生活習慣病対策における国際貢献の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201303006A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病対策における国際貢献の推進に関する研究
課題番号
H24-地球規模-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中村 桂子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非感染症(Non-communicable Disease: NCD)は世界の疾病負荷の60%をしめ、今後はさらに途上国におけるNCDによる疾病負荷の増大が予測され、予防対策と適切な疾病管理の体制構築が急務である。
 世界保健機関(WHO)によるNCD予防とコントロールに関するグローバル行動計画(2008)、国連ハイレベル会合決議(2011)において、リスクファクター、社会的健康決定要因について、政府のすべての部門による予防とコントロール(Health in All Policies:HiAL)に取組むべきことが指摘されている。
 この研究の目的は、わが国の生活習慣病対策の成果に基づき、効果的なNCD対策手法、健康日本21などの地域の目標設定手法による対策の推進とその評価、多部門と共同で取り組むHiALの政策立案と事業計画および進捗評価のデータベースを作成し、これらに基づき、国外の諸地域に適用可能な生活習慣病対策とその適用方法を明らかにすることである。
研究方法
(1)アジア太平洋地域の諸都市において住民の健康を重視する都市政策を展開しているAlliance for Healthy Citiesの都市の協力を得て、アジア太平洋地域の各国におけるNCD予防に関する地域住民の生活習慣の状況、NCD予防を目的とした事業の実施状況、NCD予防活動の評価に関する現状を調査した。
(2)NCD予防・コントロールの多セクターの連携事例の検討を行った。
(3)NCD予防・コントロールの評価指標について、各国の事例に基づいて検討を行った。
(4)途上国に適用するNCD予防・コントロールガイドラインの要件を示した。
結果と考察
NCD予防啓発は、都市単位で住民のライフスタイル、情報へのアクセス、特徴的なセッティングを把握した上での日常的な情報提供、生活の場に密着した相談事業による、持続的な方法が有効であり、健康を重視する政策の展開、健康的な生活を重視する住民活動、あらゆるセティングを活用した活動の有用性がある。
 一方、NCDとその予防に関する情報が断片的であり、住民がNCD予防に取り組むにあたっての技能を獲得するための教育手法が十分ではない。ライフスタイルの変化、入手可能な食糧、都市交通、土地利用、産業の変化に伴って、重点課題や予防の方法が異なることを、住民が理解し、最適な予防法を選択するリテラシーの向上が必要である。
結論
NCD予防の計画立案のためのNCD疾病状況、予防活動、ライフスタイル、情報へのアクセス、セティング単位のNCD予防活動、食糧、都市交通、土地利用、産業の状況を分析する基礎調査を提案した。NCD予防活動、多部門間連携活動、情報の量と質、NCD予防活動認知度およびNCDリスク要因の評価指標を提案した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201303006B
報告書区分
総合
研究課題名
生活習慣病対策における国際貢献の推進に関する研究
課題番号
H24-地球規模-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中村 桂子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非感染症(Non-communicable Disease: NCD)は世界の疾病負荷の60%をしめ、今後はさらに途上国におけるNCDによる疾病負荷の増大が予測され、予防対策と適切な疾病管理の体制構築が急務である。
 世界保健機関(WHO)によるNCD予防とコントロールに関するグローバル行動計画(2008)、国連ハイレベル会合決議(2011)において、リスクファクター、社会的健康決定要因について、政府のすべての部門による予防とコントロール(Health in All Policies:HiAL)に取組むべきことが指摘されている。
 この研究の目的は、わが国の生活習慣病対策の成果に基づき、効果的なNCD対策手法、健康日本21などの地域の目標設定手法による対策の推進とその評価、多部門と共同で取り組むHiALの政策立案と事業計画および進捗評価のデータベースを作成し、これらに基づき、国外の諸地域に適用可能な生活習慣病対策とその適用方法を明らかにすることである。
研究方法
(1)政府、自治体、企業、住民組織を対象とする国内における健康推進、NCD予防の実施状況と評価の方法に関する基礎調査を実施した。
(2)アジア太平洋地域の諸都市において住民の健康を重視する都市政策を展開しているAlliance for Healthy Citiesの都市の協力を得て、アジア太平洋地域の各国におけるNCD予防に関する地域住民の生活習慣の状況、NCD予防を目的とした事業の実施状況、NCD予防活動の評価に関する現状を調査した。
(3)NCD予防・コントロールにおける、多分野横断的な取組の事例を収集した。
(4)NCD予防・コントロールの評価指標について、各国の事例に基づいて検討を行った。
(4)途上国に適用するNCD予防・コントロールガイドラインの要件を示した。
結果と考察
 日本の都市単位で実施しているNCD予防・コントロールを目的とした地域調査の手法、地域の評価指標について分析を行った。NCDの有病状況、受療状況、健康診断受診状況、生活習慣の他、地域の健康推進活動への参加状況、民間サービスの活用状況、地域住民との相互支援と交流の状況、地域の交流活動への参加状況の情報収集に基づき、NCD予防活動を推進する地域資源開発を行っている。NCD予防に関する多部門間協力の事例として、安全な歩行通路の整備、自転車通行路の整備、全ての住民が同様にアクセス可能な公共交通の整備について分析した。多部門の人材に対する健康推進のプロセスに関する情報提供、多部門の参加による事業開発が、多部門間連携の強化に関与することが示唆された。
 韓国、中国、オーストラリア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、モンゴルにおける各国、諸都市のNCD予防・コントロールを目的とした調査、計画、事業とその評価に関する事例分析を行った。韓国、台湾の都市の一部では、目標設定型のNCD予防の計画に着手していた。一方、基礎自治体単位の、ポピュレーションベースのNCDの罹患、有病状況、喫煙、食生活、運動習慣などの生活習慣に関する基礎データベースは整っておらず、アウトカムとプロセス評価においての指標設定に課題があった。都市単位でのNCD予防啓発事業の取組が開始されており、NCD予防は、都市住民の健康推進の優先課題のひとつに組み入れられている。
結論
 NCD予防の計画立案のためのNCD疾病状況、予防活動、ライフスタイル、情報へのアクセス、セティング単位のNCD予防活動、食糧、都市交通、土地利用、産業の状況を分析する基礎調査を提案した。NCD予防活動、多部門間連携活動、情報の量と質、NCD予防活動認知度およびNCDリスク要因の評価指標を提案した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201303006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本の都市単位のNCD予防・コントロールの地域調査、計画、評価の手法をふまえ、国や地域に適した地域調査と評価の方法について提案した。
開発途上国の生活習慣病と社会経済水準との関係に関する分析から、一律の生活習慣病対策は、いわゆる「Prevention Paradox」をもたらす可能性があることについて考察を行った。
臨床的観点からの成果
生活習慣病対策の効果が、対象者の社会経済水準や居住環境条件により異なることから、一律の健康教育や予防対策ではなく、セティングなどの単位ごとにプログラムを用意すること、また、特に不利な立場にある集団を想定したプログラムの開発が必要であることの根拠を示した。
ガイドライン等の開発
WHO西太平洋地域のRegional Framework for Urban Health in the Western Pacific 2016-2020、同中間評価において、本研究成果が参照された。WHO西太平洋地域事務局が支援するAlliance for Healthy Citiesの参加都市におけるNCD予防の活動の評価にあたり、本研究成果が参照された。
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
アジア各国の自治体が参加するAlliance for Healthy Cities国際大会(2012年10月ブリスベン、2014年10月香港、2016年8月原州)において、日本の都市の事例と分析結果に基づくNCD予防のセッションを企画運営し、アジア各国におけるNCD予防の技術交流をはかった。 2017年12月にベルリン(ドイツ)で開催されたWHOのヘルスプロモーションに関するワークショップにおいて、西太平洋地域のNCD予防に関する報告を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
8件
アジア各国の自治体が参加するAlliance for Healthy Cities国際大会、行政関係者を対象とする研修会においてNCD予防のセッションを企画運営した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
2019-07-01

収支報告書

文献番号
201303006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 122,210円
人件費・謝金 969,365円
旅費 369,710円
その他 88,715円
間接経費 450,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-