次世代型インフルエンザワクチンの実用化のためのガイドラインに関するガイダンス作成の研究

文献情報

文献番号
201235025A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代型インフルエンザワクチンの実用化のためのガイドラインに関するガイダンス作成の研究
課題番号
H23-医薬-指定-018
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 健(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構本部)
  • 宮崎 義継(国立感染症研究所)
  • 川上 浩司(京都大学)
  • 倉田 毅(国際医療福祉大学 塩谷病院)
  • 駒瀬 勝啓(国立感染症研究所)
  • 浜口 功(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,838,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年トリからヒトに感染し高い致死率を有する高病原性鳥インフルエンザウイルスの発生やメキシコを発端に世界流行を起こしたパンデミックインフルエンザウイルスA/H1N1pdm等の新興・再興感染症の脅威が大きな社会問題となっている。厚生労働省の「ワクチン産業ビジョン」においても、ワクチンの薬事承認の手続きを円滑に進めるために、品質・有効性・安全性の確認に関し開発時に利用されるガイドラインの作成等、ワクチンの特性を踏まえた円滑なシステムの構築の重要性が提言されているところである。これらの提言を踏まえ、山西弘一を研究代表者とする本研究班では、平成19年度から22年度までの4年間にわたる検討を行い、「感染症予防ワクチンの非臨床及び臨床試験ガイドライン」及び「これらのガイドラインに関するQ&A」を作成した。
 最近、最も懸念されることは、多くの人が免疫を持たない型のインフルエンザ(新型インフルエンザ)ウイルスが発生した場合には、急速に感染拡大して世界的大流行(パンデミック)を引き起こし、甚大な健康被害をもたらすことである。我が国の新型インフルエンザ対策行動計画においては、パンデミックに対応するため、新型インフルエンザ発生後、ウイルス株が同定されてから6ヶ月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することを目標としている。
 新型インフルエンザのパンデミック防止のためには、パンデミック発生前、あらかじめ、ワクチン製造のモデルとなるインフルエンザウイルスを用いたワクチン(プロトタイプクチン)を開発し、ヒトにおける免疫原性及び安全性を確認しておくことで、パンデミック発生時に同等の製造方法及び品質管理方法に基づいて、パンデミックワクチンを迅速に製造・供給が可能となるよう準備しておくことが重要である。そこで、本研究班において23年度には、プロトタイプワクチン及びこれに基づくパンデミックワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関する資料について検討し、「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」を作成した。
 一方で、インフルエンザの流行予防には、効果の高いワクチンが不可欠であることが言われてきた。しかし現行のワクチンは必ずしも感染防御には高い効果がなく、さらに新型インフルエンザにおいてはその流行株の予測が難しく、流行株予測に基づく現行の季節性インフルエンザワクチンと同じ接種方法ではその効果に限界がある。そこで次世代のワクチンとしては、より効果の高い製品の開発が望まれている。インフルエンザのような上気道の粘膜から病原体が侵入し感染する急性呼吸器感染症では、粘膜からの感染によって誘導される粘膜免疫、特に分泌型のIgA抗体の働きが重要な意味を持つ。
 以上の経緯を踏まえ、本年度は、投与経路の異なるものとして経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関する資料の作製を目的として検討を行った。
研究方法
経鼻不活化ワクチンの研究を行っている感染症研究所 長谷川秀樹感染病理部長をはじめ、同 田代眞人インフルエンザウイルス研究センター長、喜田宏 北海道大学教授を研究協力者として研究班に加え、経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関するガイダンスの検討を行った。
結果と考察
本研究班において、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」を作製した。本案は、感染防御効果が高く変異ウイルスに対しても有効性が期待できる次世代の経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発を促進する為のガイダンスを示すことにあり、経鼻インフルエンザワクチンの一般的な特徴や、現在開発途上の経鼻不活化インフルエンザワクチンそれぞれの概要、免疫原性、安全性、有効性の評価等について説明した。さらに、現行注射ワクチンの改善策として高い有効性、幅広い交叉防御能力及びおよび長期的な有効性を兼ね備えた経鼻不活化ワクチンの開発に対する指針案に向けた考え方を示すものである。また、対象範囲は、経鼻不活化インフルエンザワクチンに適用され、生ワクチン及びHA以外の抗原への免疫原性を主として期待するワクチンは対象外である。なお、本ガイダンスの対象とされないワクチンの開発を否定するものではない。また、開発等の基本的な考え方は、現行の皮下接種インフルエンザワクチンと比較し感染防御効果、変異ウイルスに対する交叉防御効果の高い経鼻インフルエンザワクチンの開発に際し、参考となる現在開発途上の経鼻不活化インフルエンザワクチンについて概要、免疫原性、非臨床試験、臨床試験についての考え方を記載した。
結論
本年度の研究成果として、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」を作製した。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201235025B
報告書区分
総合
研究課題名
次世代型インフルエンザワクチンの実用化のためのガイドラインに関するガイダンス作成の研究
課題番号
H23-医薬-指定-018
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 倉田 毅(国際医療福祉大学塩谷病院)
  • 濵口 功(国立感染症研究所)
  • 宮崎 義継(国立感染症研究所)
  • 川上 浩司(京都大学)
  • 伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構)
  • 駒瀬 勝啓(国立感染症研究所)
  • 石井 健(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 鹿野 真弓(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 近年トリからヒトに感染し高い致死率を有する高病原性鳥インフルエンザウイルスの発生やメキシコを発端に世界流行を起こしたパンデミックインフルエンザウイルスA/H1N1pdm等の新興・再興感染症の脅威が大きな社会問題となっている。厚生労働省の「ワクチン産業ビジョン」においても、ワクチンの薬事承認の手続きを円滑に進めるために、品質・有効性・安全性の確認に関し開発時に利用されるガイドラインの作成等、ワクチンの特性を踏まえた円滑なシステムの構築の重要性が提言されているところである。これらの提言を踏まえ、山西弘一を研究代表者とする本研究班では、平成19年度から22年度までの4年間にわたる検討を行い、「感染症予防ワクチンの非臨床及び臨床試験ガイドライン」及び「これらのガイドラインに関するQ&A」を作成した。
 最近、最も懸念されることは、多くの人が免疫を持たない型のインフルエンザ(新型インフルエンザ)ウイルスが発生した場合には、急速に感染拡大して世界的大流行(パンデミック)を引き起こし、甚大な健康被害をもたらすことである。我が国の新型インフルエンザ対策行動計画においては、パンデミックに対応するため、新型インフルエンザ発生後、ウイルス株が同定されてから6ヶ月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することを目標としている。
 新型インフルエンザのパンデミック防止のためには、パンデミック発生前、あらかじめ、ワクチン製造のモデルとなるインフルエンザウイルスを用いたワクチン(プロトタイプクチン)を開発し、ヒトにおける免疫原性及び安全性を確認しておくことで、パンデミック発生時に同等の製造方法及び品質管理方法に基づいて、パンデミックワクチンを迅速に製造・供給が可能となるよう準備しておくことが重要である。そこで、平成23年度には、プロトタイプワクチン及びこれに基づくパンデミックワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関する資料を作成することを目的として検討し、「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」を作成した。
 一方で、インフルエンザの流行予防には、効果の高いワクチンが不可欠であることが言われてきた。しかし現行のワクチンは必ずしも感染防御には高い効果がなく、さらに新型インフルエンザにおいてはその流行株の予測が難しく、流行株予測に基づく現行の季節性インフルエンザワクチンと同じ接種方法ではその効果に限界がある。そこで次世代のワクチンとしては、より効果の高い製品の開発が望まれている。インフルエンザのような上気道の粘膜から病原体が侵入し感染する急性呼吸器感染症では、粘膜からの感染によって誘導される粘膜免疫、特に分泌型のIgA抗体の働きが重要な意味を持つ。そこで、平成24年度は、投与経路の異なるものとして経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関する資料の作製を目的として検討を行った。
研究方法
 平成23年度は、研究班でプロトタイプワクチン及びこれに基づくパンデミックワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関する資料を作製するため、研究班会議で検討を行った。平成24年度は、経鼻不活化ワクチンの研究を行っている感染症研究所 長谷川秀樹感染病理部長をはじめ、同 田代眞人インフルエンザウイルス研究センター長、喜田宏 北海道大学教授を研究協力者として研究班に加え、経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関するガイダンスの検討を行った。
結果と考察
平成23年度は、危機管理を踏まえたワクチンガイドラインとして、「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」を作製し、平成24年度には、次世代ワクチン開発の為のガイドラインとして、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」を作製した。
結論
 研究成果の「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」について、厚生労働省は、国民からパブリックコメントの募集を行い、その結果を踏まえて、平成23年10月31日、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知を発出した。また、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」についても、厚生労働省にパブリックなガイドラインとして提案する予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201235025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
プロトタイプワクチン及びこれに基づくパンデミックワクチンや経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関するガイドラインガイドラインが作成されることにより、開発時の指針が示された。
臨床的観点からの成果
これまで、プロトタイプワクチン及びこれに基づくパンデミックワクチンや経鼻不活化インフルエンザワクチンの製造販売承認申請に必要な品質、非臨床及び臨床に関するガイドラインガイドラインがなかったことから、開発時における臨床試験の指針が示された。
ガイドライン等の開発
 平成23年度には「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」平成24年度には、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」を開発した。
その他行政的観点からの成果
「パンデミックインフルエンザに備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドライン(案)」について、厚生労働省は、国民からパブリックコメントの募集を行い、その結果を踏まえて、平成23年10月31日、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知を発出した。また、「経鼻不活化インフルエンザワクチンの開発に関するガイドライン(案)」についても、厚生労働省にパブリックなガイドラインとして提案する予定である。
その他のインパクト
2011年8月11日 (木)、薬事日報に「【新型インフルワクチン】プロトタイプ開発でガイドライン策定へ」という見出しで報道された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235025Z