新規医薬品・医療機器等の創出、難治性疾患の治療法の開発および最適な治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201244001A
報告書区分
総括
研究課題名
新規医薬品・医療機器等の創出、難治性疾患の治療法の開発および最適な治療法の確立に関する研究
課題番号
H24-実用化(国際)-指定-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 典宏(北海道大学病院 高度先進医療支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 久住 一郎(北海道大学大学院医学研究科 神経病態学講座)
  • 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座)
  • 宝金 清博(北海道大学大学院医学研究科 神経病態学講座)
  • 井口 晶裕(北海道大学病院 小児科)
  • 西尾 妙織(北海道大学病院 内科Ⅱ)
  • 白石 秀明(北海道大学病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(国際水準臨床研究分野)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
76,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
画期的医薬品等の創出、小児疾患・難治性疾患に対する治療法の開発、最適治療の確立を目指し、臨床研究中核病院整備事業の基盤を活用し6つの研究テーマについて治験または臨床試験を実施する。
研究方法
研究事業1(新規培養法による自己骨髄間質細胞による脳梗塞の再生医療)動物蛋白を用いない安全な培養法として他家ヒト血小板溶解物(PL)を利用した方法の確立を目指し、PLの調製とそれによる骨髄間質細胞の培養を行った。また臨床応用を目指してPMDA薬事戦略相談を行い、その助言に基づいて培養工程の確立と品質の検討を行った。
研究事業2(臨床応用を目指した慢性炎症制御に基づく新規心血管病治療法の開発)α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)をパルスした樹状細胞(DC)の有効性を、マウス脾細胞及びヒト末梢血単核球を細胞源として検討した。またヒトα-GalCer/DC(細胞製品)規格決定及び品質・安全性試験の検討を行った。
研究事業3(小児難治性急性白血病に対するボルテゾミブ併用化学療法)小児難治性急性白血病に対するボルテゾミブの有効性を証明し、薬事承認に繋げる為の同剤併用化学療法のプロトコールの検討を行った。また並行して同治療法の安全性確認と薬物血中濃度の測定の為、探索的臨床試験を計画した。
研究事業4(常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)患者の肝嚢胞に対する球状塞栓物質による治療法開発)有効な治療法のない巨大肝嚢胞に対する治療法を開発する為、球状塞栓物質の安全性と有効性を示す臨床試験を計画し実施する。
研究事業5(統合失調症並びに双極性障害患者における糖脂質代謝障害と抗精神病薬使用時の代謝能変化に関する研究)第二世代抗精神病薬により代謝能変化を明らかにして薬物療法のガイドラインを作成する事を目的に、多施設共同研究(症例数3000例)の実施体制を構築し、臨床試験を開始する。
研究事業6(ベザフィブレートによる極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症及びカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ欠損症患者の治療)稀少疾患であるミトコンドリア脂肪酸代謝異常症(FAOD)の治療法確立の為、ベザフィブレートによる治療法のプロトコールを作成し治験への参加が可能な患者数把握の為の調査を行った。
結果と考察
(研究事業1)健常人由来PLを調製しヒト骨髄間質細胞の培養を行った。その結果ウシ胎仔血清と同程度の培養速度でありPLが使用可能である事は確認された。並行して臨床応用における細胞調製工程を確立し、品質試験の内容を決定した。次年度に2回目のPMDA薬事戦略相談を行う計画である。
(研究事業2)マウスの虚血再灌流実験において、マウスα-GalCer投与群は梗塞サイズを有意に縮小した。またヒトα-GalCer投与によりマウス血漿サイトカイン(IL-4、IFN-γ)が有意に上昇した事によりα-GalCerの有効性が示された。更にアフェレーシス細胞由来のヒトα-GalCerの作成に成功し製造の規格を決定する事ができ品質試験の内容を決定した。これらの成果を踏まえPMDA薬事戦略相談に進む計画である。
(研究事業3)ボルテゾミブの薬事承認を目的とした試験デザインについてPMDA薬事戦略相談事前面談を行いランダム化比較試験を行う方向となった。次年度に再度事前面談を行い、対面助言を経てプロトコールを確定し、医師主導治験の実施を目指す。また探索的臨床試験は本院を含む3施設で行う事が同病院の倫理審査委員会で承認された。
(研究事業4)球状塞栓物質による治療の安全性を主要評価項目とし有効性を副次的評価項目とするプロトコールを作成し本院の倫理審査委員会の承認を得た。目標症例数は5例で、これまで2例実施し、重篤な有害事象の発生なく経過している。本試験の成果を踏まえ次年度では薬事承認を目指した医師主導治験へ進む予定である。
(研究事業5)多施設共同研究による大規模臨床試験を実施する為、EDCシステムの構築とデータマネジメント体制を確立した。責任機関である本院を始め順次、参加施設での倫理審査委員会の承認を得ている。またスタートアップミーティングを終了し次年度早々から患者登録が開始される。患者登録の促進が課題となる。
(研究事業6)プロトコールの検討においては、被験者の対象年齢、主要評価項目の設定、薬剤投与方法、安全性の確保などが課題として挙げられ、文献報告や本剤の開発メーカーとの検討を重ねる事により確定した。本治験に参加できる患者は全国で10名程度である事も判明した。これらの成果を踏まえ次年度早々にPMDA薬事戦略相談を行う。
結論
各研究事業とも臨床研究中核病院整備事業の基盤を活用し、当初計画にほぼ準じた進捗状況で研究が進んでいる。次年度は本年度の成果を進め、臨床試験・治験が実施される事が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2013-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201244001Z