膵癌に対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発

文献情報

文献番号
201239011A
報告書区分
総括
研究課題名
膵癌に対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山上 裕機(和歌山県立医科大学医学部 外科学第2講座)
研究分担者(所属機関)
  • 真口 宏介(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院)
  • 石井 浩(公益財団法人がん研究会 有明病院)
  • 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院)
  • 谷 眞至(和歌山県立医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(がん関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
134,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膵癌の術後再発予防のために、膵癌細胞と腫瘍新生血管増殖因子レセプターに対して免疫応答を惹起する2方向性新規がんペプチドワクチン療法を世界に先駆けて開発する。
研究方法
治験薬(C01)を使用し、GMPグレードの治験薬を用いGCPに準拠した体制で医師主導型臨床試験を実施する。以下に治験実施計画書の概要を示す。
1. 試験名
膵癌に対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発
多施設共同、探索的、第II相臨床試験(医師主導治験)
2. 目的
本治験は、治癒切除後膵癌の患者を対象として、ゲムシタビン塩酸塩と併用する治験薬C01ペプチドワクチン療法の有効性と安全性を探索的に評価することを目的とする。
【有効性評価項目】主要評価項目:無病生存期間(disease-free survival、DFS)副次評価項目:全生存期間(overall survival、OS)
【安全性評価項目】有害事象、副作用
【探索的評価項目】CTL解析(ELISPOT検査、HLAテトラマー検査)
3. 対象
肉眼的治癒切除後膵癌の患者
4. 試験治療
本治験の試験治療は、治験薬(C01)及び併用薬(ゲムシタビン塩酸塩)の投与とする。試験治療は4週1コースとし、C01は12コース、ゲムシタビン塩酸塩は6コース投与する。
結果と考察
【平成23年度(初年度)】
1. 治験実施体制の構築
治験調整事務局を和歌山県立医科大学外科学第2講座内に立ち上げ、治験調整業務は研究代表者である和歌山県立医科大学外科学第2講座教授山上裕機に委託した。治験実施体制に関してはGCPに準拠した医師主導治験を行うため、安全性情報、監査、品質管理、モニタリング、データマネジメント、統計解析、総括報告書作成の業務をCROに委託した。症例報告書を電子的に収集し管理するEDCシステムを採用した。
2. 治験実施計画書の作成
治験実施計画書の初回立案時から第1.0版の完成までメディカルライティング専門のCROによるレビューを受けながら計9回の改訂を行った。平成24年2月、第2回班会議にて選択除外基準の詳細並びに評価方法の統一などを主に行い、その結果治験実施計画書を第2.0版に改訂した。平成24年2月の薬事戦略相談対面助言を踏まえて、本治験の結果を踏まえた更なる探索的試験の実施の必要性についても検討することとし、また被験者の安全性に対する配慮としての手順を作成した。
【平成24年度(2年目)】
1. 治験開始
平成23年12月の「平成23年度山上班第1回班会議」では各実施施設でIRB承認を得るため、SOPの整備をすすめることを確認した。全ての治験実施施設において治験審査委員会の承認(和歌山県立医科大学(平成24年1月17日)、手稲渓仁会病院(平成24年3月5日)、愛知県がんセンター中央病院(平成24年4月24日)、がん研究会有明病院(平成24年5月2日))を受けた上で、平成24年5月17日に治験計画届を提出した。その後、平成24年6月1日から治験開始となった。First Patient Inは平成24年7月31日であった。
2. 症例登録
本治験には平成25年3月12日時点で19例が登録された。症例登録の進捗状況について、平成24年11月と平成25年2月に平成24年度山上班 第1回および第2回班会議を開催した。
第2回班会議では平成25年1月31日までの全施設の症例登録状況について検討した。膵切除症例は全4施設で121例、うち登録に至ったのは16例(13.2%)であった。適格基準から本研究の候補症例であるが、結果として登録できなかったのは37例でその理由の内訳は遠方で通院できない(18例)、HLAタイピングが不一致(17例)、検査値が基準を満たさず(1例)、医師の判断(1例)であった。非適格症例は68例で、その理由の内訳はIPMN由来浸潤癌など組織型が不一致(25例)、術前化学療法(12例)、術後合併症のため術後10週以上経過(10例)、重複癌(9例)、ステロイドや抗血小板薬の使用など随伴疾患(8例)、遠隔転移(3例)、高齢(1例)であった。進捗状況に関しては、計画当初より1年間で30例の登録を予定しており、これは1月あたり2.5例の登録ペースとなる。第1例目が登録されてから平成25年3月12日までの登録数は19例(2.5例/月)で、予定通り登録が進んでいる。
結論
本研究は当初の計画通り順調にすすんでいる。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201239011Z