文献情報
文献番号
201305018A
報告書区分
総括
研究課題名
医療行為に関する法的研究
課題番号
H25-特別-指定-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆司(東京大学 大学院法学政治学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省社会保障審議会医療部会報告書(平成25年12月27日)では、現在看護師が実施している高度かつ専門的な知識・判断が必要とされる行為について、「特定の行為」(以下「特定行為」という。)として位置づけ、医師が患者を特定した上で、手順書に基づき、研修を修了した看護師が実施する制度(以下「当制度」という。)とすることの検討を進めることとされた。本研究では、当制度の運用により問題となる、医師と看護師の法的責任のあり方について考察する。
研究方法
医師と看護師の法的責任のあり方を考察するためには、医療安全等に関する判例を調査する必要がある。当制度の運用に関して参考とすべき知見を得るために、これまでの制度を前提とする過去の判例を単に網羅的に調査するのではなく、法的責任に関する一般的な考え方を示す代表的な判例や学説を中心に調査することとし、特に、医療安全等に関する判例のうち、当制度の運用の参考にするため、①医行為又は診療の補助行為の範囲が争点になったもの、②医師の指示のあり方が争点になったもの、③看護師自身の過失が争点となったものを調査の対象とした。
結果と考察
従来の判例に鑑みると、当制度の運用上は、①どの患者に手順書を適用するか、②手順書は看護師が判断するために充分な内容か、③看護師が医師の指示内容(手順書の内容)を正確に理解して特定行為を行うことができたかという論点に沿って、医師、看護師、及び医療機関それぞれの法的責任が考えられる。
結論
看護師に対する法的責任については、医師が患者の病状を判断して、手順書に基づき対応するよう指示した場合も、患者の病状の変化等により、自身で特定行為を実施することが困難であれば再度医師の指示を得るよう判断するなど、看護師にも高度な注意義務が課されると考えられる。また、特定行為は高度かつ専門的な知識・判断が必要とされる行為であり、いわゆる一般的な診療の補助行為よりも高度な医療水準が求められると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-05-27
更新日
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