再生医療実用化加速に資するヒト幹細胞由来製品及び関連要素の品質及び安全性確保に関する総合的研究

文献情報

文献番号
201235026A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療実用化加速に資するヒト幹細胞由来製品及び関連要素の品質及び安全性確保に関する総合的研究
課題番号
H23-医薬-指定-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山中 伸弥(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター 生殖医療研究部)
  • 小澤 敬也(自治医科大学 医学部)
  • 大和 雅之(東京女子医科大学 医学部先端生命医科学系)
  • 松山 晃文(財団法人先端医療振興財団 再生医療研究開発部門兼再生医療開発支援部)
  • 佐藤 陽治(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 澤 芳樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
21,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞・組織加工医薬品等による再生医療の実用化が望まれる中で、実用化の為に必要な技術的要件や方策を出口である行政側が開発早期から示すことは、研究者、開発企業、規制側いずれにも有用であり、再生医療を国民に円滑かつ迅速に提供するための必須要件である。本研究は、わが国の再生医療実用化を推進するための適正な規制環境を世界に先駆けて整備し、国民の保健・医療の向上に資するとともに、当該分野の国際的優位性の確保を目差す行政施策活動の一環として位置づけられる。具体的には、現在の学問・技術、倫理上の観点、国際的動向等を反映した「ヒト自己及び同種体性幹細胞、ヒト自己及び同種iPS(様)細胞、並びにES細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保」に関する5つの指針案を作成し、行政的に通知するとともに、その円滑な施行に資すること及び情報の国際発信を行うこと、また、製品の開発や評価をケース・バイ・ケースの原則に従い効率的、効果的、合理的に促進させるために必要な製品の由来や種類、対象疾患、開発段階等を踏まえた技術的要件、評価基準に関する研究を目的とする。さらに、新規細胞基材、新規製造関連資材、新規製造方法、新規適用法に対する規制からみた留意事項作成等の規制環境整備に関する研究を目的とする。
研究方法
前年度までに作成していた5指針案の完成と行政的に通知するための充実化に向けて、その後の当該分野の進捗、国内外での情報収集と議論をもとに研究を遂行した。適宜、行政当局とも意見交換をしつつ、パブコメ対応、Q/A作成、それに必要不可欠な学術面からみた適正な解釈・運用のための検討を重ねた。また、指針内容の国際発信を目差し、それらの英文版作成及び国際学会発表等を行い、各国規制当局との情報交流、意見交換を行った。その他の課題に関しても、学問・技術の進捗、海外の動向、再生医療の実用化に関する国内での議論などをもとにした調査・研究を行った。
結果と考察
(i) 前年度公表した研究成果、すなわち、①ヒト幹細胞加工医薬品等の品質・安全性確保に関する指針整備と主なポイント(再生医療10巻(2011) 86-90頁)、② ヒト(自己)体性幹細胞加工医薬品等における総則、原材料及び製造関連物質、製造工程に関する留意事項(同誌、91-98頁)、③ヒト(同種)体性幹細胞(同誌、99-106頁)、④ ヒト(自己)iPS(様)細胞(同誌、107-117頁)、⑤ ヒト(同種)iPS(様)細胞(同誌、118-128頁)、⑥ ヒトES細胞(同誌、129-140頁)、⑦最終製品の品質管理(同誌、141-146頁)、⑧非臨床試験及び臨床試験(同誌、147-152頁)をもとに5つの指針案研究班版としてまとめ上げ、さらに充実化を図った。(ii) 上記成果を行政通知化し、またパブコメ対応やQ&Aを作成することによる施行及び解釈・運用の円滑化を図るため、行政当局との意見交換をはじめ、必要な科学的検討を行った。その結果、平成24年9月7日付けで、ヒト自己及び同種体性幹細胞、ヒト自己及び同種iPS(様)細胞、ES細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する5つの指針通知(薬食発0907第2号,薬食発0907第3号、薬食発0907第4号、薬食発0907第5号、薬食発0907第6号)が発出された。(iii) 国際社会への情報発信については、第11回日本再生医療学会国際規制WS(2012年6月)、第3回国際組織再生工学・再生医療会議(2012年9月)及び世界幹細胞サミット2012(2012年12月)において、5指針の概要を発表するとともに、米国FDAやEUの規制担当者等と意見交換を行った。また5指針全文の英文版を作成し、国際社会に発表すべく完成度を高めつつある。また、製品の開発や評価をケース・バイ・ケースの原則に従い効率的、効果的、合理的に促進させるために、全ての製品共通に最低限必要とされる技術的要件や評価基準(ミニマムコンセンサスパッケージ)の策定及び各製品の由来、種類、対象疾患、開発段階等を踏まえた適切な要件、基準に関する研究、わが国が独自のシーズの実用化を世界に先駆けて促進するための必須要件である新規細胞基材や製造関連資材、製造方法等に対する規制からみた留意事項作成等の規制環境整備に関する研究に着手した。
結論
研究は計画に沿って着実に進捗している。ヒト幹細胞加工医薬品等の品質・安全性確保に関する5つの指針の発出をはじめ、これまでに得られた結果は、我が国におけるヒト幹細胞由来製品の実用化を効率的、効果的、合理的に推進させるためのきわめて重要な貢献となる。また、世界に先駆けた規制環境整備による国際的優位性の確保が期待できる点においても、非常に有意義なものである。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,900,000円
(2)補助金確定額
27,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,344,971円
人件費・謝金 379,568円
旅費 3,672,910円
その他 1,072,551円
間接経費 6,430,000円
合計 27,900,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
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