医薬品の微生物学的品質確保のための高度試験法導入に関する研究

文献情報

文献番号
201235053A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の微生物学的品質確保のための高度試験法導入に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(武蔵野大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 進康(大阪大学 大学院)
  • 片山 博仁(バイエル薬品株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方には医薬品の微生物学的品質確保のためいくつかの微生物試験法が規定されているが、これらの試験法は随時科学の進歩、国際的な変化に歩調を合わせて改善もしくは新規試験法の導入を図らなければならない。そのような観点から本研究では、①遺伝子組換え体を用いた新規エンドトキシン測定用試薬の開発、②細菌数迅速測定法のバリデーションにかかる基盤データの構築、③無菌医薬品品質確保のための製造と管理の技術に関する研究、の3研究を行う。
研究方法
①では、遺伝子組換えにより作成したエンドトキシン活性化経路3因子のカスケード反応を用いた高感度・高精度なエンドトキシン測定試薬の開発を行う。②では、まず種々の試料につき培養法と新手法で微生物数を比較し、培養法でのバリデーション条件(菌種、添加量等)をもとに、新手法のバリデーション法を考察するための基盤的データを得る。③では、日本PDA製薬学会無菌製品GMP委員会において医薬品製造工場の情報収集、海外の製造所情報、海外のレギュレーション情報を収集し、分析した結果をもとに、日局参考情報の改定案を作成する。
結果と考察
①では、3種のプロテアーゼ前駆体の組換え蛋白質と発色合成基質を再構成し、天然カブトガニに依らない組換えエンドトキシン比色試薬を開発した。日局エンドキシン標準品の検出において、この組換え比色試薬は既存のカブトガニ由来の比色試薬と同等の測定範囲を有することを確認した。②では、医薬品製造用水や医薬品原料、非無菌医薬品について、新手法(蛍光活性染色法)でのプロトコールの改良を行い、生菌由来の蛍光強度を大幅に増強できたことから、操作に習熟していない者でも明確に生菌を検出できるようになった。また、この改良した染色法を用いることにより、日本薬局方の微生物試験で洗浄剤等として広く用いられているポリソルベート80中の生菌数測定が可能となった。③では、意見公募で寄せられた情報をもとにガイドラインの修正案を作成し、日局参考情報の「無菌医薬品製造管理区域の環境モニタリング」と「滅菌および滅菌指標体」の改定案に反映された。
結論
組換えリムルス試薬の酵素因子3種類(C因子、B因子、凝固酵素前駆体)を生産して、これらを利用したエンドトキシン定量性能評価を行い、本研究で作製した組換えリムルス試薬は低濃度のエンドトキシンを定量でき、天然リムルス試薬と比べても遜色のない性能を示すことを見出した。
日本薬局方微生物関連試験(微生物限度試験および無菌試験)に用いる溶解剤や中和剤が蛍光染色に与える影響を検討し、検討したほとんどの溶解剤や中和剤は、蛍光活性染色において供試菌株の染色性に影響を与えないことを明らかにした。
国内の無菌医薬品製造において必要な情報の再整理を、最新の情報を取り入れ、PIC/Sとの整合性もよく考慮して2編の参考情報の改定案を作成した。

公開日・更新日

公開日
2013-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201235053Z