糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法確立に関する研究

文献情報

文献番号
201235054A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法確立に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-023
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
四方 賢一(岡山大学病院 新医療研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 羽田 勝計(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、患者数が増加の一途をたどっている糖尿病性腎症に関する治療薬の円滑な開発に資するよう、真のエンドポイントと同等なサロゲートエンドポイントの検討を行い、国内外の臨床診断の実態や治療方法の相違も考慮し、国際的な整合などに向けた臨床評価方法の確立を検討し、国内ガイドライン案の作成を行う。
研究方法
現在までの糖尿病性腎症治療薬に関する臨床試験のレビューを行い、我が国の状況に応じた適切なエンドポイントを設定し、臨床評価ガイドライン案を作成する。
結果と考察
1)前年度に計4回の班会議を行い、糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法のガイドライン案を作成した。これを基にして、第Ⅱ相の主要評価項目、早期腎症の寛解の定義、グループ3(国内で糖尿病性腎症に対する治療薬として承認を受けている薬剤の類薬)の意義、評価法、グループ4(他の疾患の治療薬として承認を受けており、糖尿病性腎症への適応拡大が期待できる薬剤)の意義について検討した。また、本ガイドラインには掲載しない内容として必要な事項に関してはQ and Aとして対処することとした。(第1回班会議.2012.6.2)
2)非臨床試験、第Ⅰ相試験、市販後臨床試験も含めたガイドライン案について検討を行った。早期腎症(第2期)を対象とした第Ⅲ相試験の主要評価項目として「寛解」を採用する場合、第Ⅱ相試験の結果を基にして第Ⅲ相試験の適切な試験期間を検討した上で、最終観察時点における寛解率を評価することとした。腎症第2期の患者を対象として、第2期から第1期への移行(寛解)に対する効果を検証できた場合、「早期腎症期」のみを対象とした効能・効果で承認されることとした。一方、第2期から第3期への移行の抑制効果を評価項目として採用する場合には、顕性腎症期の試験を併せて行うことを必須とした。(第2回班会議.2012.8.12)
3) 2012年10月に日本糖尿病学会評議員、日本腎臓学会評議員(計1292名)に本ガイドライン案を送付して意見を聴取し、聴取した意見(計22件)を基に本ガイドライン案をさらに検討した。早期腎症、顕性腎症期における評価項目として、蛋白尿ではなくアルブミン尿を採用することとした。顕性腎症を対象とした臨床試験では、腎死を含めた複合エンドポイントを評価することが妥当とした。(第3回班会議.2012.11.18)
4)2012年12月2日に東京において、本研究の成果報告会を開催し、研究経過と、現時点における最適な評価方法を検討した結果を報告し、質疑応答を行った。(研究成果報告会.2012.12.2)
5)成果報告会での質疑の結果も考慮して、最終的なガイドライン(案)を作成した。
結論
糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法に関するガイドライン案を作成した。今後、本案を基にして、糖尿病性腎症治療薬の臨床的評価方法に関するガイドラインが策定されることにより、糖尿病性腎症の臨床試験および治療薬の開発の推進に資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201235054C

成果

専門的・学術的観点からの成果
糖尿病性腎症の臨床的評価方法確立のため、糖尿病性腎症に関した既報の臨床試験についてレビューを行い、腎不全、死亡といった真のエンドポイントと同等のサロゲートエンドポイントについて検討を行った。その結果、アルブミン尿、蛋白尿、GFRが検出され、これらを複合エンドポイントとして含めることへの妥当性を確認した。
臨床的観点からの成果
アルブミン尿、蛋白尿、GFRは実臨床において、すでに診断、病期分類の決定に重要なサロゲートとして採用されており、治療の指標として導入することは診断から治療といった一連の流れからしても妥当性がある。複合エンドポイントとして採用することによって、治療の評価は時間的にも経済的にも有益となることが期待される。
ガイドライン等の開発
本研究は糖尿病性腎症における新規治験薬の評価に対するガイドラインを作成することを目的としており、国際的な整合性を遵守し今までの真のエンドポイントの重要性を継承しながら、現在のニーズに対応したガイドラインを作成した。主要評価項目を治験薬別、病期分類別に異なる指標とした点は、既存のデータを効率よく利用することが期待される。
2015年に厚生労働省より、本研究成果を基にした糖尿病性腎症の治療薬開発のための臨床試験ガイドライン(案)が公表されてパブリックコメントの募集が実施された。
その他行政的観点からの成果
本研究で作成したガイドライン(案)を基に、糖尿病性腎症治療薬の臨床的評価方法に関するガイドラインを策定することにより、今後の臨床試験、治療薬の開発が、迅速かつ効率的に施行されることが期待される。2015年に厚生労働省より、本研究成果を基にした糖尿病性腎症の治療薬開発のための臨床試験ガイドライン(案)が公表されてパブリックコメントの募集が実施された。
その他のインパクト
2012年に日本糖尿病学会と日本腎臓学会の評議員全員にガイドライン(案)を送付して、広く意見を聴取した。2012年12月2日に東京で開催された糖尿病性腎症研究会において、本研究の成果報告会を開催し、研究経過と現時点における最適な評価方法を検討した結果を報告し質疑応答を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
2016-06-29

収支報告書

文献番号
201235054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 758,647円
人件費・謝金 0円
旅費 573,870円
その他 467,483円
間接経費 200,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
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