文献情報
文献番号
201301003A
報告書区分
総括
研究課題名
女性・母子の保護支援における婦人相談所の機能評価に関する研究
課題番号
H23-政策-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
森川 美絵(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 筒井 孝子(国立保健医療科学院 統括研究官)
- 福島 富士子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 松繁 卓哉(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 山本 恒雄(日本子ども家庭総合研究所 子ども家庭福祉研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、女性・母子の保護支援における婦人相談所の機能強化にむけて、婦人相談所の介入支援機能を評価することを目的に、全国的な業務実態および対象女性の状態(含・母子関係)と相談支援ルートに関するデータベースの作成、データに基づく介入支援機能の抽出と評価指標の作成を行なうことである。研究期間は3年間、1年目は、データベース作成の予備的作業としての概況把握、2年目は、データベース項目の設定と本格的なデータ収集、3年目は、介入機能の抽出と評価指標の検討を行なう。
研究方法
3年目は以下の3つのテーマに取り組んだ。
1. 婦人相談所の介入機能の整理と評価指標(項目)の提案。
具体的には、国内外の関連文献の整理および婦人相談所の業務実態データ(本研究事業2年次実施の全国調査データ)の考察に基づく、婦人相談所の介入機能の評価の視点・枠組みの整理、評価項目の構造と内容の提案。
2. 婦人相談所の保護支援(介入機能)の実態分析。
(1)本研究事業2年次実施の一時保護ケース全国調査データの再分析による、ケース属性別、一時保護理由別、保護依頼経路別の保護支援の特徴の整理。(2)婦人相談所等へのヒアリング(9か所)、3年間のヒアリング調査結果に基づく、母子支援の流れの類型化、(3)保健部門との連携に関する国内外の状況のヒアリング。(4)権利擁護機能の強化に関する海外先進事例の収集。
3. 介入機能強化のためのツール開発。
(1)母子生活支援施設入所者の全国データの再分析による、一時保護解除時の母子関係のハイリスク評価のツール開発。(2)DV家庭での生活を経験してきた子どもへの支援課題のリスト化。
(倫理的配慮)
調査の実施やデータ分析は、国立保健医療科学院の研究倫理審査の承認を得て実施された(NIPH-IBRA#11019;NIPH-TRN#08003)。
1. 婦人相談所の介入機能の整理と評価指標(項目)の提案。
具体的には、国内外の関連文献の整理および婦人相談所の業務実態データ(本研究事業2年次実施の全国調査データ)の考察に基づく、婦人相談所の介入機能の評価の視点・枠組みの整理、評価項目の構造と内容の提案。
2. 婦人相談所の保護支援(介入機能)の実態分析。
(1)本研究事業2年次実施の一時保護ケース全国調査データの再分析による、ケース属性別、一時保護理由別、保護依頼経路別の保護支援の特徴の整理。(2)婦人相談所等へのヒアリング(9か所)、3年間のヒアリング調査結果に基づく、母子支援の流れの類型化、(3)保健部門との連携に関する国内外の状況のヒアリング。(4)権利擁護機能の強化に関する海外先進事例の収集。
3. 介入機能強化のためのツール開発。
(1)母子生活支援施設入所者の全国データの再分析による、一時保護解除時の母子関係のハイリスク評価のツール開発。(2)DV家庭での生活を経験してきた子どもへの支援課題のリスト化。
(倫理的配慮)
調査の実施やデータ分析は、国立保健医療科学院の研究倫理審査の承認を得て実施された(NIPH-IBRA#11019;NIPH-TRN#08003)。
結果と考察
テーマ1.婦人相談所の介入機能の評価の視点・枠組みが整理され、評価項目の構造と内容が提案された。婦人相談所の評価項目として、7つのカテゴリ(「基本的態度」「相談」「保護命令制度の活用」「一時保護」「自立支援」「職場の安全・安心確保」「啓発」)、各カテゴリを構成する30の大項目、大項目を構成する79の中項目、および、中項目を評価するための設問形式の小項目(チェック項目)、および、評価の観点が、一覧表として整理された。(第1章:森川)
テーマ2.
(1)一時保護退所ケースの状態と対応・支援状況に関する全国調査データ(本研究事業2年次実施の全国調査データ)の再分析により、婦人相談所の保護支援の特徴が、ケース属性別、一時保護理由別、保護依頼経路別に、整理された(第2章:阪東・森川)。
(2)婦人相談所による母子支援の流れの実態が、児童福祉部門との組織統合や地域特性別に、類型化され、類型ごとの相違点・共通点や課題が明らかにされた(第3章:山本・大久保・永野・阪東)。
(3)一時保護の前段階でのDVケースの早期発見・早期予防の局面における地域連携体制に関して、国内外の保健医療部門へのヒアリング等に基づき、地域の看護職のDV対応の実態・体制・人材育成の課題が整理された(第4章:福島・大澤)。
(4)関係機関連携の対応における権利擁護機能の確保に関して、英国の事例から、中核的役割を担う支援者(独立DVアドバイザー)の役割・活動・人材育成内容が整理された(第6章:松繁)。
テーマ3.
(1)母親及び母子関係の観察を基礎としたアセスメントによる一時保護解除時の子への虐待リスクの評価(母子関係のハイリスク評価)の尺度が開発された。(第5章:筒井・東野・大夛賀)。
(2)DV環境離脱度の子どもに対する支援の臨床的課題について、10の課題がリスト化された(第3章)。
テーマ2.
(1)一時保護退所ケースの状態と対応・支援状況に関する全国調査データ(本研究事業2年次実施の全国調査データ)の再分析により、婦人相談所の保護支援の特徴が、ケース属性別、一時保護理由別、保護依頼経路別に、整理された(第2章:阪東・森川)。
(2)婦人相談所による母子支援の流れの実態が、児童福祉部門との組織統合や地域特性別に、類型化され、類型ごとの相違点・共通点や課題が明らかにされた(第3章:山本・大久保・永野・阪東)。
(3)一時保護の前段階でのDVケースの早期発見・早期予防の局面における地域連携体制に関して、国内外の保健医療部門へのヒアリング等に基づき、地域の看護職のDV対応の実態・体制・人材育成の課題が整理された(第4章:福島・大澤)。
(4)関係機関連携の対応における権利擁護機能の確保に関して、英国の事例から、中核的役割を担う支援者(独立DVアドバイザー)の役割・活動・人材育成内容が整理された(第6章:松繁)。
テーマ3.
(1)母親及び母子関係の観察を基礎としたアセスメントによる一時保護解除時の子への虐待リスクの評価(母子関係のハイリスク評価)の尺度が開発された。(第5章:筒井・東野・大夛賀)。
(2)DV環境離脱度の子どもに対する支援の臨床的課題について、10の課題がリスト化された(第3章)。
結論
各分担研究の成果は、婦人保護における要保護者とその同伴児童の保護と生活再建にむけた、婦人相談所の活動プロセスの局面に対応し、その機能・特徴・充実にむけた示唆を提示している。これらを統合することで、婦人相談所の機能とその評価の着眼点が得られる。
本研究を通じ、婦人相談所の全国的な実態、および、今後の保護支援の充実にむけて参考となる示唆的事例や分析結果が提示されるとともに、相談機関としての基本的かつ重要な評価項目を提示できた。本研究が開発した評価項目やツールは、婦人相談所が自らの活動を自己評価・振り返る上でのチェック項目として、また、2014年3月発出の婦人相談所ガイドラインを具体化するために、さらには、第三者評価の評価項目として、活用されることが期待される。
本研究を通じ、婦人相談所の全国的な実態、および、今後の保護支援の充実にむけて参考となる示唆的事例や分析結果が提示されるとともに、相談機関としての基本的かつ重要な評価項目を提示できた。本研究が開発した評価項目やツールは、婦人相談所が自らの活動を自己評価・振り返る上でのチェック項目として、また、2014年3月発出の婦人相談所ガイドラインを具体化するために、さらには、第三者評価の評価項目として、活用されることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2014-08-27
更新日
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