文献情報
文献番号
201235067A
報告書区分
総括
研究課題名
一般用医薬品の安全な販売制度体制の確保に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-034
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学)
研究分担者(所属機関)
- 坂井 博通(埼玉県立大学)
- 延原 弘章(埼玉県立大学)
- 横井 英人(香川大学医学部付属病院)
- 中村 好一(自治医科大学)
- 坪井 聡(自治医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
11,137,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬品の郵便等販売についての必要性と郵便等販売を認める場合の条件の検討を行うための基礎資料を提供すること。
研究方法
(1)一般用医薬品購入者と専門家の意識と実態に関する調査
一般用医薬品購入者の意識と実態に関する調査では、長野県の一般住民(3000人)、山村居住の住民(500人)を対象とした。専門家の意識と実態に関する調査では、松本市の薬剤師(200人)を対象とした。両調査とも平成25年1月に、無記名の郵送調査法により実施した。
(2)郵便等販売利用者の意識と実態等に関する調査
鹿児島県において郵便等販売を行っている薬局等24店舗に対して調査協力を依頼し、同意の得られた14店舗を通じて、第2類医薬品または薬局製造販売医薬品を郵便等販売により購入している者のうち、各店舗が調査協力可能と回答した82人を対象に調査を実施した。調査は平成25年1月に、郵送調査法により無記名で行った。
(3)遠隔医療を用いた服薬指導・服薬管理・相談応需の可能性に関する研究
遠隔医療に関する先行研究情報の抽出および医学中央雑誌とPubMedによる国内外の遠隔医療および服薬指導に関する研究事例の検索を行うとともに、香川県「かがわ医療福祉総合特区」について、県庁および実施地域関係者への聞き取り調査を行い、これらを基に専門家による分析を行った。
(4)郵便等販売方法別の情報提供の効果に関する研究(パイロット調査)
次年度の理解度調査計画に資することを目的に、パイロット調査として、本年度は、12人の被験者を薬局における対面による購入とインターネットを利用した購入の2グループに分けて、第1類医薬品または第2類医薬品を購入させ、購入後にインタビューによる調査を行い、医薬品の情報に関する理解度の比較を行った。
一般用医薬品購入者の意識と実態に関する調査では、長野県の一般住民(3000人)、山村居住の住民(500人)を対象とした。専門家の意識と実態に関する調査では、松本市の薬剤師(200人)を対象とした。両調査とも平成25年1月に、無記名の郵送調査法により実施した。
(2)郵便等販売利用者の意識と実態等に関する調査
鹿児島県において郵便等販売を行っている薬局等24店舗に対して調査協力を依頼し、同意の得られた14店舗を通じて、第2類医薬品または薬局製造販売医薬品を郵便等販売により購入している者のうち、各店舗が調査協力可能と回答した82人を対象に調査を実施した。調査は平成25年1月に、郵送調査法により無記名で行った。
(3)遠隔医療を用いた服薬指導・服薬管理・相談応需の可能性に関する研究
遠隔医療に関する先行研究情報の抽出および医学中央雑誌とPubMedによる国内外の遠隔医療および服薬指導に関する研究事例の検索を行うとともに、香川県「かがわ医療福祉総合特区」について、県庁および実施地域関係者への聞き取り調査を行い、これらを基に専門家による分析を行った。
(4)郵便等販売方法別の情報提供の効果に関する研究(パイロット調査)
次年度の理解度調査計画に資することを目的に、パイロット調査として、本年度は、12人の被験者を薬局における対面による購入とインターネットを利用した購入の2グループに分けて、第1類医薬品または第2類医薬品を購入させ、購入後にインタビューによる調査を行い、医薬品の情報に関する理解度の比較を行った。
結果と考察
医薬品購入に関する一般人の認識としては、リスクと利便性は相反するものとして捉える傾向が見られた。また、医薬品についてテレビ電話、電話またはインターネットを活用した説明は、店舗における対面での説明よりも、分かりやすさや信頼度の点で劣ると考えていた者が多くみられ、インターネットで医薬品を積極的に購入したいと考えている者は少数であった。薬剤師は、リスク認識に関しては、一般調査と同様の傾向を示していたが、より厳しい評価をしており、また、今後もネット販売を行いたいという希望は小さかった。
説明の方法によって、実際にわかりやすさに違いがあるのかは不明であるが、販売方法による医薬品に関する理解度の研究では、予備的調査ではあるが、インターネットによる販売では必要な情報を読み飛ばす傾向が見られたことが確認されており、情報提供の方法に工夫が必要である。また、対面での販売においても、受け身の購入者には適切な情報提供がなされていない傾向があるなどの問題点がみられた。
実際に郵便等販売を利用して医薬品を購入している者の多くは、漢方薬が中心で、薬局等との間にはある程度信頼関係が構築されている様子がうかがえ、不特定多数を対象にしたインターネット販売とはかなり様子が異なっていた。対象の抽出方法からみて、かなり偏った結果になっている可能性は否定できないが、漢方薬に関しては、ある程度限定された者を対象とした繰り返しの販売であるものと思われた。
服薬指導・管理・相談応需への遠隔医療技術の活用は、「特定少数」の対象者に、対面時に得た情報を活用して実現されているのみであり、漢方薬の郵便等販売の状況に類似した点がみられた。
医薬品のネット販売で生じる問題として、購入者による不正な転売やニセ薬局によるニセ薬の販売などが考えられる。対策には購入者の本人確認の仕組みや購入履歴の集約、ネット上の薬局等の真贋の証明が必要であるが、個々の薬局等で可能なことではない。医薬品のネット販売が社会的に必要であるとするのであれば、それに合わせた社会システムの構築作業も必要である。
説明の方法によって、実際にわかりやすさに違いがあるのかは不明であるが、販売方法による医薬品に関する理解度の研究では、予備的調査ではあるが、インターネットによる販売では必要な情報を読み飛ばす傾向が見られたことが確認されており、情報提供の方法に工夫が必要である。また、対面での販売においても、受け身の購入者には適切な情報提供がなされていない傾向があるなどの問題点がみられた。
実際に郵便等販売を利用して医薬品を購入している者の多くは、漢方薬が中心で、薬局等との間にはある程度信頼関係が構築されている様子がうかがえ、不特定多数を対象にしたインターネット販売とはかなり様子が異なっていた。対象の抽出方法からみて、かなり偏った結果になっている可能性は否定できないが、漢方薬に関しては、ある程度限定された者を対象とした繰り返しの販売であるものと思われた。
服薬指導・管理・相談応需への遠隔医療技術の活用は、「特定少数」の対象者に、対面時に得た情報を活用して実現されているのみであり、漢方薬の郵便等販売の状況に類似した点がみられた。
医薬品のネット販売で生じる問題として、購入者による不正な転売やニセ薬局によるニセ薬の販売などが考えられる。対策には購入者の本人確認の仕組みや購入履歴の集約、ネット上の薬局等の真贋の証明が必要であるが、個々の薬局等で可能なことではない。医薬品のネット販売が社会的に必要であるとするのであれば、それに合わせた社会システムの構築作業も必要である。
結論
医薬品の郵便等販売については、比較的小規模で同じ対象について繰り返し販売を行っている漢方薬等の販売とインターネットを介した大規模な販売については、対応方法を分けて考える必要がある。医薬品のネット販売に関して、直ちにリスクが生じることが証明されているわけではないが、対面販売と同等の安全性が保証されているわけでもない。日本遠隔医療学会のまとめた「遠隔医療技術を用いた服薬指導や管理に関する意見書」を参考に、必要な措置が講じられることが望まれる。
一方、一般人・薬剤師共に、医薬品の対面販売は、他の方法にくらべて信頼度が高く、分りやすいと思われているが、受け身の購入者には適切な情報提供がなされていない傾向があり、薬剤師のコミュニケーション能力の向上が望まれる。
一方、一般人・薬剤師共に、医薬品の対面販売は、他の方法にくらべて信頼度が高く、分りやすいと思われているが、受け身の購入者には適切な情報提供がなされていない傾向があり、薬剤師のコミュニケーション能力の向上が望まれる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-17
更新日
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