文献情報
文献番号
201305011A
報告書区分
総括
研究課題名
薬価算定基準における画期性及び有用性加算の加算率の定量的算出法に係る研究
課題番号
H25-特別-指定-021
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(北里大学薬学部 臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
- 中村 哲也(群馬大学医学部附属病院)
- 小林 江梨子(千葉大学大学院 薬学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新薬の薬価は、類似の薬効を有する既収載品目(既に薬価基準に収載されている品目)の薬価に合わせて算定すること(類似薬効比較方式)が原則とされているが、新薬が既収載品目に比べて高い有用性を有する場合には、算定薬価に一定の加算を行うことによって当該新薬の有用性が評価される。有用性の評価に基づく加算には、現在、画期性加算、有用性加算(1)、有用性加算(2)の3種類が設定され、各々の要件及び加算率の幅が示されている。しかしながら、個別の新薬の薬価算定時に上記の画期性又は有用性加算への該当性を判断する場合の、各要件の充足の度合と適用される加算率の関係は必ずしも明確にされていない。このような背景のもと、本研究では、新薬の有用性をいくつかの因子に分解し、それぞれの充足に係る比重を勘案して各因子の充足度を積算することにより、画期性加算及び有用性加算の加算率(%)を定量的に算出できる方法論を構築することを目的とする。
研究方法
平成20年度以降に薬価収載された全ての新薬について、公表資料に基づき、適用された画期性加算並びに有用性加算の加算実績を確認し、加算率、加算が適用された要件及びその根拠を明らかにした。次に、加算に際して充足しやすい要件/充足しにくい要件の項目及びその背景データ(根拠)を整理分析し、それに基づいて充足要件を細分化し、積み上げ可能な評価因子を策定した。最終的には、細分化した充足要件(因子)をリスト化し、これまでの加算事例を当該リストにより採点し直し、どのような評価となるのか等、その評価基準の妥当性等を検討し、細分化した充足要件の難易度の再調整を行った。以上の検討結果に基づき、チェックリスト化した採点表形式の加算率算出のための運用ルールの提案を行った。
結果と考察
これまでの加算適用品目では加算率は実質的に5%刻みとなっていることから、「1ポイント=5%」の積み上げ制として検討した。加算の要件項目は、画期性加算、有用性加算(1)(2)で共通であることから、各要件項目内でのポイントの算出法は共通のものとした。また、画期性加算又は有用性加算(1)の要件を満たすと判断される場合には、基準ポイントとして画期性加算には11ポイント、有用性加算(1)には5ポイントをあらかじめ与えることとし、その上に該当する要件項目内のポイントを積み上げる方式とした。
上記の方針を踏まえ、加算の要件項目(イ.臨床上有用な新規の作用機序を有すること、ロ.類似薬に比して高い有効性または安全性を有することが客観的に示されていること、ハ.当該新規収載品により当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること、ニ:製剤における工夫により類似薬に比して高い医療上の有用性を有することが客観的に示されていること)ごとに、細分化した要件項目とポイントを作成した。
併せて、原価計算方式による薬価算定における営業利益率の補整率についても、同様の方法論の提案を試みた。
上記の方針を踏まえ、加算の要件項目(イ.臨床上有用な新規の作用機序を有すること、ロ.類似薬に比して高い有効性または安全性を有することが客観的に示されていること、ハ.当該新規収載品により当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること、ニ:製剤における工夫により類似薬に比して高い医療上の有用性を有することが客観的に示されていること)ごとに、細分化した要件項目とポイントを作成した。
併せて、原価計算方式による薬価算定における営業利益率の補整率についても、同様の方法論の提案を試みた。
結論
本研究に基づく加算率算出等のための運用ルールを参考にすることにより、薬価算定プロセスにおける予見可能性及び透明性のより高い加算・補整ルールの運用が可能になると考えられる。今後の新たな加算・補整事例の蓄積に伴い、運用ルールの見直しを行っていくことも重要である。
公開日・更新日
公開日
2014-08-04
更新日
-