献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201235039A
報告書区分
総括
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H24-医薬-一般-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 大西 雅彦(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 井上 慎吾(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田辺 善仁(株式会社エフエム大阪)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 医学科・大学院医歯学総合研究科)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国は、少子高齢化による人口動態、疾病構造の変化や臓器移植の推進など治療における輸血液の需要は一段と高まる傾向にある。将来の献血は、どうあるべきかの議論が今後も必要であり、そのためにも献血者の必要数(量)の将来予測は重要である。本研究の第一目的は必要な血液製剤の量、献血者数の将来予測を行うことである。将来予測で求められる必要な献血者数(量)の到達は、献血離れが指摘されている現状では容易ではないと予想される。その対策として献血推進施策が必要であるが、限られた資源で有効な献血推進策の実施には、現在の献血推進施策の有効性の検証が重要である。本研究では多岐にわたる献血推進施策から主なものを抽出し、アンケート調査あるいは献血数(量)の推移との関連を調査し、施策の効果の検証を行う事を第二の研究目的とする。
研究方法
<献血推計研究>本研究では、人口動態や疾患構造を踏まえ、必要な血液製剤の量、献血者数の将来予測を行う。すなわち、人口動態統計から得られる疾病構造の推移と、国勢調査から得られる人口の推移、およびこれまでの献血本数の推移を元に必要な輸血用血液の本数あるいは必要な献血者数の推計モデルの構築を試みる。初年度に推計モデルの構築を行う。<献血推進施策評価研究>では、多岐にわたる献血推進施策から主なものを抽出し、アンケート調査あるいは献血数(量)の推移との関連を調査し、施策の効果の検証を行う。初年度は多岐にわたる献血推進のために実施されている施策を調査し、献血者数(量)の年度別、自治体別、性別、年齢階層別などの詳細な解析を実施する。
結果と考察
1)大学生(保健学科在籍)にアンケートを実施。「若年層の献血減を知らない」「献血を他人に勧めない」等が多くを占め、今後の解析が必要と考える。2)日本赤十字社の供血者の実情調査から年代別では40代、50代以上に加え、10代が微増。日本赤十字社プロジェクト「LOVE in Action」の効果により周知度が経時的に上昇し、10代、20代の意識・行動変化に繋がる結果を示唆した。3)献血受付担当者の研修で講師が評価者となり現状の検証を行い、全国学生献血推進実行委員会では、若者の献血活動促進への方策を検討した。4)インターネットによる1万人へのアンケートを解析した結果、献血への知識が多いほど献血経験が多くあった。献血の必要性や安全性が認識できているためと考えられた。5)TVなどのメディア離れも指摘される若者を念頭に置き、USTREAMやソーシャルネットワークなど新たなメディアの取り組みを紹介した。6)日本赤十字社のデータを基に献血者数および献血本数に関する将来推計を試みた。解析の結果、中高齢集団は若年齢集団に比べ献血行動が習慣化している。一方、献血を未経験の集団は次年度も献血をしないことや、若年層は中高齢層と比べ献血活動の習慣化までに至っていないことが示唆された。推定献血者数、推定献血本数は、いずれもH21-22年度の実献血者数と室献血本数に近似した値を示しており、この推定方法により近未来の献血本数の予測が可能と考えられた。
結論
これまでの研究から、初回献血の動機では「奉仕のこころ」と「きっかけ」、反復献血者では「奉仕のこころ」「メリット」が重要であった。また、献血回数の分析結果から、単年度あたり複数回献血者では次年度(以降)の献血実績がある傾向があった。今後はマルコフモデルによる将来推計の手法を用い、地域や啓発の実施効果が測れないか等の分析を加え、献血推進の方策の検討に資する事とする。

公開日・更新日

公開日
2013-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201235039Z