文献情報
文献番号
201305012A
報告書区分
総括
研究課題名
一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究
課題番号
H25-特別-指定-028
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
望月 眞弓(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,769,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成14年11月8日一般用医薬品承認審査合理化等検討会「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」(中間報告書)において、医薬品の範囲、開発の促進、情報提供の拡充、承認審査の改善等が具体的な提言として示された。本研究は、その後の一般用医薬品を取り巻く状況の変化を踏まえ、現状にあった一般用医薬品の地域の医療提供体制において担うべき役割などを含め、スイッチOTC医薬品のあり方等について検討の場を提供し、新たな将来像を提案することを目的とする。
研究方法
<検討1>諸外国の一般用医薬品および一般用検査薬の承認・販売制度等に関する調査:米国、オーストラリア、ニュージーランド、欧州(英国、ドイツ、フランス)を対象に、各国における一般用医薬品の分類と医療における役割、転用のプロセス、承認販売制度等について、Webサイトの調査、実地調査、関係者からの聞き取り調査等を行った。さらに、適切な販売のための資材(生活者向け情報提供ツール等)についても調査した。
<検討2>一般用医薬品に関する意識調査:生活者、薬剤師、医師を対象とし、一般用医薬品の使用経験、一般用医薬品に対する期待、健康食品に対する期待、一般用医薬品・一般用検査薬に求められる種類などを調査した。生活者についてはWeb調査会社が有する調査対象集団から無作為に国民を抽出し、Webを介してアンケートへの回答を収集する。薬剤師は日本薬剤師会および日本チェーンドラッグストア協会の会員薬局薬剤師に協力を依頼し、回答はWebを通じて収集した。医師については日本医師会に依頼し、次年度に集計結果が出される。
<検討2>一般用医薬品に関する意識調査:生活者、薬剤師、医師を対象とし、一般用医薬品の使用経験、一般用医薬品に対する期待、健康食品に対する期待、一般用医薬品・一般用検査薬に求められる種類などを調査した。生活者についてはWeb調査会社が有する調査対象集団から無作為に国民を抽出し、Webを介してアンケートへの回答を収集する。薬剤師は日本薬剤師会および日本チェーンドラッグストア協会の会員薬局薬剤師に協力を依頼し、回答はWebを通じて収集した。医師については日本医師会に依頼し、次年度に集計結果が出される。
結果と考察
<検討1>調査した国のうち日本も含めて米国以外の国では、非処方せん薬は再分類化され、薬局販売薬と一般小売店販売薬に分けられ、薬局販売薬には販売者が薬剤師に限定されているものがあった。しかし、米国は非処方せん薬は全てが一般小売店で売れることになっていた。承認のプロセスでは、申請は製造販売業者からだけではなく誰でも行える場合が多く、保健省等の大臣の諮問会議で検討され、最終結論に至る前にパブコメを求める点を共通としていた。また、承認は非処方せん薬の基準がある場合は、日本の承認基準と同様の形で届出により承認される。一方、基準に載っていない場合は新薬として審査を受ける。その場合であっても処方せん薬の適応と同じであれば有効性について新たな情報の提出は必ずしも要求されず、オリジナルの処方薬での申請データや市販後安全性データなどを中心に論文等を根拠とすることができる。その際に重要なことは生活者が正しく使えるかと、間接的なリスクを十分に検討できる情報があることと、リスク最小化が講じられていることである。米国では処方せん薬を非処方せん薬にスイッチ化する際には、①ラベル理解度試験、②自己選択試験、③使用実態試験などの使用実態下を想定して正しく使用できるかを確認する試験が求められることがある。
一般用検査薬についてはどの国でも体外診断薬に分類され、リスクに応じたクラス分類によって承認や販売が変わった。各国に共通の検査薬として血糖値、妊娠・排卵チェックなどがあった。各国とも、一般用検査薬の承認は不要であるか、届出申請でよい場合が多く、代わりに市販後に十分に監視・指導することになっていた。
<検討2>一般用医薬品および一般用検査薬に関する意識調査では、生活者は一般用医薬品について利便性が高いと感じていた。また、一般用検査薬としては侵襲性が低い検査方法を求めていた。薬剤師が一般用検査薬に求める要件としては、検体採取の簡便性、結果の相談先が明確、結果の評価が容易などが挙げられていた。また、地域医療や健康管理において参考になる検査として、「血糖値」、「HbA1c」、「コレステロール、中性脂肪」といった生活習慣病に関する検査項目が挙げられた。
一般用検査薬についてはどの国でも体外診断薬に分類され、リスクに応じたクラス分類によって承認や販売が変わった。各国に共通の検査薬として血糖値、妊娠・排卵チェックなどがあった。各国とも、一般用検査薬の承認は不要であるか、届出申請でよい場合が多く、代わりに市販後に十分に監視・指導することになっていた。
<検討2>一般用医薬品および一般用検査薬に関する意識調査では、生活者は一般用医薬品について利便性が高いと感じていた。また、一般用検査薬としては侵襲性が低い検査方法を求めていた。薬剤師が一般用検査薬に求める要件としては、検体採取の簡便性、結果の相談先が明確、結果の評価が容易などが挙げられていた。また、地域医療や健康管理において参考になる検査として、「血糖値」、「HbA1c」、「コレステロール、中性脂肪」といった生活習慣病に関する検査項目が挙げられた。
結論
非処方せん薬は生活者が自ら使用することから、安全を確保するために消費者行動調査などを行い、生活者が正しく使えるか(用量、使用期間、乱用など)や間接的なリスク(誤診、診断の遅れ)について十分に検討し、リスク最小化を講じることが重要である。一般用検査薬はいずれの国でも体外診断機器の1つに分類され、人体に対する影響に基づいていずれの国でもクラス分類がされていて、販売に当たって届出が必要な場合と承認が必要な場合、いずれも不要な場合に分けられている。各国とも市販前よりも市販後の安全性監視に重点が置かれており、一般用検査薬の普及においては市販後調査のあり方を検討しておく必要がある。一般用医薬品および一般用検査薬に関する意識調査については、今後これらの調査結果をもとに、一般用医薬品および一般用検査薬に求められる要件等を整理し、現在の実情にあった一般用医薬品および一般用検査薬について検討する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-05-28
更新日
-