医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究

文献情報

文献番号
201235057A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究
課題番号
H24-医薬-指定-026
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 臨床研究センター治験推進室)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学)
  • 松本 峰男(医薬品医療機器総合機構 生物系審査第二部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所  安全性生物試験研究センター 総合評価研究室)
  • 四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
32,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の開発や承認申請に必要な試験の種類、方法、並びに市販後の品質及び安全性確保のために必要な情報収集や規制等に関する国際的不調和の存在を明らかにし、その調和を計ることにより医薬品開発の効率化と適正化に資するとともに、市販後医薬品の適正管理を促進する。
研究方法
産・学・官の専門家からなる検討グループを構築し、情報を収集・検討するとともに、国際的協議を行い、国際的な指針作成に寄与する。
結果と考察
1.医薬品の安全性に関する非臨床的研究
(1)バイオ医薬品の非臨床安全性試験に関するICH指針の補遺(S6(R1))へのパブコメへの対応をまとめた。また、その国内周知を企図した医薬品非臨床試験ガイドライン解説の改訂作業を進めた。
(2)非臨床光安全性試験方法について検討し、Step2合意を達成した(ICH S10)。
(3)薬理作用と毒性所見に基づくがん原性予測の妥当性について、retrospective解析を行うとともに、prospectiveにも確認するための作業を進めた(ICH S1)。
(4)ICH S10指針にROSアッセイ法を組み込むため、我が国で国際的な第三者評価を実施した。
2.医薬品の品質に関する非臨床的研究
(1)原薬の開発と製造に関するICH Q11指針がStep4に達した。品質に関する承認後変更の手続きの共通化を目標に、特にEUにおける最近の取り組みを調査し、我が国と比較考察した。
(2)がんの免疫細胞療法で使用される最終製品の品質確保のため、欧米の関連指針を調査し、必要と思われる検査項目を整理した。
(3)がん免疫療法に用いる遺伝子改変細胞製品の開発と規制動向を調査した。EUにはそれに特化した指針がある。がん免疫療法に用いる遺伝子改変細胞製品の品質と安全性確保には、その特性を考慮することが重要である。
(4)抗体医薬品の品質特性解析手法を検証するため、高親和性ペプチドカラムによる血中抗体医薬品の回収法について検討した。残留する宿主由来タンパク質の同定を行い、トラスツズマブに吸着する宿主由来タンパク質の存在を確認した。
(5)バイオ医薬品の目的物質由来不純物である凝集体は、様々な製造段階で形成されやすいが、適切な措置により形成を抑制できし、精製工程により除去することも可能である。
(6)バイオ後続品に関する各国の指針の内容には共通点が多いが、参照品の要件、先行品との互換性のある製品の指定、臨床試験における非劣性試験の考え方等に違いもあり、それらに関する規制要件の明確化が、開発及び承認審査の迅速化に有用である。
(7)遺伝毒性不純物に関するに関し協議し(ICH M7)、Step2の合意を達成した。
(8)金属不純物規制に関するPre-Step 2指針(ICH-Q3D)へのコメントに基づき修正し、再度関係者にコメントを求めた。
(9)日本薬局方は、日米EU三薬局方との国際調和だけでなく、より広い範囲での国際交流が望まれており、その国際発信に努めるとともに、世界の薬局方の進歩を先導するためにも、体制の維持・発展を図るべきである。
3.医薬品の臨床試験に関する検討
(1)小児治験のための「アセント文書の作成にあたって」を公開した。また、慢性疾患小児患者と保護者を対象に、説明の適否に関する評価を開始した。ICH E-11指針の再検討の準備として、関連情報の収集・検討を開始した。
(2)遺伝子治療薬のFIHまでに実施すべき前臨床試験についての国際的情報を収集・整理した。
(3)生体試料中の薬物やバイオマーカー等の定量分析技術のバリデーションに関する指針案(対象:低分子)を作成し、厚生労働省に提出した。
4.その他
(1)心臓、筋肉、神経、肝臓、精巣及び腎臓への毒性、並びに肺炎及び血管炎に関するバイオマーカーについて追加調査を行うとともに、新たに骨毒性、消化管毒性について調査した。miRNAは有望視されているが、血液・尿中安定性に問題があることが報告された。骨傷害については、種々のマーカーが利用されていた。hL-FABPがヒト腎障害を検出するために感度良い指標であると思われた。
(2)わが国におけるアジュバントの位置づけについての論文をまとめた。WHOの「アジュバント添加ワクチンのための非臨床評価ガイドライン」策定作業のための会議に参画した。
(3)医薬品個別症例安全性報告(ICSR)、医薬品辞書のためのデータ項目及び基準(IDMP)の二つのSDOパイロット、eCTD仕様の改訂版(V. 4.0)を開発するSDOプロジェクトが進められた。ICSRに関しては、ICH実装ガイドがStep4に達し、その過程で得られた経験や知見をまとめた最適手法の文書化と電子文書様式の検討が行われている。
結論
多くの点で、国際的合意が進行するとともに、それに資する成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235057Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
32,800,000円
(2)補助金確定額
32,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,778,867円
人件費・謝金 3,475,950円
旅費 7,912,572円
その他 7,635,150円
間接経費 0円
合計 32,802,539円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
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