バイオテロのリスク評価、数理モデルの開発とガイドラインの整備、臨時予防接種の円滑な実施できる体制についての検討

文献情報

文献番号
201237011A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテロのリスク評価、数理モデルの開発とガイドラインの整備、臨時予防接種の円滑な実施できる体制についての検討
課題番号
H22-健危-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤久禎(国立病院機構災害医療センター教育研修室長)
  • 金谷泰宏(国立保健医療科学院 政策科学部)
  • 大日康史(国立感染症研究所 感染症情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、訓練、ガイドライン、シミュレーションの各側面から研究を進める。訓練においては、現在、ワクチンの備蓄が進められている天然痘を例に対応指針に沿って自治体における初期段階の対応について検討を行う。
ガイドラインについては、平成16年に天然痘対応指針(第5版)が出されている。しかし、近年、SARS、新型インフルエンザ対応計画策定段階において、感染症対策の新たな知見が示されている。これらを基に、先行研究で、行動計画、ガイドライン案が策定された。更に今回、これらの成果に、新型インフルエンザの対応から得られた教訓も踏まえ、天然痘指針の改定案を提示することを目的とした。
シミュレーションにおいては、従来のバイオテロ評価は大都市部のみに限定されており、また都市間の移動も十分には考慮されてこなかった。
研究方法
【訓練】
生物テロに対する臨時予防接種体制については、ワクチンの国家備蓄を進めている天然痘を例に、患者発生直後から予防接種開始に至るまでの対応について、都道府県の危機管理部局及び衛生部局の職員を対象とした図上演習を通じて検討を行った。
【ガイドライン】
天然痘テロに対応することが想定される保健所、検疫所、研究所、医療機関、医療従事者、行政機関等の役割について、各分野の専門家による検討をおこなった、検討に当たっては、先行研究である平成19-21年度厚生労働科学研究費補助金健康危機管理・テロリズム対策システム研究事業「国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究」における、天然痘対応行動計画、ガイドラインを基に、従来の天然痘対応指針都の変更点を整理した。
【シミュレーション】
全国民を対象としたシミュレーションとするために国勢調査での通勤通学データを用いて、全国民の移動のデータベースを作成する。また高速化は、主にアルゴリズムの見直しで行う。また、国勢調査の移動では十分にとらえられない出張等の長距離移動の情報を、「感染旅客流動の実態(2005)」から得てシミュレーションに加える等の開発を行う。対策として、9種類及びその組み合わせの内、組み合わせが可能な38種類を検討する。
結果と考察
【訓練】
生物テロ発生後における感染予防対策として臨時予防接種の体制を検討するにあたり、すでに薬事承認を受けたワクチンが存在する天然痘ウイルスが使用されたテロを想定したシナリオ演習を行うこととした。特に、患者発生をいかに早く自治体が把握し、国との連携をいかに進めるか、また連携に際していかなる課題が存在するかについて検討を実施した。
この中で、①医療機関からの届出の遅れ、②収容医療機関の不足、③第一対応者に対する種痘開始の手続き等の課題が指摘された。また、教育機関が標的となった場合、衛生部局を越えた連携が必要となることから、危機管理部局における統制が不可欠と考えられた。
【ガイドライン】
以下の項目について、天然痘対応指針の改定案を策定した。指針の主な改訂点とその理由について、表にまとめた。
【シミュレーション】
生物剤と対策の組み合わせ毎のシミュレーションを実施した結果から、天然痘に関しては学校閉鎖は有効でないものの肺ペストでは有効であることが示された。
結論
【訓練】
本研究においては、感染初期における対応について検討を行ったものであり、この検討においては、第一対応者への予防接種を現行の予防接種法に基づく臨時接種では、対応の遅れが生じる可能性が指摘された。また、次の対応として、感染拡大が認められた場合、迅速なワクチンの搬送と接種が必要となるが、搬送手段と種痘を行える医師の確保が課題となっている。特に、ワクチンを適切な温度管理下で運ぶ場合、保冷車の確保が不可欠となるが、民間の協力が確保できるとは限らないことから、常温で輸送した場合のワクチン力価の影響をあらかじめ把握する必要がある。また、種痘を実施する為の医療関係者の確保についても、接種者の安全を考慮する必要があることから、事前に一定の免疫を獲得させておくことが求められる。
【ガイドライン】
天然痘テロ対応について、各分野の専門家により検討により、天然痘対応指針の改定のポイントが提示された。今回の成果は、今後行政における天然痘対応指針の見直しの基礎資料として活用されるものと考えられる。次年度以降、この指針の精緻化とともに炭疽等他のバイオテロへの指針案の策定が課題となる。
【シミュレーション】
諸外国でも例を見ない精度での全国民を対象としたシミュレーションを確立し、その実用例を示した意義は大きい。また、日本においても感染症数理シミュレーションの技術を維持、また進展させるために、その研究予算の確保は危機管理上重要である。

公開日・更新日

公開日
2016-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201237011B
報告書区分
総合
研究課題名
バイオテロのリスク評価、数理モデルの開発とガイドラインの整備、臨時予防接種の円滑な実施できる体制についての検討
課題番号
H22-健危-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤久禎(国立病院機構災害医療センター教育研修室長)
  • 金谷泰宏(国立保健医療科学院 政策科学部)
  • 大日康史(国立感染症研究所 感染症情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、訓練、ガイドライン、シミュレーションの各側面から研究を進める。訓練においては、現在、ワクチンの備蓄が進められている天然痘を例に対応指針に沿って自治体における初期段階の対応について検討を行う。
ガイドラインについては、平成16年に天然痘対応指針(第5版)が出されている。しかし、近年、SARS、新型インフルエンザ対応計画策定段階において、感染症対策の新たな知見が示されている。これらを基に、先行研究で、行動計画、ガイドライン案が策定された。更に今回、これらの成果に、新型インフルエンザの対応から得られた教訓も踏まえ、天然痘指針の改定案を提示することを目的とした。
シミュレーションにおいては、従来のバイオテロ評価は大都市部のみに限定されており、また都市間の移動も十分には考慮されてこなかった。
研究方法
【訓練】
生物テロに対する臨時予防接種体制については、ワクチンの国家備蓄を進めている天然痘を例に、患者発生直後から予防接種開始に至るまでの対応について、都道府県の危機管理部局及び衛生部局の職員を対象とした図上演習を通じて検討を行った。
【ガイドライン】
天然痘テロに対応することが想定される保健所、検疫所、研究所、医療機関、医療従事者、行政機関等の役割について、各分野の専門家による検討をおこなった、検討に当たっては、先行研究である平成19-21年度厚生労働科学研究費補助金健康危機管理・テロリズム対策システム研究事業「国際連携ネットワークを活用した健康危機管理体制構築に関する研究」における、天然痘対応行動計画、ガイドラインを基に、従来の天然痘対応指針都の変更点を整理した。
【シミュレーション】
全国民を対象としたシミュレーションとするために国勢調査での通勤通学データを用いて、全国民の移動のデータベースを作成する。また高速化は、主にアルゴリズムの見直しで行う。また、国勢調査の移動では十分にとらえられない出張等の長距離移動の情報を、「感染旅客流動の実態(2005)」から得てシミュレーションに加える等の開発を行う。対策として、9種類及びその組み合わせの内、組み合わせが可能な38種類を検討する。
結果と考察
【訓練】
生物テロ発生後における感染予防対策として臨時予防接種の体制を検討するにあたり、すでに薬事承認を受けたワクチンが存在する天然痘ウイルスが使用されたテロを想定したシナリオ演習を行うこととした。特に、患者発生をいかに早く自治体が把握し、国との連携をいかに進めるか、また連携に際していかなる課題が存在するかについて検討を実施した。
この中で、①医療機関からの届出の遅れ、②収容医療機関の不足、③第一対応者に対する種痘開始の手続き等の課題が指摘された。また、教育機関が標的となった場合、衛生部局を越えた連携が必要となることから、危機管理部局における統制が不可欠と考えられた。
【ガイドライン】
以下の項目について、天然痘対応指針の改定案を策定した。指針の主な改訂点とその理由について、表にまとめた。
【シミュレーション】
生物剤と対策の組み合わせ毎のシミュレーションを実施した結果から、天然痘に関しては学校閉鎖は有効でないものの肺ペストでは有効であることが示された。
結論
【訓練】
本研究においては、感染初期における対応について検討を行ったものであり、この検討においては、第一対応者への予防接種を現行の予防接種法に基づく臨時接種では、対応の遅れが生じる可能性が指摘された。また、次の対応として、感染拡大が認められた場合、迅速なワクチンの搬送と接種が必要となるが、搬送手段と種痘を行える医師の確保が課題となっている。特に、ワクチンを適切な温度管理下で運ぶ場合、保冷車の確保が不可欠となるが、民間の協力が確保できるとは限らないことから、常温で輸送した場合のワクチン力価の影響をあらかじめ把握する必要がある。また、種痘を実施する為の医療関係者の確保についても、接種者の安全を考慮する必要があることから、事前に一定の免疫を獲得させておくことが求められる。
【ガイドライン】
天然痘テロ対応について、各分野の専門家により検討により、天然痘対応指針の改定のポイントが提示された。今回の成果は、今後行政における天然痘対応指針の見直しの基礎資料として活用されるものと考えられる。次年度以降、この指針の精緻化とともに炭疽等他のバイオテロへの指針案の策定が課題となる。
【シミュレーション】
諸外国でも例を見ない精度での全国民を対象としたシミュレーションを確立し、その実用例を示した意義は大きい。また、日本においても感染症数理シミュレーションの技術を維持、また進展させるために、その研究予算の確保は危機管理上重要である。

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201237011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
なし
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201237011Z