がんの場合、療養する場としてすすめるのは、看護職員は居宅とする割合が高く、老健で49%、介医で60%、特養で42%であった。介護職員では、老健ではほぼ同じ46%であったが、介医では40%、特養で29%であった。その際治療としてすすめるのは、抗がん剤や放射線治療はいずれも1割(介医の介護職員のみ2割)、点滴は老健と介医で7割であったが特養では看護職員54%、介護職員64%、経鼻栄養は1割以下が多かったが介医の介護職員だけ2割、蘇生措置は1割以下が多かったが介護職員は老健と特養において2割であった。
考察:回収率はいずれも2割と低かったが、老健の規模別構成は全数調査とほぼ同じであったので代表性は担保されたが、介医は規模の大きな施設の割合が多かった。老健の看護職員と介護職員の担当する中で、亡くなる人数が1名程度以上と過半数は回答しており、この割合は特養や介医と比べて若干低いが、終末期ケアを提供する施設として位置づけることができよう。
施設長の回答で割合に差があったのは、家族の悲しみが特養58%・老健38%・介医31%、事前指示書の利用が同じ順に42%・21%・15%、終末期医療に関する教育・研修の実施は同じ順に56%・38%・34%であった。一方、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」に沿って指導する割合は、特養と老健で2割であったが、介医では12%に留まっていた。
看護職員と介護職員の回答については、「終末期の決定プロセスに関するガイドライン」を参考にしている割合で老健と特養はほぼ同じであったが、介医では看護職員15%、介護職員9%と半分程度であった。末期がんの場合、療養する場としてすすめるのは、看護職員は居宅とする割合が高く、老健で49%、介医で60%、特養で42%であった。介護職員では、老健ではほぼ同じ46%であったが、介医では40%、特養で29%であった。その際治療としてすすめるのは、抗がん剤や放射線治療はいずれも1割(介医の介護職員のみ2割)、点滴は老健と介医で7割であったが特養では看護職員54%、介護職員64%、経鼻栄養は1割以下が多かったが介医の介護職員だけ2割、蘇生措置は1割以下が多かったが介護職員は老健と特養において2割であった。
考察:回収率はいずれも2割と低かったが、老健の規模別構成は全数調査とほぼ同じであったので代表性は担保されたが、介医は規模の大きな施設の割合が多かった。老健の看護職員と介護職員の担当する中で、亡くなる人数が1名程度以上と過半数は回答しており、この割合は特養や介医と比べて若干低いが、終末期ケアを提供する施設として位置づけることができよう。
結論
結論:今後、国として終末期医療に関する意識調査を実施する際は、老健も対象施設に加えることを検討すべきである。一方、介医に関しては、今後の当該施設の位置づけについての議論を踏まえて検討し、施設長の位置づけも明確にする必要があろう。さらに調査の対象として、特養の医師を加えるべきであろう。
公開日・更新日
公開日
2015-05-28
更新日
-