薬剤師養成の実質化を実現するための実務実習指導薬剤師養成研修改革に関する調査研究(23271101)

文献情報

文献番号
201235021A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師養成の実質化を実現するための実務実習指導薬剤師養成研修改革に関する調査研究(23271101)
課題番号
H23-医薬-一般-012
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
須田 晃治(一般社団法人薬学教育協議会 事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 收正(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
6年制薬学教育における薬剤師養成教育の基軸をなす長期実務実習により、社会ニーズに対応できる高度な薬剤師を輩出するためには、実務実習を担う薬剤師が新たな薬剤師教育の理念・目標を認識し、実務実習の指導者としての優れた能力とその職能を十分に発揮して知識・技能・態度教育を実施すること(薬剤師養成の実質化)が重要である。「実務実習指導薬剤師養成ワークショップ(以下、WS)」は実務実習指導薬剤師の認定要件の一つとして実施されてきた。したがって、薬剤師養成研修の実質化を真に達成するためには、現行の指導薬剤師養成研修プログラムの実務実習指導における有用性・実効性を詳細に検証し、その結果を踏まえて効果的な改善案を策定し、実施することが必要である。
 本研究では、現行WSを検証し、改革案を提言し、薬剤師養成研修の実質化を図る。
研究方法
平成23年度、24年度の2年間で下記の取り組みを実施する。
1)実務実習指導のための研修プログラムの有用性・実効性を検証する。複数のアンケート調査やシニアタスクフォース派遣により各地区のWSに関する情報の収集と検証を行う。
2)検証結果に基づいて十分な有用性・実効性を担保するプログラム改善案を策定する。
3)改善案をWSで試行し、その効果を評価する。
4)プログラム最終改善案を決定し、構築した検証・改善プロセスと合わせて研修改革案を提言する。
結果と考察
薬学教育協議会薬学教育者ワークショップ委員会及びその傘下の厚生労働科学研究費補助金事業ワーキンググループを中心に、平成24年度は、1)から4)の事業を実施し2年間の成果とその効果をまとめた。
1)について
全国各地区のWSへのタスクフォース経験豊かな大学教員及び指導薬剤師の派遣、今後主導的にWSを担う各地区の中堅・若手タスクフォースの交流により、WSの運営状況及び研修プログラムの実施状況を調査し、研修プログラムの有用性・実効性を検証した。
2)について
 薬剤師養成教育、実務実習の指導に関わるWSのプログラムについて、以下の課題及び問題点を抽出・明確化した。a)実践的かつ教育効果が高い「学習目標」の立案方法の修得、b)具体的に活用できる「学習方略」の立案方法の修得、c)教育効果が高い「教育評価」の実施方法の修得、d)タスクフォースのスキルアップの必要性、e)実践的な指導方法に関する情報提供や大学・医療現場における教育内容に関する情報の共有化の必要性、f)その他今後のWSの開催に関する指針策定の必要性、配布資料の改善・統一の必要性、開催条件・運営方法の改善・統一の必要性等。
 そこで、実務実習を担う薬剤師の指導者としての意識を高め、指導能力の向上を図るために、これらの課題・問題点を踏まえてWSプログラムの改善案を策定した。
3)について
 a)及びd)については、平成24年12月に第1回薬学教育者アドバンストWS(タスクフォーススキルアップ集会)を開催し、グループ討議、コンサルタントによる講演及びスキルアップに関する指導、参加したタスクフォース間の情報交換を行った。その結果、各地区のWSにおいてタスクフォースが実践できる、薬剤師養成教育、実務実習に対応した実践的かつ教育効果が高い「学習目標」立案のための効果的な動詞の使い方について情報を伝達することができた。またタスクワークについて十分なスキルアップができた。
 b)については、WSにおける「学習方略」セッションの作業時間を延ばして十分な議論の時間を取ることと、「学習方略」作成に先立ち、カリキュラムプランニングのセッションに入る前に“実務実習に臨む学生のコミュニケーション能力の不足”を問題点として取り上げ、“臨床現場の様々な場面でこれを如何に教育するか”について予備的な作業を行うという改善策を提言し、これらの試行と有用性・実効性の検証を複数のWSで行った。
4)について
 上記1)から3)の研究成果に基づいて、WSの運営及びプログラムに関する最終改善案を策定した。
結論
教育や研修プログラムの改善には、PDCAサイクルに基づいたスパイラルアップが有効であると言われている。本研究は、これまで実施されてきたWS(P→D)について詳細な検証と問題点の抽出・明確化を行い(C)、さらに改善策を策定し、その一部を実施・試行した(A)ものであり、PDCAサイクルに基づく効果的な改善プロセスと位置付けることができる。そこで、上記の最終改善案と合わせて、本PDCAサイクルによるWSの検証・改善作業を薬剤師研修の実質化を行うための有効なモデルプロセスとして提言する。
 今後各地区のWSにおいて最終改善策を実施し、効果を検証しつつブラッシュアップし、定着を図る。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201235021B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師養成の実質化を実現するための実務実習指導薬剤師養成研修改革に関する調査研究(23271101)
課題番号
H23-医薬-一般-012
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
須田 晃治(一般社団法人薬学教育協議会 事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 收正(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
6年制薬学教育における薬剤師養成教育の基軸をなす長期実務実習により、社会ニーズに対応できる高度な薬剤師を輩出するためには、実務実習を担う薬剤師が新たな薬剤師教育の理念・目標を認識し、実務実習の指導者としての優れた能力とその職能を十分に発揮して知識・技能・態度教育を実施すること(薬剤師養成の実質化)が重要である。「実務実習指導薬剤師養成ワークショップ(以下、WS)」は実務実習指導薬剤師の認定要件の一つとして実施されてきた。したがって、薬剤師養成研修の実質化を真に達成するためには、現行の指導薬剤師養成研修プログラムの実務実習指導における有用性・実効性を詳細に検証し、その結果を踏まえて効果的な改善案を策定し、実施することが必要である。本研究では、現行WSを検証し、改革案を提言し、薬剤師養成研修の実質化を図る。
研究方法
平成23年度、24年度の2年間で下記の取り組みを実施する。
1)実務実習指導のための研修プログラムの有用性・実効性を検証する。複数のアンケート調査やシニアタスクフォース派遣により各地区のWSに関する情報の収集と検証を行う。
2)検証結果に基づいて十分な有用性・実効性を担保するプログラム改善案を策定する。
3)改善案をWSで試行し、その効果を評価する。
4)プログラム最終改善案を決定し、構築した検証・改善プロセスと合わせて研修改革案を提言する。
結果と考察
 薬学教育協議会薬学教育者ワークショップ委員会及びその傘下の厚生労働科学研究費補助金事業ワーキンググループを中心に、平成23年度は上記の1)と2)の事業に着手し、平成24年度は、1)から4)の事業を実施し2年間の成果とその効果をまとめた。
1)について
 全国各地区のWSへのタスクフォース経験豊かな大学教員及び指導薬剤師の派遣、今後主導的にWSを担う各地区の中堅・若手タスクフォースの交流により、WSの運営状況及び研修プログラムの実施状況を調査し、研修プログラムの有用性・実効性を検証した。
2)について
 薬剤師養成教育、実務実習の指導に関わるWSのプログラムについて、以下の課題及び問題点を抽出・明確化した。a)実践的かつ教育効果が高い「学習目標」の立案方法の修得、b)具体的に活用できる「学習方略」の立案方法の修得、c)教育効果が高い「教育評価」の実施方法の修得、d)タスクフォースのスキルアップの必要性、e)実践的な指導方法に関する情報提供や大学・医療現場における教育内容に関する情報の共有化の必要性、f)その他今後のWSの開催に関する指針策定の必要性、配布資料の改善・統一の必要性、開催条件・運営方法の改善・統一の必要性等。
 そこで、実務実習を担う薬剤師の指導者としての意識を高め、指導能力の向上を図るために、これらの課題・問題点を踏まえてWSプログラムの改善案を策定した。
3)について
 a)及びd)については、平成24年12月に第1回薬学教育者アドバンストWS(タスクフォーススキルアップ集会)を開催し、グループ討議、コンサルタントによる講演及びスキルアップに関する指導、参加したタスクフォース間の情報交換を行った。
 その結果、各地区のWSにおいてタスクフォースが実践できる、薬剤師養成教育、実務実習に対応した実践的かつ教育効果が高い「学習目標」立案のための効果的な動詞の使い方について情報を伝達することができた。またタスクワークについて十分なスキルアップができた。
 b)については、WSにおける「学習方略」セッションの作業時間を延ばして十分な議論の時間を取ることと、「学習方略」作成に先立ち、カリキュラムプランニングのセッションに入る前に“実務実習に臨む学生のコミュニケーション能力の不足”を問題点として取り上げ、“臨床現場の様々な場面でこれを如何に教育するか”について予備的な作業を行うという改善策を提言し、これらの試行と有用性・実効性の検証を複数のWSで行った。
4)について
 上記1)から3)の研究成果に基づいて、WSの運営及びプログラムに関する最終改善案を策定した。
結論
 教育や研修プログラムの改善には、PDCAサイクルに基づいたスパイラルアップが有効であると言われている。本研究は、これまで実施されてきたWS(P→D)について詳細な検証と問題点の抽出・明確化を行い(C)、さらに改善策を策定し、その一部を実施・試行した(A)ものであり、PDCAサイクルに基づく効果的な改善プロセスと位置付けることができる。そこで、上記の最終改善案と合わせて、本PDCAサイクルによるWSの検証・改善作業を薬剤師研修の実質化を行うための有効なモデルプロセスとして提言する。
 今後各地区のWSにおいて最終改善策を実施し、効果を検証しつつブラッシュアップし、定着を図る。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201235021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
6年制薬剤師養成教育では、薬の専門職者である薬剤師が薬剤師養成教育に関与することの重要性を認識し、医療現場において実務教育の優れた指導者となることが求められている。薬学教育者ワークショップに参加し教育の技法の基本を修得した多くの実務実習指導薬剤師が、実務実習において、優れた技能態度教育を実践していることを薬学教育協議会病院・薬局実務実習中央調整機構委員会報告から確認している。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
厚生労働省は、6年制薬学教育における参加型長期実務実習を新たな薬剤師養成の重点事項として強く推進している。本研究では実務実習指導に関わる薬剤師の意識向上と指導能力修得を目指す現行WSの有用性・実効性を検証し、WS改革案をPDCAサイクルで回すことを提案した。本提案を出発点に優れたWS改革案が実践されるならば、実務実習は薬剤師養成教育の実質化の場として機能し、厚生労働省が主導するチーム医療や地域医療に貢献できる優れた薬剤師の養成が推進され、医療行政に大きな貢献ができるものと期待できる。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
2018-06-21

収支報告書

文献番号
201235021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 432,509円
旅費 2,900,400円
その他 753,519円
間接経費 0円
合計 4,086,428円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
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