医療・介護連携において共有すべき情報に関する研究

文献情報

文献番号
201301006A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護連携において共有すべき情報に関する研究
課題番号
H23-政策-一般-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
福祉未来研究所(福祉未来研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は医療・介護の連携を制度面及び情報面から研究する。制度面では1年以上の長期入院と介護サービスを1つの制度で提供しているオランダに注目し、同国の研究機関との共同研究を実施して、医療・介護サービスの効果的な提供体系について検討する。現在のわが国の医療保険には療養病床や訪問看護のように長期にわたる医療費が含まれており、一方介護保険には老健施設のように短期のものが含まれている。その切り分けをもう少し明確にできれば、総体としての費用を軽減できる可能性がある。
 医療・介護の連携に関する情報面からの研究では、医療保険部門と介護保険部門の双方において、どのような情報を共有すべきであるか調査するとともに、その情報共有のためのツールの現状及びその開発を研究する。この際も、オランダにおける特別医療費保険(AWBZ) のデータセットを先行事例として取り上げる。研究の最終段階では、日本とオランダの比較研究を踏まえて、わが国の高齢者医療制度及び介護保険制度改革への提言を行う。
研究方法
申請者である福祉未来研究所が主体となって研究を推進する。オランダの専門家(大森正博氏、等)を加えて研究班を組織して研究を進める。
 オランダとの比較研究では、オランダで老年学等の研究実績のあるライデン大学内のライデンアカデミーと協力して、まず、特別医療費保険(AWBZ)の諸データ・運用状況を把握し、両国の高齢者医療・介護問題の共同研究を実施する。最終年には東京でWorkshopを開催し、双方向でそれぞれのレポートに対して建設的なコメントを出し合って共同研究の仕上げをする。その結果を踏まえて、日本における医療・介護サービスの効果的な提供体系についての提言を行う。
結果と考察
オランダは強制的家庭医(GP)システムに基づくゲートキーパー機能の重視、保険者間の管理された競争の導入等によって効率的な医療保険制度運営を行っている。一方、オランダは世界に先駆けて長期ケア(Long-term Care、LTC)保障に関する社会保険制度(AWBZ)を導入しているが、AWBZにはこのような効率化のために仕組みがなく、その費用増加がさし迫った大きな課題となっている。
オランダは人口の高齢化の程度が日本より低いが、今日でも医療費・高齢者介護費ともに日本より対GDP比が大きく、将来もその状態は変わらない。先進国の中で最も高い介護費を使っているオランダでは、効率化のincentive が組み込まれていないAWBZを縮小する制度改正が進行中である。オランダではコスト削減の方法として、順次、脱病院化、脱施設化、プライマリーケアの充実という方向へのケア提供体制の見直しが図られてきた歴史があり、切れ目のないケアの提供を模索する中で、地域における家庭医と地域看護師が中心となって多職種による連携を実現している。これらの点は日本にとっても大変参考になる。
医療と介護の連携を図る上で患者・利用者の情報を活用することが重要であることは日本・オランダとも共通であるが、オランダにおいてもZVW, AWBZ, WMOの制度毎に異なるITシステムが用いられており、制度横断的な情報システムの構築・活用は両国の今後の課題である。
日本で医療と介護の連携を進めるためには、後期高齢者保険と介護保険において「誰が連携を開始しなければならないか」を決めておくことが重要である。連携を始める義務を負わせる者は居宅介護支援者(ケアマネジャー)とし、在宅時医学総合管理料を取っている医師、在宅療養支援診療所の医師、要介護者を入院で受け入れる病院、訪問介護事業所、訪問看護ステーション等はサービス担当者会議に参加する(文書又はICTによる参加も可とする)義務を負わせて、情報の連携を図ることを提案する。また、後期高齢者医療保険や介護保険の保険者に相手側への情報提供義務を課し、市町村から情報技術によってケアマネジャーに情報を提供すべきことを提案する。
結論
給付については、オランダのAWBZが1年以上の医療、施設給付及び在宅の看護・介護サービスを提供しているが、施設給付には医師1人を擁するナーシングホームを含んでおり、在宅の医療そのものは家庭医に対しZVWから給付される。このようなシステムを参考にして日本においても、医師1人が必置の老人保健施設(老健)に長期入所させ、また特養に医師を置いた場合は報酬を増やして介護保険から給付することとし、医療療養病床を含め療養病床全体を老健に転換することを提案する。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

文献情報

文献番号
201301006B
報告書区分
総合
研究課題名
医療・介護連携において共有すべき情報に関する研究
課題番号
H23-政策-一般-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
福祉未来研究所(福祉未来研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 磯部文雄(福祉未来研究所)
  • 府川哲夫(福祉未来研究所)
  • 大森正博(お茶の水女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は医療・介護の連携を制度面及び情報面から研究する。制度面では1年以上の長期入院と介護サービスを1つの制度で提供しているオランダに注目し、同国の研究機関との共同研究を実施して、医療・介護サービスの効果的な提供体系について検討する。現在のわが国の医療保険には療養病床や訪問看護のように長期にわたる医療費が含まれており、一方介護保険には老健施設のように短期のものが含まれている。その切り分けをもう少し明確にできれば、総体としての費用を軽減できる可能性がある。
研究方法
申請者である福祉未来研究所が主体となって研究を推進する。オランダの専門家(大森正博氏、等)を加えて研究班を組織して研究を進める。
 オランダとの比較研究では、オランダで老年学等の研究実績のあるライデン大学内のライデンアカデミーと協力して、まず、特別医療費保険(AWBZ)の諸データ・運用状況を把握し、両国の高齢者医療・介護問題の共同研究を実施する。最終年には東京でWorkshopを開催し、双方向でそれぞれのレポートに対して建設的なコメントを出し合って共同研究の仕上げをした。その結果を踏まえて、日本における医療・介護サービスの効果的な提供体系についての提言を行う。
結果と考察
  医療・介護サービス提供におけるオランダ方式のメリットは、医療保険が短期対応に限られること(ただし、医療費の対GDP比は介護施設の費用を除いても9.2%と高い)、デメリットは費用がかかり過ぎるとしてインフォーマル・ケアに回帰し、長期保険の機能を縮小しようとしていることである。これを日本に反映させるとすれば、わが国の介護保険制度における規定路線の介護療養病床の廃止だけでなく、医療療養病床も廃止し、保険者の個々の患者管理を厳格化して1年間以上入院を続ける結果となる患者への医療保険給付は多くの場合廃止すべきである。その結果、多くの医療療養病床の存続が難しくなるとすれば、その代り、現在の療養病床より大幅に費用抑制型の医師1人の施設で長期入所できる介護施設類型を新たに作り、療養病床をそれに転換させるべきである。家事援助を市町村事業である地域支援事業に委ねるのは、わが国においても介護保険導入以前の形に近くなることを意味するが、オランダのように社会保険によるサービス提供を断念してはいない。地域支援事業はあくまでも介護保険事業のひとつであり、ただし保険給付本体と異なり事業に使ってよい費用には上限(現在は総介護事業費の3%)が設けられているので、これを適切に引き上げることによって、国民の支持を得つつ費用抑制を図っていくことが適切であろう。
結論
 日本で医療と介護の連携を進めるためには、後期高齢者保険と介護保険において「誰が連携を開始しなければならないか」を決めておくことが重要である。連携を始める義務を負わせる者は居宅介護支援者(ケアマネジャー)とし、在宅時医学総合管理料を取っている医師、在宅療養支援診療所の医師、要介護者を入院で受け入れる病院、訪問介護事業所、訪問看護ステーション等はサービス担当者会議に参加する(文書又はICTによる参加も可とする)義務を負わせて、情報の連携を図ることを提案する。また、後期高齢者医療保険や介護保険の保険者に相手側への情報提供義務を課し、市町村から情報技術によってケアマネジャーに情報を提供すべきことを提案する。
 給付については、オランダのAWBZが1年以上の医療、施設給付及び在宅の看護・介護サービスを提供しているが、施設給付には医師1人を擁するナーシングホームを含んでおり、在宅の医療そのものは家庭医に対しZVWから給付される。このようなシステムを参考にして日本においても、医師1人が必置の老人保健施設(老健)に長期入所させ、また特養に医師を置いた場合は報酬を増やして介護保険から給付することとし、医療療養病床を含め療養病床全体を老健に転換することを提案する。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201301006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 オランダは世界に先駆けて長期ケア(Long-term Care、LTC)に関する社会保険制度(AWBZ)を導入しているが、AWBZには医療保険のような効率化のための仕組みがなく、保険料(全額本人)負担が所得の12.65%にのぼり、費用増加抑制がさし迫った大きな課題となっている。このため、2008年からその一部である家事援助を社会支援法(WMO)に基づく市町村事業に委ね、2014年からデイサービスの除外、2015年からは在宅サービスの除外及び看護の医療保険への移行、とその削減に努めている。
臨床的観点からの成果
なし。
ガイドライン等の開発
医療情報と介護情報を連携させるために必要な情報を制度的にデータベース化し、医療・介護サービス供給をその情報を使用して、ステークホルダーではない組織外の有識者が客観的に外部からチェックするためのスキームを確立することで、医療・介護サービスを供給側から効率化することを目指すことを提案した。
その他行政的観点からの成果
 日本で医療と介護の連携を始める義務を負わせる者は居宅介護支援者(ケアマネジャー)とし、在宅時医学総合管理料を取っている医師、在宅療養支援診療所の医師、要介護者を入院で受け入れる病院、訪問介護事業所、訪問看護ステーション等はサービス担当者会議に参加する義務を負わせて、情報の連携を図ることを提案した。また、医師1人が必置の老人保健施設(老健)に長期入所させ、また特養に医師を置いた場合は報酬を増やして介護保険から給付することとし、医療療養病床を含め療養病床全体を老健に転換することを提案した。
その他のインパクト
 オランダで老年学等の研究実績のあるライデン大学内のライデンアカデミーと高齢者医療・介護問題に関して共同研究を実施した。2013年10月には東京で「日本とオランダにおける医療サービス及び介護サービスの連携」というテーマでWorkshopを開催した。このWorkshopの成果は福祉未来研究所の英文ホームページに掲載した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-06-06
更新日
2018-06-15

収支報告書

文献番号
201301006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,960,000円
(2)補助金確定額
4,960,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 219,874円
人件費・謝金 2,816,300円
旅費 92,900円
その他 1,174,945円
間接経費 660,000円
合計 4,964,019円

備考

備考
不足金4019円のうち、313円を預金利子で充当、3706円を福祉未来研究所が負担した。

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-