文献情報
文献番号
201305010A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づいた診療報酬改定を行うためのレセプトデータ利活用の手法についての研究
課題番号
H25-特別-指定-016
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学分野)
研究分担者(所属機関)
- 石川 ベンジャミン 光一(国立がん研究センターがん対策情報センター)
- 藤森 研司(東北大学大学院医学系研究科医学部医療管理学分野)
- 松田 晋哉(産業医科大学医学部公衆衛生学)
- 堀口 裕正(国立病院機構本部総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、レセプトデータを各種審議会における診療報酬改定等に係る議論に活用するためのデータベース・分析ツールの構築を検討し、プロトタイプを試作して求められる機能要件や実現可能性、有用性に係る検証等を行いながら、データベース・分析ツールに係る仕様案を策定することを目的とした。
研究方法
レセプトデータを診療報酬改定に利活用するに当たり、中央社会保険医療協議会等における各種資料の確認や厚生労働省保険局医療課へのヒアリング調査を行うとともに、国立病院機構144病院のレセプトデータ、および厚生労働省から提供されたNDBデータを分析資料として、データベース・分析ツールの項目や集計・分析内容を整理しながら、求められる機能や機能実現のための具体的手法等を検討した。そして、上記の分析資料を用いてプロトタイプの試作や各種処理過程における検証等を行い、データベース・分析ツールに係る仕様案を策定するとともに、本データベース・分析ツールを用いたレセプトデータ分析の応用可能性を検討した。
結果と考察
(1)「診療報酬改定にレセプトデータを利活用するための基礎的研究」では、これまでの診療報酬改定に係る論点や作業スケジュール、社会医療診療行為別調査の特別集計の枠組みを把握した。また、国立病院機構144病院のレセプトデータをもとに、傷病名の記録の信頼性は必ずしも高くないこと、算定日情報の入力状況は概ね良好であることを明らかにした。診療報酬改定の検討に当たって求められる絞り込み条件や分析軸、値等の集計内容、必要となるデータ項目を整理し、改定に係る作業では、任意の項目に対して柔軟性の高いアドホック分析を行うことが中心となることを示した。一定程度の集計処理の速度を実現するため、事前に準備したファクトテーブルを用いて行う集計と、集計の都度、条件に該当するレセプトを抽出し随時ファクトテーブルを作成して行う集計を分けて整理し、処理の効率化と柔軟性を両立する仕組みを提示した。そして、データベース・分析ツールの構築プロセスを整理し、各種データマート、ファクトテーブルの設計、集計処理の方法論等、求められる機能を実現するための具体的手法を示した。(2)「サンプルデータ等を用いた診療報酬改定のためのデータベース・分析ツールのプロトタイプの試作」では、国立病院機構144病院のレセプトデータをもとにデータベース・分析ツールのプロトタイプを試作し、Excel/ SQL Serverによる分析ツールを用いて処理プロセスの整理や実際の動作確認を行いながら、求められている機能の実現可能性があることを示した。そして、NDBデータを用いて同様の処理過程を再現し、本データベース・分析ツールで必要となる処理の動作確認や主な処理に要する時間等を明らかにした。(3)「レセプトデータ分析システム開発に関する研究」では、ExcelのPivotTableの処理内容からSQLクエリを作成して実行するシステムを検討し、処理速度等の課題を示した。(4)「診療報酬改定のためのデータベース・分析ツールに係る仕様案の策定と具体的活用手法の提案」では、診療報酬改定に係る作業のためのデータベース・分析ツールの仕様案を策定するとともに、本データベース・分析ツールを用いた研究や行政等におけるレセプトデータ分析の応用可能性を整理した。今後、データベース・分析ツールの仕様案にもとづいて実用化に向けた各種検討が進められること、また、より高度な集計・分析に対応することで研究や行政等における具体的な活用が進むことが期待される。また、他のデータと組み合わせたデータセットの整備、レセプトデータの質や精度の向上、レセプトの項目や作成ルールの見直しを進めるなど、さらなるレセプトデータの利活用の推進に向けた基盤整備を図ることで、医療の標準化や質向上に向けた様々な取り組みにも活用されていくことが望まれる。
結論
本研究の実施により、より高いエビデンスレベルの各種審議会における議論や次期診療報酬改定に繋げるための基盤となり得るデータベース・分析ツールのあり方を検討し、求められる機能やその実現可能性、有用性等を明らかにしたことで、実用化に向けた研究開発を一定程度進めることができたと考える。特に、NDBデータのデータサイズを踏まえて効率的かつ簡便に集計するためのビット演算を用いた「算定日bit」の方法論を提案したことは今後のデータベース・分析ツールの構築においても有意義である。また、レセプトデータ分析の基本的な方法論や集計・分析手順、分析に当たっての留意点を整理し、これからレセプトデータ分析に取り組む関係者にとっても有用な知見を示したと考える。本研究の成果を通じて、未だ実績が少ないNDBデータを用いた研究や行政等におけるレセプトデータの活用が今後より一層進んでいくことが期待される。
公開日・更新日
公開日
2014-08-04
更新日
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