文献情報
文献番号
201238012A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少小児遺伝性血液疾患の迅速な原因究明及び診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H23-実用化(難病)-一般-012
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
研究分担者(所属機関)
- 矢部 みはる(東海大学医学部 臨床検査学・造血幹細胞移植)
- 高田 穣(京都大学放射線生物研究センター DNA損傷シグナル研究分野)
- 伊藤 悦朗(弘前大学大学院医学研究科 小児科学)
- 菅野 仁(東京女子医科大学大学院 先端生命医科学系専攻・遺伝子医学)
- 山口 博樹(日本医科大学 血液内科)
- 小林 正夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 小児科学 )
- 小池 健一(信州大学医学部・小児医学講座)
- 真部 淳(聖路加国際病院 小児科 )
- 渡邉 健一郎(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
- 金兼 弘和(富山大学附属病院小児血液・免疫学)
- 張替 秀郎(東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野)
- 石井 榮一(愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学)
- 水谷 修紀(東京医科歯科大学 小児血液腫瘍学 )
- 林 泰秀(群馬県立小児医療センター 小児血液腫瘍学)
- 國島 伸治(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター分子病態学)
- 大賀 正一(九州大学大学院医学研究院 周産期・小児医療学)
- 小原 明(東邦大学医療センター大森病院 輸血部)
- 小川 誠司(東京大学 分子遺伝学(Cancer Board))
- 宮野 悟(東京大学医科学研 究所 ヒトゲノム解析センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(難病関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
76,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は、遺伝性血液疾患のうち、Fanconi貧血(FA)、先天性赤芽球ろう(DBA)、先天性角化不全症(DKC),遺伝性鉄芽球性貧血(SA)、 先天性好中球減少症(SCN)、先天性顆粒放出異常症(HLH)、毛細血管拡張性小脳失調症(AT)、一過性骨髄異常増殖症(TAM)、Congenital dyserythropoietic anemia(CDA)、Shwachman-Diamond syndrome(SBDS)、先天性血小板減少症、先天性溶血性貧血、分類不能骨髄不全症、若年型骨髄単球性白血病の各疾患について、新規原因遺伝子の探索を目的とする。
研究方法
既知の原因遺伝子が検出されない遺伝性血液疾患の検体について、次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析をおこない、スーパーコンピューターとの間で解析パイプラインを構築し、得られた大量のデータを効率的に解析する。14の疾患別研究班は、臨床データの収集、 既知の遺伝子解析、機能解析の他、次世代シークエンサーで同定された候補遺伝子についてサンガー法によるバリデーションを担当する。
結果と考察
エクソーム解析実施施設と各疾患のバリデーション担当施設の倫理委員会で承認が得られた370検体が全シークエンスの担当施設に送付され順次、次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析がおこなわれている。既知の原因遺伝子に異常を認めない優性遺伝の先天性巨大血小板性血小板減少症13家系のうち6家系において新規ACTN1遺伝子変異を同定した。変異型ACTN1蛋白は正常なアクチン繊維形成に影響を与え、巨核球からの胞体突起形成を阻害した。若年型骨髄単球性白血病では従来から知られていたRASパスウェイの変異が90%の症例にみられることに加え、SETBP1遺伝子がsecondary mutationとして病勢の進行に関わり、予後不良因子であることを発見した。DBAでは、原因遺伝子の同定されていない77例に対して、全エクソン解析を行った。その結果、新規原因候補遺伝子であるRPS27およびRPL27を各1例に見出した。FAでは、FANCA9例、FANCG5例、FANCB1例において両アレル変異を認めた。さらに、4例において既知15遺伝子の片アレル変異が同定された。DKC班では、サンガー法では遺伝子変異が同定できなかったが、次世代高速シークエンサーによって、5例から、DKC1、2例、TINF2、2例、TERT,1例と既知の原因遺伝子の変異を同定することが出来た。
結論
臨床的特徴が明らかな稀少疾患のサンプルを収集保存するシステムと次世代
シークエンサーによる網羅的全エクソンシークエンスのような新規技術の結合を図る本研究班の試みは、新規原因遺伝子の発見に有用なシステムと考えられ
る。
シークエンサーによる網羅的全エクソンシークエンスのような新規技術の結合を図る本研究班の試みは、新規原因遺伝子の発見に有用なシステムと考えられ
る。
公開日・更新日
公開日
2013-06-10
更新日
-