文献情報
文献番号
201301017A
報告書区分
総括
研究課題名
診療報酬の適正評価のための看護ケア技術体系化に向けた研究
課題番号
H24-政策-一般-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山田 雅子(聖路加国際大学 教育センター)
研究分担者(所属機関)
- 井部 俊子(聖路加国際大学 看護学部)
- 岡谷 恵子(東京医科大学 医学部看護学科)
- 任 和子(京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻)
- 齋藤 訓子(公益社団法人日本看護協会 )
- 田倉 智之(大阪大学大学院医学系研究科 医療経済産業政策学)
- 柳井 晴夫(聖路加国際大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,300,000円
研究者交替、所属機関変更
2014年4月より、大学名が変更になり、所属も変更になりましたので、お知らせ申し上げます。
聖路加国際大学 教育センター
連絡先、メールアドレスの変更はございません。
研究報告書(概要版)
研究目的
診療報酬の適正評価を行うために、専門性の高い知識と技術が必要とされる「看護ケア技術」を抽出し、技術難易度・アウトカム・医療費原価等の評価指標を用いた「看護ケア技術」の価値に基づく体系化を行うことを目的とする。
研究方法
初年度(H24年度)は、諸外国の医療・看護技術の評価についての文献検討を通じ、わが国に応用可能な医療・看護の技術の評価指標を検討し、その後看護系学会等社会保険連合・加盟学会を対象に調査し体系化すべき看護ケア技術項目を抽出した。昨年度(H25年度)は、抽出された看護ケア技術を更に分析し、看護ケアを提供する患者像の検討を行った。合わせて看護ケア技術を判断と手技に分けた技術の同定の検討を行った。患者像と看護ケア技術内容の妥当性の検討を行った上で、技術難易度・アウトカム・人件費等の評価指標を用いて、看護ケア技術の価値を評価するためのプレテストを実施した。今年度は(H26年度)は、患者像と看護ケア技術内容のさらなる検討を行い、より医療現場に即した質問紙を作成した上で、二次調査を実施し、得られたデータより看護ケア技術の体系化を行う。
結果と考察
2次調査に向けたプレテストは、92名の看護職から回答が得られた。調査は看護ケア技術を行うことに対して看護師が感じている負荷5項目と、その技術を行ったことにより期待される効果6項目の関連を見た。統計的に有意に高い相関関係に着目したところ、A2の患者像に対する「せん妄予防ケア」は「社会復帰の促進効果」と関連し、A1の患者像に対する「肺炎予防ケア」は「苦痛緩和効果」「社会復帰の促進効果」と関連し、B2の患者像に対する「転倒転落予防ケア」は「看護師の精神的負担」が効果すべての項目と関連しさらに「在院日数の短縮化」とも関連していた。生命の危機度が低いC1の患者像に対得る「嚥下障害のある患者への食事介助」は看護師の「精神的負担」と「知識・判断の負荷」と「手技的な負荷」が複数の効果と関連を示し、特に「QOLの改善効果」には看護師の負荷を示す4項目が関連していた。
一方、看護師が認識する負荷の内「時間拘束の負荷」とその技術提供にかかる時間的要素を聞いた「1回に要する時間」と「1日の実施回数」の間には一定の傾向を確認することができなかった。調査票の自由記載から考えると、看護ケア技術には、患者と看護師が1対1で、あるまとまった時間に関わることで目的を達成するケアと、1日の時間の流れの中で断続的に関わるケアがあるという一つの特性が浮き彫りとなった。
また看護ケアに対する効果のうち、「社会復帰の促進効果」は「在院日数の短縮効果」と表裏の関係にあると考えられたが、数量的にはそれを裏付けするような結果を得ることができなかった。このこは、「社会復帰の促進効果」について回答者の認識が多様であるのではないかと推測することができた。具体的な状況をイメージして回答することができるよう、説明を追加する必要性が示唆された。
一方、看護師が認識する負荷の内「時間拘束の負荷」とその技術提供にかかる時間的要素を聞いた「1回に要する時間」と「1日の実施回数」の間には一定の傾向を確認することができなかった。調査票の自由記載から考えると、看護ケア技術には、患者と看護師が1対1で、あるまとまった時間に関わることで目的を達成するケアと、1日の時間の流れの中で断続的に関わるケアがあるという一つの特性が浮き彫りとなった。
また看護ケアに対する効果のうち、「社会復帰の促進効果」は「在院日数の短縮効果」と表裏の関係にあると考えられたが、数量的にはそれを裏付けするような結果を得ることができなかった。このこは、「社会復帰の促進効果」について回答者の認識が多様であるのではないかと推測することができた。具体的な状況をイメージして回答することができるよう、説明を追加する必要性が示唆された。
結論
二次調査のプレテストとして、便宜的に、4つの看護技術ケア:せん妄予防ケア、人工呼吸器関連肺炎予防ケア、転倒転落予防ケア、嚥下障害のある患者に対する食事介助を選択し、生命危機度とセルフケア依存度の2軸で想定しうるいくつかの患者像をもとに、それぞれの看護ケア技術にかかる看護師の不可、時間、予防効果の関連について質問紙を用いて調査を行った。
プレテストの結果、看護ケア技術には、患者と一定の時間関わることで目的を達成するケアと、1日の時間の流れの中で断続的に提供されるケアがあることが明らかとなった。プレテストで取り扱ったケアは1日を通じ断続的に提供されるけがが多く、今回の調査票では、回答が困難であることが明らかとなった。
今後、二次調査を実施するに当たり、看護ケア技術の特徴にあった調査票の作成、具体的患者像の把握の必要性が明らかとなった。
プレテストの結果、看護ケア技術には、患者と一定の時間関わることで目的を達成するケアと、1日の時間の流れの中で断続的に提供されるケアがあることが明らかとなった。プレテストで取り扱ったケアは1日を通じ断続的に提供されるけがが多く、今回の調査票では、回答が困難であることが明らかとなった。
今後、二次調査を実施するに当たり、看護ケア技術の特徴にあった調査票の作成、具体的患者像の把握の必要性が明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2014-08-27
更新日
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