文献情報
文献番号
201303038A
報告書区分
総括
研究課題名
化粧品等のQSAR/in silico/インフォマテクス技術等の安全性評価応用に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-地球規模-指定-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
石田 誠一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
研究分担者(所属機関)
- 松永 民秀(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
- 水口 賢司((独)医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化粧品国際的規制調和活動の場での日本のリーディングのために必要な行政的提案を行うため、QSAR/インフォマテクス技術などを活用したin silico解析技術、及びヒトiPS細胞由来各種細胞等を利用した新たな試験系との融合による安全性評価の国内外の最新の動向を収集し、安全性予測のヒトへの外挿性や正確性の向上の可能性を明らかにすることを目的とする。
研究方法
細胞が持つ多種多機能な細胞活性を考慮し、既存の培養細胞や幹細胞から分化させた細胞をin vitro試験法に使用した際の特質や機能を整理した。ついで、現在ハイスループット化がすすんでいる細胞応答データの収集プラットフォームにおいて、どの程度の規模でデータを収集することが可能かを検討した。現在国内外で整備され始めているQSAR/in silico/インフォマテクス技術を応用した薬物動態予測システムや毒性予測システムの情報収集を行い、in silico解析技術によるin vitro試験法支援を行うための指針を提示し、今後収集整備すべき体内動態及び毒性情報について検討した。
結果と考察
ゲノミクスに代表されるいわゆるオミクス解析や、細胞のオルガネラレベルでの応答性を数値化するハイコンテントアナリシスにより、生体異物に対する細胞応答の大規模データの取得と毒性予測への応用が開始されており、先行研究が報告されている。従来は、このような研究には、樹立培養細胞株が用いられてきたが、山中らによるiPS細胞の開発により、ヒト初代培養に近い各種臓器細胞の利用が期待されている。iPS細胞からの臓器細胞の供給に関して、主に、肝実質細胞と小腸の腸管上皮細胞の分化誘導系について検討を加えたが、成人の初代培養細胞と比較して、いずれも細胞の成熟度に問題があるのが現状であった。しかしながら、肝実質細胞に関しては、昨年度に実施された市販細胞の機能評価と比べて、本年度は機能の向上が認められており、今後の開発、供給体制の整備が進むことが望まれた。
医薬品等への肝細胞の毒性応答に関しては医薬基盤研TGPデータが既に世界的に見ても、質量とも十分なデータベースとして整備されており、今後その活用を推し進める必要がある。また、iPS細胞からのヒト組織様細胞の供給が可能になると、“ヒト”への外挿性の高いデータベースの構築が可能となると考えられる。また、心筋におけるシミュレーションモデルの例にあるように、他の臓器(例えば肝臓)でも、コンピュータによる細胞機能のシミュレーションとin vitro試験系を組み合わせることでより高次のヒトでの毒性予測(“計算毒性学”)が可能になると考えらえる。
欧米では、既にそのような方向での大規模なプロジェクトが進行中である(EU:SEURAT、米国:Tox21)。EUはEU化粧品指令への対応を基本とした代替法への移行が主たる流れである。一方、米国は毒性の懸念される化学物質の評価を整理して進めるために、生体異物の生体影響を分子機構に基づき推測する手法の確立を目標に据えている。既に、十分な経験と知見が蓄積され始めており、それと比較するに我が国の対応状況の出遅れは否めない。この分野において、欧米との積極的な交流を進める必要性があるが、米国Tox21の責任者の一人であるNIEHSのDr. Raymond Ticeも同意見であった。
日本では、医薬品副作用の大規模疫学データベースの構築が厚生労働省主導で進んでおり(MID-NET、MIHARI)、iPS細胞技術を活用したin vitro試験系と組み合わせた統合データベースを構築することでヒトレベルでの薬剤性肝障害等の確度の高い予測系の構築が期待できる。
日本における“計算毒性学”の立ち上げが必須の流れと考えられるが、CBI学会(情報計算科学生物学会)内に「計算毒性学」研究会が設立された。2014年度にはキックオフミーティングやシンポジウムが企画されており、各方面からの活動の支援が期待される。
医薬品等への肝細胞の毒性応答に関しては医薬基盤研TGPデータが既に世界的に見ても、質量とも十分なデータベースとして整備されており、今後その活用を推し進める必要がある。また、iPS細胞からのヒト組織様細胞の供給が可能になると、“ヒト”への外挿性の高いデータベースの構築が可能となると考えられる。また、心筋におけるシミュレーションモデルの例にあるように、他の臓器(例えば肝臓)でも、コンピュータによる細胞機能のシミュレーションとin vitro試験系を組み合わせることでより高次のヒトでの毒性予測(“計算毒性学”)が可能になると考えらえる。
欧米では、既にそのような方向での大規模なプロジェクトが進行中である(EU:SEURAT、米国:Tox21)。EUはEU化粧品指令への対応を基本とした代替法への移行が主たる流れである。一方、米国は毒性の懸念される化学物質の評価を整理して進めるために、生体異物の生体影響を分子機構に基づき推測する手法の確立を目標に据えている。既に、十分な経験と知見が蓄積され始めており、それと比較するに我が国の対応状況の出遅れは否めない。この分野において、欧米との積極的な交流を進める必要性があるが、米国Tox21の責任者の一人であるNIEHSのDr. Raymond Ticeも同意見であった。
日本では、医薬品副作用の大規模疫学データベースの構築が厚生労働省主導で進んでおり(MID-NET、MIHARI)、iPS細胞技術を活用したin vitro試験系と組み合わせた統合データベースを構築することでヒトレベルでの薬剤性肝障害等の確度の高い予測系の構築が期待できる。
日本における“計算毒性学”の立ち上げが必須の流れと考えられるが、CBI学会(情報計算科学生物学会)内に「計算毒性学」研究会が設立された。2014年度にはキックオフミーティングやシンポジウムが企画されており、各方面からの活動の支援が期待される。
結論
化粧品等の安全性評価では、動物実験の代替が急がれており、毒性発現の作用機構に基づく評価が求められている。そのため、大量データの処理に必要なインフォマテクス技術、ヒトiPS細胞由来各種細胞等を利用した新たな試験系との融合により、従来の動物試験では実現できなかったヒトに近い安全性予測モデルの開発が期待されており、欧米では大規模なプロジェクトが開始されている。日本においても、日本発であるiPS細胞を利用したin vitro試験法の開発や、医薬基盤研TGPデータやMID-NET、MIHARIなどのデータベースの活用を通じて、ヒト細胞を利用した毒性評価系とコンピュータが支援する予測系の融合を目指す“計算毒性学”の確立が急務となっている。
公開日・更新日
公開日
2017-05-30
更新日
-