新規の安全性評価試験法を国際的なガイドラインにするための手法に関する研究

文献情報

文献番号
201236022A
報告書区分
総括
研究課題名
新規の安全性評価試験法を国際的なガイドラインにするための手法に関する研究
課題番号
H24-化学-指定-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター )
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター )
  • 本間正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター )
  • 森田 健(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター )
  • 山影康次(食品薬品安全センター)
  • 林 真((財)食品農医薬品安全性評価センター)
  • 一鬼 勉(一般社団法人日本化学工業協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,259,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物実験の福祉または3Rs原則の普及を考慮に入れた新規試験法の整備やその確立が求められている。本研究は、我が国で開発された化学物質の安全性試験法の内、行政試験法として見込みのある方法について、欧米の研究機関と協力し、試験法の開発、バリデーションおよび第三者評価を経て、テストガイドライン案をOECDに提出することを目指し、日本におけるその過程に係る継続的なシステムを構築することを目的とする。特に、第三者評価方法について、国際的に認められる方法を確立することに主眼をおく。試験法としては、①STTA法、②in vivoコメットアッセイ、③h-CLAT、④Bhas法および⑤STE法について、国際的な第三者評価を行う。また、我が国で研究が進んでいる試験法のうち、⑥肝小核試験、⑦胃小核試験、⑧in vitroコメットアッセイおよび⑨Bhas法のハイスループット化について、プロトコールを開発し、必要性に応じてバリデーションを行う。なお、⑩AR EcoScreen法については、既にバリデーションが終了しているが、第三者評価グループから追加バリデーションを要求されており、その実施を検討する。
研究方法
in vivoコメットアッセイ、Bhas42アッセイ、h-CLATおよびSTE法の4試験法について、欧米の国際機関に第三者評価を依頼している。内分泌かく乱化学物質にかかるHeLa試験法については、細胞や培地を含む最適条件で再測定を行い、本試験系の安定性について検討した。 AR-EcoScreen試験法については、OECDより提案された被験物質及びコントロール物質の反応性について検討した。コメット試験の標準的プロトトコールの確立と小核試験との感度を比較するため、遺伝毒性物質と非遺伝毒性物質を同時に試験した。肝および胃小核試験法について、臓器特異性等の検討を行った。Bhas 42細胞を96ウェルプレート播種し、培養終了後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定し生細胞率を求め、従来法(ギムザ染色法)と比較した。国際状況を把握するため、国連環境計画(UNEP)、欧州委員会およびOECDの動きを調査した。
結果と考察
in vivoコメットアッセイはOECDにおいて第三者評価が進んでいる。Bhas42アッセイはEURL ECVAMにおけるpeer reviewが終了した。h-CLATのバリデーションデータについて、統計解析を実施した。STE法については、米国における第三者評価に用いる背景評価報告の内容を検討した。HeLa試験法について、エストロゲン受容体アンタゴニスト作用を判定した結果、既知の結果とほぼ一致した。AR EcoScreen試験法について、Mestanoloneは再現性のよいアンタゴニスト陽性反応を示した。コメット試験はマイトマイシンCを除いて、小核試験の結果と全て一致したが、陽性結果を得るためには、小核試験の数倍の濃度を必要とした。陽性対照物質による肝小核出現頻度は投与日数依存的に増加し、胃腸管と同様に臓器特異性が示唆された。Bhas法のハイスループット化について、過酸化水素処理した場合、WTS-8染色による新規方法とギムザ染色による従来法が良く一致していた。2012年9月に、ベルリンでの内分泌かく乱物質に関するワークショップ(WS)において、低用量影響と非単調性用量反応の存在が確認された。欧州委員会は、11月に内分泌かく乱物質のカテゴリーを提案した。
結論
in vivoコメットアッセイ、Bhas42アッセイ、h-CLATおよびSTE法について、国際機関の協力を得て、第三者評価を進めた。ER STTAアンタゴニスト測定法については、これまでの全データの再解析により、AR EcoScreen系についてはバリデーション測定を行い、それぞれガイドライン化を検討する。In vitroコメット試験はDNAクロスリンク剤以外の遺伝毒性物質を検出することができるが、その陽性反応は極めて高い細胞毒性状態でのみ観察されるので、その標準化にはさらなる検討が必要である。一般毒性試験に組込み可能な肝臓および胃腸管を用いる反復投与小核試験の有用性が示され、その基本的なプロトコールが構築できた。過酸化水素耐性細胞の吸光度測定結果を指標として評価することにより、細胞形質転換率の簡便かつ客観的評価が可能と考えられたが、従来の判定基準と異なることから、複数の化合物データについてその妥当性を十分に検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2013-07-01
更新日
-

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収支報告書

文献番号
201236022Z