文献情報
文献番号
201235028A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の市販後安全対策のための医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法の確立及び実証に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-医薬-指定-025
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純一(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
- 木村 通男(浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
- 堀 雄史(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部)
- 大江 和彦(東京大学 医学部附属病院企画情報運営部)
- 中島 直樹(九州大学病院医療情報部)
- 横井 英人(香川大学 医学部附属病院医療情報部)
- 池田 俊也(国際医療福祉大学 薬学部)
- 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
- 頭金 正博(名古屋市立大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,344,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1,000万人規模の医療情報データベースを利用した医薬品の安全対策を先導するため、医薬品の市販後安全対策への活用に直結する薬剤疫学的調査手法を確立及び実証することを目的とした。具体的には、(1) 医薬品の副作用検出のためのアルゴリズム構築とそれを用いた行政施策の反映効果の確認(第1部)、(2) 医療情報データベースを用いた医薬品の副作用検出の実施可能性(第2部)、(3) 医療情報データベースを有する医療機関における処方オーダデータの現状等の調査(第3部)、(4) 医療情報データベース解析におけるバイアスの対応(第4部)に関する研究を実施した。
研究方法
(1) ヘパリン起因性血小板減少症Ⅱ型と無顆粒球症の検出式を作成した。オセルタミビルリン酸塩の10代原則使用制限と、クロピドグレルとオメプラゾールとの併用注意の事例について行政施策の効果を確認した。(2) ニューキノロン系抗菌薬による腱障害の検出及び副作用症例の解析と、新規採用薬が処方された患者全例を対象とした臨床検査値異常の検出を行った。(3) 処方オーダデータと服薬実施データとの乖離状況と、データウェアハウス(DWH)の性能・機能及び実際の抽出作業の状況等などを検討した。(4) 糖尿病と発癌に関する分析を例として群間の追跡期間の違いや属性の偏りから生じるバイアスに対応する方法について検討した。
結果と考察
(1) 両副作用に関して医療情報データベースを用いた有用性の高い検索アルゴリズムを構築したと共に、施策効果を確認できる有効な薬剤疫学的評価方法を実証した。(2) 自発報告されないような低頻度の副作用の検出と、新薬による検査値異常の全例調査が実施可能であることが見出された。(3) 処方オーダデータに関する患者の服薬状況との乖離の程度や、DWHからのデータ抽出作業の実際やその有用性が示された。(4) Ⅱ型糖尿病患者と非糖尿病患者における無癌生存率について実際に年齢・性別・健康保険組合・観察期間の偏りを補正して解析できた。
結論
副作用の検出方法の確立及び行政施策の医療現場への反映効果の確認を行うと共に、医療情報データベース基盤整備事業の協力医療機関における副作用の検出、DWHからのデータ抽出、バイアスへの対応等についての実施可能性を把握することができた。
公開日・更新日
公開日
2013-05-28
更新日
-