ナノマテリアル曝露による生体毒性の慢性移行及び遅発性に関わる評価手法の開発研究

文献情報

文献番号
201236023A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアル曝露による生体毒性の慢性移行及び遅発性に関わる評価手法の開発研究
課題番号
H24-化学-指定-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター 総合評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
  • 津田 洋幸(名古屋市立大学津田特任教授研究室)
  • 小林 憲弘(国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
  • 宮澤 薫一(物質・材料研究機構先端的共通技術部門先端材料プロセスユニットフラーレン工学グループ)
  • 最上 知子(国立医薬品食品衛生研究所機能生化学部)
  • 渡辺 渡(九州保健福祉大学薬学部)
  • 石丸 直澄(徳島大学歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,733,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業用ナノマテリアルの適切な健康リスク評価手法を確立するために (亜)急性毒性試験では捉えられない慢性および遅発的影響を評価するための基盤的な知見を取得することを目的とする。
研究方法
24年度は慢性影響評価研究において、高度に分散処理した多層型カーボンナノチューブ(MWCNT)及びサイズの異なるMWCNTによる腹膜中皮腫発現解析、染色体異常誘発能のサイズ依存性、およびナノ酸化亜鉛の気管内投与による発がんプロモーション作用解析を行った。免疫システムへの検討としてMWCNTの腹腔内投与による末梢血の免疫細胞分画解析と経鼻投与によるRSウィルス感染依存性炎症増悪作用の評価、in vitro評価系における炎症性サイトカイン産生メカニズムの解析を行った。次世代への影響としてナノマテリアル種類及び投与経路の違いによる催奇形性誘発能の検討を行った。
結果と考察
高度に分散処理したMWCNTによる中皮腫誘発試験において、以前の分散処理の結果と同様に初発時期の非肉芽腫性炎症巣が重要であること、7種のMWCNTによる腹腔内投与では一定の長さとそれに起因する中皮組織における存在状態が影響していることが示唆された。また、太いタイプのCNTにのみ染色体倍数細胞の誘発が観察された。ナノ酸化亜鉛の気管内投与実験では、肺の巣状線維化と終末細気管支上皮の過形成性増殖の発生を認めた。免疫系への検討では、末梢血の免疫細胞分画として腹腔内投与後初期のマクロファージ上昇とその後のNK細胞、制御性T細胞の上昇を確認し、MWCNTの経鼻曝露でRSウィルス感染マウスの肺洗浄液中ケモカイン、IFN-γの上昇と肺炎の増悪化が示唆された。in vitro試験では繊維サイズに依存したNLRP3を介したサイトカイン産生活性を明らかにした。次世代への影響では、気管内投与試験結果と異なりMWCNTの尾静脈内投与試験で催奇形性は認められなかった。フラーレン、カーボンブラック、酸化チタンのマウスへの単回腹腔内投与では催奇形性は認められなかった。
結論
MWCNTの繊維サイズや分散性に依存した中皮腫誘発性や染色体異常誘発能について更なる知見が集積された。また、MWCNTが免疫システムに影響を与えているという知見と催奇形性誘発能のナノマテリアルの選択性や投与経路依存性を確認できた。

公開日・更新日

公開日
2013-04-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201236023Z