文献情報
文献番号
201237028A
報告書区分
総括
研究課題名
生活衛生関係営業の振興による商店街の活性化とこれを通じた衛生水準の向上に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-健危-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松本 邦愛(東邦大学 医学部社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 長谷川 友紀(東邦大学 医学部社会医学講座 )
- 瀬戸 加奈子(東邦大学 医学部社会医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生活衛生関係営業(以下 「生衛業」)は、多くが中小零細であり、経営基盤も脆弱なものであるが、衛生水準の向上と地域の振興の観点から商店街の中心的な役割を担う。本研究は、事例研究によって商店街活性化策の中で生活衛生関連営業がどのような役割を果たしているか明らかにするとともに、街の活性化を表す指標を開発して生衛業の貢献を定量的に把握し、効果的な生衛業の支援策について提言をまとめることを目的とする。
研究方法
研究は、①文献レビュー、②商店街及び生衛業種の類型化、③政府統計を用いた生衛業の実態把握、④国内の商店街活性化の事例研究、⑤諸外国都市における聞き取り調査、⑥官庁統計と地域活性化指標を用いた定量分析、⑦都道府県生活衛生営業指導センターに対するアンケート調査、の7つから構成される。初年度は、①~⑤までを行った。
(倫理面への配慮)
本研究では、個人情報を直接取り扱うこと、または生衛業に直接介入する状況は想定されない。もし、そのような事態が生じた場合には、大学倫理委員会に研究内容について諮り、個人情報保護法、各種研究に関わるガイドラインを厳守する。なお官庁統計の個票を使用する場合には、本研究の趣旨に合わせて公式の使用申請を行い、個人を特定可能な情報を除いたデータを入手する。更に、入手されたデータはネットワークから独立したセキュリティの高いコンピューターで管理し、規定に則って執行する。
(倫理面への配慮)
本研究では、個人情報を直接取り扱うこと、または生衛業に直接介入する状況は想定されない。もし、そのような事態が生じた場合には、大学倫理委員会に研究内容について諮り、個人情報保護法、各種研究に関わるガイドラインを厳守する。なお官庁統計の個票を使用する場合には、本研究の趣旨に合わせて公式の使用申請を行い、個人を特定可能な情報を除いたデータを入手する。更に、入手されたデータはネットワークから独立したセキュリティの高いコンピューターで管理し、規定に則って執行する。
結果と考察
経営学の概念を用いて、生衛業18業種及び商店街の概念整理を行った。その上で、産業連関表を用いてそれぞれの業種がどれくらいの乗数効果があるのか計算を行い、経済効果の業種別の違いを明らかにした。その結果、飲食業の乗数は1.84と他の業種(宿泊業1.44、洗濯・理容・美容・浴場業1.46)などと比べて高く、業種間の差異が明らかとなった。また、生活衛生業の補助金等の根拠となる衛生水準の向上に関して、伝統的な衛生の問題に加えて、積極的健康、精神衛生、環境・ゴミ問題をも含んだ「新しい衛生概念」をまとめ、その視点から生活衛生業の役割についてまとめなおした。
国内商店街の事例調査では、商店街の活性化に成功している京都市三条名店、向日市激辛商店街、長浜市黒壁商店街、高松市丸亀町商店街等において、生衛業者にヒアリング調査を行った。これらの一般に成功例とされる商店街においては、商店街の活性化が他地域からの集客に拠るため、商店街の活性化でむしろ生衛業は飲食業、一部美容業などの業種に限定されてしまい、他の業種は人通りの多い商店街から外れた地域への移転がみられることが明らかとなった。また、震災で津波の大きな被害を受けた石巻市ことぶき商店街の現地調査では、観光客など外からの集客を目的とした活性化ではなく、そこに居住する住民の利便性を考えたコンパクト・シティ構想による復興計画が立てられていることが明らかになった。この計画における生衛業の役割は大きい。
これらの結果を踏まえると、生衛業の振興による商店街の活性化を示す客観指標を作成するためには、単に商店街の集客力や経済活動の状況を測定するにとどまらず、住民の利便性を前面に押し出した新しい指標を開発する必要がある。次年度における研究では、第一に活性化指標を作成することを目標とし、生衛業の貢献を定量的に測定することを目指す。また、今年度に引き続き、都道府県指導センターへの聞き取り、さらにアンケート調査を通じて効果的な生衛業の支援策について何が有効かを明らかにする。
国内商店街の事例調査では、商店街の活性化に成功している京都市三条名店、向日市激辛商店街、長浜市黒壁商店街、高松市丸亀町商店街等において、生衛業者にヒアリング調査を行った。これらの一般に成功例とされる商店街においては、商店街の活性化が他地域からの集客に拠るため、商店街の活性化でむしろ生衛業は飲食業、一部美容業などの業種に限定されてしまい、他の業種は人通りの多い商店街から外れた地域への移転がみられることが明らかとなった。また、震災で津波の大きな被害を受けた石巻市ことぶき商店街の現地調査では、観光客など外からの集客を目的とした活性化ではなく、そこに居住する住民の利便性を考えたコンパクト・シティ構想による復興計画が立てられていることが明らかになった。この計画における生衛業の役割は大きい。
これらの結果を踏まえると、生衛業の振興による商店街の活性化を示す客観指標を作成するためには、単に商店街の集客力や経済活動の状況を測定するにとどまらず、住民の利便性を前面に押し出した新しい指標を開発する必要がある。次年度における研究では、第一に活性化指標を作成することを目標とし、生衛業の貢献を定量的に測定することを目指す。また、今年度に引き続き、都道府県指導センターへの聞き取り、さらにアンケート調査を通じて効果的な生衛業の支援策について何が有効かを明らかにする。
結論
本研究は、商店街の中での生衛業の役割を明らかにし、街の活性化を表す指標を開発して生衛業の貢献を定量的に把握して、効果的な生衛業支援策を提言することを目的とした。初年度の研究では、生衛業、商店街に関して類型化を行うとともに、現地調査を通じて商店街と生衛業の関係を調査した。結果、商店街を集客力や経済活動の状況といった評価尺度だけではなく、住民の利便性を前面にした新たな活性化尺度の開発が課題となった。
公開日・更新日
公開日
2013-05-28
更新日
-