医薬品・医薬品添加剤のGMPガイドラインの国際整合化に関する研究

文献情報

文献番号
201303022A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品・医薬品添加剤のGMPガイドラインの国際整合化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-地球規模-指定-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構  品質管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山行雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 坂本知昭(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 木嶋敬二(日本医薬品添加剤協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、国際整合化に必要な内容を把握した上で、国内外の製薬業界、行政当局双方にとって利用しやすいよう、GMPガイドラインの国際化及び体系化を提案することである。最終年の25年度には、これら研究の成果としてGMP施行通知の改訂及びその解説書的存在である、GMP事例集を改訂することで、製薬業界、行政当局への国際レベルのGMPの浸透を促すことを目的とした。
一方、医薬品添加剤については、国際的な品質管理の基準を視野に入れた基準を整備する事は必要であり、医薬品添加剤メーカーの品質の管理状況及び海外での基準の動向を調べてGMP自主基準の提言整備を行うことを目的とする。
研究方法
研究者のメンバーとして、業界団体等としては、日本製薬団体連合会の品質委員会のメンバーを中心に検討を依頼した。一方、GMP調査を行う側として、独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部、国内の7ブッロクの都道府県のGMP調査員の代表者から構成したGMP調査当局会議のメンバーの協力を得た。具体的には以下の方法にて実施した。
Ⅰ.日本国内のGMPガイドラインと国際的な査察団体(PIC/S)の利用するガイドラインを翻訳・理解した上で公表する。また、このPIC/S GMPガイドラインを参考に、国際的に整合性がとれたGMPガイドラインの作成および体系化の提案を行う。
Ⅱ.欧州各国のGMP査察当局が参加しGMPガイドラインの作成を行っているGMP inspectors working group及び国際的査察団体であるPIC/Sの年次会議に参加し、GMPガイドライン作成及びその運用ついて把握する。
Ⅲ.GMP課長通知に盛り込んだ項目のうち、“製品の定期的品質照査の実施”については、中小の製薬企業に参考になるような事例が必要と考え、ワーキンググループを設置の上、作成する。
Ⅳ.医薬品添加剤ついては、「The Joint IPEC–PQG Good Manufacturing Practices Guide FOR PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS」を調査し、品質マネージメントシステム等を精査し補完すべき項目を明らかにする。
結果と考察
GMPガイドラインの国際整合性確保について、日本国内のGMPガイドラインと国際的な査察団体の利用するガイドラインの内容比較を行い、国内ガイドラインとの間に大きな乖離がないことが確認できたが、さらなる国際整合を図る目的で(1)バリデーション基準の改訂、(2)製品品質の照査の導入、(3)安定性モニタリング、(4)原材料の参考品としての保管、(5)原材料メーカーの管理、(6)リスクマネジメントの概念の取り込み、の6項目を抽出した。最終的には6つの項目を含めた内容を、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知として発出した。
さらに、上記の通知の改定に伴う具体的な解釈や事例紹介については、既に業界等で活用しているGMP事例集を改訂することで取り組んだ。この事例集の改訂版を発出するに至った。
“製品の定期的品質照査の実施”については、ワーキンググループを設置し、取り組むこととした。製品のライフサイクルにおいて、この照査を定期的に実施することで、品質の恒常性を確保し、有効性と安全性を保証しようとするものである。
医薬品添加剤については、その流通が、国内にとどまらず、海外にも販路を伸ばしている実情から、国内の品質管理の基準も国際的に通用する基準が望まれる。特に品質マネージメントシステムは海外においては重要視されており、これを取り入れることで基準書の整備がなされることとなる。
結論
品質保証の充実の観点とグローバルの観点から単なるガイドラインではなく、拘束性の高いGMP施行通知に盛り込むべき事項を検討し、(1)バリデーション基準の改訂、(2)製品品質の照査の導入、(3)安定性モニタリング、(4)原材料の参考品としての保管、(5)原材料メーカーの管理、(6)リスクマネジメントの概念の取り込み、の6項目を抽出した。これらについて、平成25年8月30日付薬食監麻発0830第1号として厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知として発出した。
また、新規に通知に入れた6項目について従来からあるGMP事例集に解説することを目的として改訂版(厚生労働省事務連絡)を平成25年12月19日に発出するに至った。
さらに中小の企業が取り組みやすいよう、「製品品質の照査」に関するモックを作成した。
一方、医薬品添加剤のGMP自主基準に関し、医薬品と同等の基準での管理の必要性が期待されている状況下にあり、特に品質マネージメントシステムを取り入れる等の基準へと整備する必要があると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-07-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
201303022B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品・医薬品添加剤のGMPガイドラインの国際整合化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-地球規模-指定-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構  品質管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山行雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 坂本知昭(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 木嶋敬二(日本医薬品添加剤協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、国内のGMPガイドラインと国際的な査察団体の利用するガイドラインの内容比較を行い、国際整合化に必要な内容を把握した上で、国内外の製薬業界、行政当局双方にとって利用しやすいよう、ガイドライン全体の体系化を提案することを目的とする。
最終的には、GMP施行通知の改訂及びその解説書的存在である、GMP事例集を改訂することで、製薬業界、行政当局への国際レベルのGMPの浸透を促すことを目的とした。
研究方法
以下、ⅠからⅢの方法で実施した。
Ⅰ.GMPガイドラインの国際整合化及び体系化
GMPガイドラインと国際的な査察団体(PIC/S)の利用するガイドラインとしてPIC/S GMPガイドラインの比較検討を行い、国際的に整合性がとれたGMPガイドラインの作成および体系化の提案を行う。
Ⅱ.国際的なGMPガイドラインの作成状況及び運営状況の調査
欧州各国のGMP査察当局が参加しGMPガイドラインの作成を行っているGMP inspectors working group及び国際的査察団体であるPIC/Sの年次会議に参加し、GMPガイドライン作成及びその運用ついて把握した上で、国内ガイドラインの体系化の参考とする。
Ⅲ.医薬品添加剤の国際的自主GMP基準
医薬品添加剤の国内及び海外自主基準を比較し、品質管理に関する考え方の整理を行う。また、医薬品添加剤製造企業へのアンケート調査を行い、医薬品添加剤の品質管理に関する考え方の整理を行い、IPEC Europeと IPEC AmericasとのジョイントGMPの査察部分であるオーディットガイドラインの翻訳を行う。
結果と考察
国際査察団体(PIC/S)のGMPガイドラインと国内のGMPガイドラインの比較分析結果から両者に大きな差異はなかったものの、品質保証の充実の観点とグローバルの観点から単なるガイドラインではなく、拘束性があるGMP施行通知に盛り込むべき事項を検討した。以下の6項目を、GMP施行通知への記載を提案した。(1)リスクマネジメントの概念の取り込み、(2)製品品質の照査の導入、(3)原材料メーカーの管理、(4)安定性モニタリング、(5)原材料の参考品としての保管、(6)バリデーション基準の改訂
 改訂したGMP/QMS事例集は(1)~(6)に関する事例解説のほか、従来からある事例で不要部分や不適切な記載についても検討し、改訂案として厚生労働省に提案した。
一方、医薬品添加剤の海外自主基準の調査については、国内の医薬品添加剤自主基準が、各医薬品添加剤の製造においてその製品の製造での適切性に重点を置いているのに対し、欧米の自主基準はISOの考えかたを基本におき、医薬品添加剤の製造における適切なマネジメント体制を整備すること主眼としていることを確認した。
結論
医療用ガスと植物性医薬品の一部の工程(刻み工程)については、業界団体の自主基準を作成・改訂し、それを厚生労働省から事務連絡とすることで国内ガイドラインの位置づけとして国際整合を図った。差異の無い部分についてついては、国際査察団体(PIC/S)のGMPガイドラインを国内のGMPガイドラインに一部とすることで国際整合を確保した。
本年度(2年目)は、品質保証の充実の観点とグローバルの観点から単なるガイドラインではなく、拘束性の高いGMP施行通知に盛り込むべき事項を検討し、(1)バリデーション基準の改訂、(2)製品品質の照査の導入、(3)安定性モニタリング、(4)原材料の参考品としての保管、(5)原材料メーカーの管理、(6)リスクマネジメントの概念の取り込み、の6項目を抽出した。これらについて、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知として発出された。また、新規に通知に入れた6項目について従来からあるGMP事例集に開設することを目的として改訂版(厚生労働省事務連絡)が平成25年12月19日に発出されるに至った。さらに中小の企業が取り組みやすいよう、「製品品質の照査」に関するモックを作成した。
今後、このGMP課長通知の上位に位置するGMP省令の改正、PIC/S GMPガイドラインの改定に伴う国内事務連絡の改定、さらに必要と考えられる事例等を研究し、公表することで製造所側及び行政側のGMPに対する理解を継続的に促す取り組みを行う必要がある。
 医薬品添加剤のGMP自主基準に関しては、医薬品添加剤を使用する医薬品企業は、GMP省令を根拠に品質管理を行っているため、医薬品添加剤についても同等の基準での管理を望んでいる。また、国際的な観点から海外に通じる基準での管理も要求されつつある状況下にあり、特に品質マネージメントシステムを取り入れる等の基準へと整備する必要があると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-07-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201303022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、国際的な医薬品、医薬品添加物のGMPガイドラインを国内で活用可能(国際的な整合性)とすることとで国内に流通している医薬品、医薬品添加物の品質の確保を図り、国民の安心・安全を得ることである。GMP分野の研究として専門性が高い。特に製品品質の照査に関するモック作成は製薬企業において具体的な実施方法を示したものであり高く評価されている。
臨床的観点からの成果
本研究は医薬品、医薬品添加剤の製造管理、品質管理に関する研究で有り、臨床的観点での結果は得ていない。
ガイドライン等の開発
主に厚労省から発出された通知、事務連絡
1)PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について(平成24年2月1日)
2)GMP調査要領の制定について (平成24年2月16日)
3)「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」の一部改正について(平成25年3月28日)
4)医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて (平成25年8月30日)
5)製品品質の照査報告書記載例について(平成26 年6 月13 日)
その他行政的観点からの成果
本研究は、国際的な医薬品、医薬品添加物のGMPガイドラインを国内で活用可能(国際的な整合性)とすることとで国内に流通している医薬品、医薬品添加物の品質の確保を図り、国民の安心・安全を得ることである。これらの結果として、国内の製薬企業やGMP調査員(PMDAや47都道府県)の質向上に寄与することができた。今後、国際的な動向を継続的に確認し、業界等に発信することが肝要である。また、本研究により、国際的なGMP査察団体(PIC/S)加盟のための要件を満たすこととなり大きな成果を得た。
その他のインパクト
業界誌への投稿や関連講演会での講演多数。

発表件数

原著論文(和文)
2件
業界誌での公表。
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
業界誌での公表。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
国内の製薬業界等の講演会として。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
5件
厚労省からの通知、事務連絡として。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-23
更新日
2018-06-05

収支報告書

文献番号
201303022Z