癌特異的アポトーシスを誘導する革新的分子標的薬による難治性皮膚癌に対する治療薬の医師主導臨床治験による実用化開発

文献情報

文献番号
201239020A
報告書区分
総括
研究課題名
癌特異的アポトーシスを誘導する革新的分子標的薬による難治性皮膚癌に対する治療薬の医師主導臨床治験による実用化開発
課題番号
H24-実用化(がん)-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
片山 一朗(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 種村 篤(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 金田 安史(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 齋藤 充弘(国立大学法人大阪大学 医学部付属病院 未来医療開発部)
  • 李 千萬(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 梅垣 昌士(国立大学法人大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
  • 坂口 志文(国立大学法人大阪大学 免疫学フロンティアセンター)
  • 横関 博雄(東京医科歯科大学 医歯学研究科)
  • 佐藤 貴浩(防衛医科大学校 医学部 皮膚科学)
  • 山崎 直也(独立行政法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 島田 眞路(山梨大学 医学部付属病院)
  • 柴垣 直孝(山梨大学 医学工学総合研究部)
  • 河上 裕(慶應義塾大学 医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門)
  • 佐野 栄紀(高知大学 医学部)
  • 山本 俊幸(福島県立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(がん関係研究分野)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
132,855,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大阪大学医学部附属病院は、革新的癌治療薬(HVJ-E)で悪性黒色腫を対象とする臨床研究を実施、H24年度までに計6例への投与を完了し、安全性、有効性を示唆するデータを取得した。そこで、薬事申請を目指す医師主導治験を実施し、革新的分子標的薬の国内優先の開発を成功させる事を目的に研究開発を行う。
研究方法
1)PMDA事前相談、対面助言、治験届(H24-25年度):治験計画、非臨床試験、製造に関する対面 助言で治験実施計画書を最終化(H24年度)、H25年度に治験届作成・提出
2)実施計画書のIRBでの承認取得(H24-25年度):PMDAの対面助言の見解を反映した書類をIRBに申請、承認取得(H25年度)
3)医師主導臨床治験の実施(H25-26年度):進行性悪性黒色腫を対象にした治験をH25年度開始、H26年度まで治験実施
4)薬効・薬理試験の実施(血管肉腫など他の皮膚癌全体への適応拡大、H25-26年度):血管肉腫への適応拡大に必要な薬効確認試験(一般試験:H24年度~H25年度)、用法用量設定試験(信頼性基準適合試験:H25年度~H26年度)を実施
5)後期臨床治験のためのGLP安全性試験の実施(H24-26年度):薬事上の申請に必要な安全性試験実施
結果と考察
1)医師主導治験治験計画書骨子、治験薬概要書を作成し、2回のPMDA対面助言を実施、治験届けまでに必要な課題、実施項目の抽出を完了した。この結果を反映した治験計画書、治験薬概要書、同意書、同意説明文書のドラフトを最終化した。実施計画書の作成過程で、抗腫瘍評価のガイドライン提言に繋がる新規の抗腫瘍効果評価法を策定、今後の治験でデータの蓄積を行って、策定した評価法の妥当性を検討する予定である。
2)医師主導治験開始には、施設内倫理委員会(IRB)での承認取得と、治験届の提出が必要である。そのため、実施予定の施設(大阪大学医学部附属病院、国立がん研究センター、静岡がんセンター)で担当医師、コーディネーター(CRC)と手順、必要書類、スケジュール等の詳細について確認・相談行い、治験開始までのスケジュール案の策定を完了した。H24年度は、手順書や申請資料などの作成を進め、予定通りH25年度に各施設のIRBで承認を取得する予定である。
3)医師主導治験の実施体制確立にため、H24年度に医師主導治験の推進に必要な臨床開発業務受託機関(contract research organization:CRO)を選定、手順書なども含め治験に必要な支援体制をほぼ確立了し、計画通りH25年度に治験届を提出する。また、治験薬製造体制についても手順書作成、ラベル・包装形態なども含めて設定を進めており、H25年度初めより、治験薬GMP体制で被験物質の製造を開始する。
4)血管肉腫等への適応拡大のための薬効・薬理試験として、癌細胞特異的細胞死、抗腫瘍免疫活性化のメカニズム解析を行い、細胞内核酸受容体(RIG-I)の関与を明らかにした。また、血管肉腫への薬効基礎データ取得のため、BALB/cマウス皮膚に血管肉腫細胞株(ISOS-1)を移植する系を確立、HVJ-E投与で腫瘍増大の有意な抑制、腫瘍部位への免疫細胞浸潤、所属リンパ節での制御性T細胞減少が認められる事を明らかにした。更に、HVJ-E/sunitinib併用の相乗効果を示唆する結果を得た。これらの結果から、HVJ-Eの投与は血管肉腫の治療に有用であると示唆された。
5)薬事上の承認申請に向け、継続投与を予定している次相治験までに必要な非臨床試験項目(実施時期、動物種、試験の妥当性)、承認申請までに必要な品質・安定性試験項目、についてPMDA対面助言によりPMDAから見解を得た。また、後期治験の実施、承認申請に必要な医薬品企業として、H24年度に医薬品原薬を製造している石原産業株式会社と提携した。これにより、後期治験と承認後の製造に必要な企業を確保する事が出来た。今後、上市後の販売に必要な医薬品企業との提携を進める予定である。
6)参加患者のリクルート向上を目的として治験実施施設のネットワークの構築を進めた。具体的には当初の予定よりも皮膚科関連の共同研究施設を増加し、当初2施設であった実施機関に静岡がんセンターを加えた3施設に増加、治験届が受理され次第、早期に患者登録が進捗する体制を確立。
結論
1) 臨床研究で6例の投与と結果の取纏めをほぼ完了
2) 治験実施計画書案、治験薬概要書案を作成、PMDAの対面助言で見解取得、治験開始までの方向 性を確定
3) IRB申請、治験届用の書類作成を進め、書類準備がほぼ計画通り進捗
4) 治験実施体制、治験薬GMP製造体制確立、医薬品製造企業と提携、承認取得に向けた開発体制を確立中

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201239020Z