文献情報
文献番号
201237013A
報告書区分
総括
研究課題名
CBRNEテロ対策に対する効果的な対策の検証と国際連携ネットワーク の活用に関する研究
課題番号
H22-健危-一般-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 黒木 由美子(財団法人日本中毒センター)
- 明石 真言(独立行政法人放射線医学研究所)
- 嶋津 岳士(大坂大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
テロとりわけNBCテロへの世界的な健康危機管理の準備と対応に係るネットワークとして各国保健担当閣僚レベルの会合である世界健康安全保障イニシアティブ: GHSIがある。本会合は、G7、メキシコ、EU、WHOが参加している。この閣僚級会合の下に、局長クラスの作業グループ(世界健康安全保障行動グループ: GHSAG)が置かれている。このGHSAGの下、化学テロ等の作業部会が設置され、技術的な検討作業や情報交換を行っている。日本は地下鉄サリン事件の経験を持つこともあり、化学テロ作業部会の議長役を引き受けている。また、その他放射線テロに関する作業部会もおかれている。これらの作業部会においては各国の専門家がそれぞれの国における知見を持ち寄り、それぞれの分野における課題および国際協力のあり方について検討されている。
現在、GHSAGの作業部会においては、優先化学物質選定基準の検証、化学テロにおける緊急連絡体制の在り方と訓練手法の開発、化学、放射線テロにおける除染手法の開発、各国における対応事例の集積等の課題が挙げられている。これらの課題には、国際的な健康危機管理体制を強化するための課題であり、日本からの貢献も求められている。そこで、本研究班はこれらの課題について日本からの貢献をするための科学的根拠を提示することを目的とする。また、これらの課題の中で、このネットワークを生かし、国内の対応体制の強化に資する知見を抽出し、日本における活用のモデルを提示することも目的とする。本研究班は、GHSAG作業部会に実際に関与している専門家により構成されており、研究成果が直接GHSAGの議論に反映できる点が特色である。
本年までの厚生労働科学研究費補助金「国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究」においては、GHSAG化学テロ作業部会で策定された優先化学物質選定基準をベースに、日本におけるテロ対策を優先的に行うべき化学物質が提示された。また、国際的な化学テロにおける緊急連絡体制の在り方が提示された。
本研究においては、この手法を発展させ、CBRNEテロ全体を総合的な観点からみた、リスク評価を行う。また、国際的な緊急連絡体制と連動した国内のサーベイランス手法、システムを開発する。
現在、GHSAGの作業部会においては、優先化学物質選定基準の検証、化学テロにおける緊急連絡体制の在り方と訓練手法の開発、化学、放射線テロにおける除染手法の開発、各国における対応事例の集積等の課題が挙げられている。これらの課題には、国際的な健康危機管理体制を強化するための課題であり、日本からの貢献も求められている。そこで、本研究班はこれらの課題について日本からの貢献をするための科学的根拠を提示することを目的とする。また、これらの課題の中で、このネットワークを生かし、国内の対応体制の強化に資する知見を抽出し、日本における活用のモデルを提示することも目的とする。本研究班は、GHSAG作業部会に実際に関与している専門家により構成されており、研究成果が直接GHSAGの議論に反映できる点が特色である。
本年までの厚生労働科学研究費補助金「国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究」においては、GHSAG化学テロ作業部会で策定された優先化学物質選定基準をベースに、日本におけるテロ対策を優先的に行うべき化学物質が提示された。また、国際的な化学テロにおける緊急連絡体制の在り方が提示された。
本研究においては、この手法を発展させ、CBRNEテロ全体を総合的な観点からみた、リスク評価を行う。また、国際的な緊急連絡体制と連動した国内のサーベイランス手法、システムを開発する。
研究方法
化学テロ、核放射線テロ、災害医療等の分野において、国内の対応から国際的危機管理体制の強化に資する事項を抽出し、それを国際ネットワークであるGHSAG作業部会などに提示する。また、GHSAG作業部会の成果を基に、国内の健康危機管理体制の進展に資する事項を提示する。
その結果を国際健康危機管理体制の強化につなげるだけでなく、我が国の危機管理対応にフィードバックするための手法について検討する。
その結果を国際健康危機管理体制の強化につなげるだけでなく、我が国の危機管理対応にフィードバックするための手法について検討する。
結果と考察
CBRNEテロ全体を総合的な観点からみたリスク評価、国際的な緊急連絡体制とその国内体制の検討、
化学、放射線テロにおける除染手法の開発については、GHSAGワークショップにおける情報収集、情報提供を実施した。また、2012年には、GHSAG化学テロ作業部会において、除染ワークショップを開催し、除染に係わる科学的な問題を整理した。事例研究としては、主に、日本APEC、東京電力福島第一原発事故におけるDMAT活動について健康危機管理の観点から分析した。
化学、放射線テロにおける除染手法の開発については、GHSAGワークショップにおける情報収集、情報提供を実施した。また、2012年には、GHSAG化学テロ作業部会において、除染ワークショップを開催し、除染に係わる科学的な問題を整理した。事例研究としては、主に、日本APEC、東京電力福島第一原発事故におけるDMAT活動について健康危機管理の観点から分析した。
結論
横浜APECにおける集団災害医療体制の在り方について検討した。その結果、今回の国際会議における本格的な集団災害体制の構築ができた。このことは、同様のイベントにおける集団災害対応体制のモデルになるものと考えられる。更に、病院支援の際の必要最低限の情報、局地災害対応体制のモデル、病院のNBCテロ体制のモデル、DMATのテロ現場活動体制のモデルを提示した。これらのことはテロ対策全般に寄与できる成果であると考えられる。東京電力福島第一原発事故へのDMATの対応についてDMAT活動実績をまとめ、課題を抽出した。入院患者の避難における医療搬送、一時立ち入りへの対応等、今回の事故対応におけるDMATの有効性が確認できた。被ばく医療も災害医療の一つであり、災害医療体制との整合性は必須であることが示唆された。今後は、やはり災害医療体制の中で、緊急被ばく医療もしっかりと位置付けられることが必要である。そのような観点からの緊急被ばく医療体制のあり方について研究していくことが今後は必要である。
公開日・更新日
公開日
2013-07-25
更新日
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