文献情報
文献番号
201235018A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の添付文書の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
外 須美夫(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 松田 勉(山形大学大学院医学系研究科)
- 廣瀬 稔(北里大学医療衛生学部医療工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療機器の添付文書は薬事法第63条の2に規定された医療機器を安全に使用するために最も基本となる文書で、医療機器企業が作成し製品への添付等が義務付けられている。
ただし、この添付文書に対しては、警告の内容が多すぎて理解するのに時間がかかる、現状の医療実態に即していない、同機種でありながら各社で記載内容に差があるとの指摘がなされており、最新の医療に則しかつ医療関係者が理解しやすいものとなるよう見直しが求められている。
そこで、本研究班は、個別の問題品目の添付文書を見直すとともに、今後の医療機器添付文書全般の在り方について検討することを目的とし3年計画で実施しているものである。
ただし、この添付文書に対しては、警告の内容が多すぎて理解するのに時間がかかる、現状の医療実態に即していない、同機種でありながら各社で記載内容に差があるとの指摘がなされており、最新の医療に則しかつ医療関係者が理解しやすいものとなるよう見直しが求められている。
そこで、本研究班は、個別の問題品目の添付文書を見直すとともに、今後の医療機器添付文書全般の在り方について検討することを目的とし3年計画で実施しているものである。
研究方法
①添付文書の規制について我が国と欧米等の比較
②米国における医用電気機器のIFUの利用状況等に関する調査
③昨年度のアンケート調査に基づく個別品目の添付文書の改訂に向けた調査
④昨年度のアンケート調査の自由記載項目の分析
⑤添付文書における【警告】および【禁忌・禁止】の記載状況の調査
②米国における医用電気機器のIFUの利用状況等に関する調査
③昨年度のアンケート調査に基づく個別品目の添付文書の改訂に向けた調査
④昨年度のアンケート調査の自由記載項目の分析
⑤添付文書における【警告】および【禁忌・禁止】の記載状況の調査
結果と考察
・100床以上の全国の病院を対象にアンケート調査を行い、5,089施設中1、536施設(30.2%)から回答を頂いた。その結果、医療機器の管理体制ができている施設(回答施設数の69%)では、半数以上で医療機器管理部門や治療部署などで添付文書の閲覧が可能であることが分かった。添付文書の記載項目や記載内容については、回答者総数(3,552人)の17%が「不満」・「やや不満」と感じていることが分かった。添付文書の項目で充実すべき項目または整理すべき項目には、操作方法や使用方法等(使用注意、重要な基本的注意、併用禁忌)に関する項目、保守点検に関する項目が多く、不必要な項目には承認条件、臨床成績、品目仕様が多いことが分かった。また、添付文書の記載内容が少ない場合に添付文書(紙)を廃止することについては、「廃止し、包装に表示する」はほぼ半数であった。
・アンケート調査の結果から、添付文書の見直しの必要性の高い品目(群)として、7品目(群)を選択し改訂案を検討した。7品目(群)の内訳は、輸液ポンプ・シリンジポンプ、パルスオキシメータ、ダイアライザ、X線透視診断装置、MR装置、気管切開チューブ、蘇生バッグである。
・米国における添付文書の活用の実態調査として病院4施設を訪問した。米国には我が国の添付文書に該当する資材は無く、企業からの医療機器の安全使用に関する情報の多くは取扱説明書(DVD,Quick Reference Guide, Instruction for Use(IFU)等)や研修会(使用者全員受講)で提供されることが分かった。
・我が国の添付文書、米国のラベリング、EUのラベル及び取扱説明書、GHTFのラベリング及び取扱説明書について、規制の根拠となる法律、通知、ガイダンス等から添付文書等に必要とされている記載項目の違いを調査した。また、日米で承認されている同一の医療機器(例:人工血管など)を用いて、日本の添付文書と米国のIFUの記載内容の差について調査した。その結果、日米欧で大差はないものの、日本の添付文書で求めている項目の中には欧米では求めていない項目(承認番号、品目仕様等)等が存在することが明らかとなった。
・平成23年度のアンケート調査の結果、同様の医療機器でも【禁忌・禁止】の記載が各社で異なるとの指摘があったことから、医用電気機器、医療材料等の添付文書における記載面積における【禁忌・禁止】の割合を調査したところ、同種類で同様の機能を持つ医療機器の添付文書でも各社の添付文書間に大きな差(例:心電図本体の場合1.6%~13.0%)が認められた。
・アンケート調査の結果から、添付文書の見直しの必要性の高い品目(群)として、7品目(群)を選択し改訂案を検討した。7品目(群)の内訳は、輸液ポンプ・シリンジポンプ、パルスオキシメータ、ダイアライザ、X線透視診断装置、MR装置、気管切開チューブ、蘇生バッグである。
・米国における添付文書の活用の実態調査として病院4施設を訪問した。米国には我が国の添付文書に該当する資材は無く、企業からの医療機器の安全使用に関する情報の多くは取扱説明書(DVD,Quick Reference Guide, Instruction for Use(IFU)等)や研修会(使用者全員受講)で提供されることが分かった。
・我が国の添付文書、米国のラベリング、EUのラベル及び取扱説明書、GHTFのラベリング及び取扱説明書について、規制の根拠となる法律、通知、ガイダンス等から添付文書等に必要とされている記載項目の違いを調査した。また、日米で承認されている同一の医療機器(例:人工血管など)を用いて、日本の添付文書と米国のIFUの記載内容の差について調査した。その結果、日米欧で大差はないものの、日本の添付文書で求めている項目の中には欧米では求めていない項目(承認番号、品目仕様等)等が存在することが明らかとなった。
・平成23年度のアンケート調査の結果、同様の医療機器でも【禁忌・禁止】の記載が各社で異なるとの指摘があったことから、医用電気機器、医療材料等の添付文書における記載面積における【禁忌・禁止】の割合を調査したところ、同種類で同様の機能を持つ医療機器の添付文書でも各社の添付文書間に大きな差(例:心電図本体の場合1.6%~13.0%)が認められた。
結論
添付文書の欧米等の規制等の調査、米国での添付文書の活用状況の調査、昨年度のアンケート調査での自由記載の分析、添付文書における【警告】、【禁忌・禁止】の記載状況の調査を実施した。
25年度はこれらの結果を踏まえ、医療機器の添付文書の在り方について検討する予定である。
また、現在、添付文書の見直しに向けて調査を実施中の7品目群については、25年度に医療関係者の意見も踏まえ改訂案をとりまとめる予定である。
25年度はこれらの結果を踏まえ、医療機器の添付文書の在り方について検討する予定である。
また、現在、添付文書の見直しに向けて調査を実施中の7品目群については、25年度に医療関係者の意見も踏まえ改訂案をとりまとめる予定である。
公開日・更新日
公開日
2013-06-12
更新日
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