妊娠・授乳期における医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201235015A
報告書区分
総括
研究課題名
妊娠・授乳期における医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 江馬 眞(独立行政法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
  • 三橋直樹(順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科)
  • 生水真紀夫(千葉大学大学院 生殖機能病態学)
  • 北川浩明(虎の門病院 産婦人科)
  • 村島温子(国立成育医療研究センター 母性医療診療部)
  • 濱田洋実(筑波大学 医学医療系 )
  • 林 昌洋(虎の門病院 薬剤部)
  • 佐藤信範(千葉大学大学院薬学研究院 臨床教育学)
  • 水上尚典(北海道大学大学院医学研究科 産科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、医薬品の添付文書には妊娠・授乳期において、必須の薬剤が禁忌であったり、逆に真に禁忌のものが使われているものが少なくない。正しい使用方法に導くためのガイドラインを確立する。
研究方法
平成24年度には、平成25年度中に評価委員会での修正、コンセンサス・ミーティングでの議論、機関誌公開後の意見聴取を経て完成させる産婦人科診療ガイドラインー産科編2014(平成26年4月発刊)の原案を完成させた。そのためには、平成24年度に確定した原案をもとにコンセンサスミーティングを重ね、完成させる。添付文書の改訂を急ぐものを50-60薬剤取り上げる。ガイドラインが添付文書などの改訂に速やかに繋がると考えており、一般国民及び各科専門医に広く発信する。
結果と考察
平成24年度に完成させた原案では、次の4つのClinical Question (CQ)に対し、具体的薬剤名を挙げて説明した。
CQ-1. 妊娠中投与された医薬品の胎児への影響について質問されたら?
受精前、受精後2週間、妊娠4―7週末、妊娠8-11週末、妊娠12週以降に分けて記載。
CQ-2. 禁忌の医薬品のうち、投与が必須か、もしくは推奨される代表的医薬品は?
ヒトでは胎児有害作用が否定的な医薬品、代替医薬品の選択枝がある医薬品、製造業者又は輸入業者が妊婦に投与してもらう必要がないと判断した医薬品などを峻別する作業を行った。
CQ-3. 禁忌の医薬品のうち、妊娠と知らずに投与された場合、有意な胎児リスク上昇はないと判断できる医薬品は?
薬剤の投与前だけでなく、投与後の判断に役立つガイドライン作成を行った。必要のない人工妊娠中絶や医療訴訟を防ぐ意味でもこの記載は重要である。
CQ-4.有益性投与の医薬品のうち、妊娠中の投与に注意が必要な医薬品については?
有益性投与の医薬品の一部には催奇形性・胎児毒性に関して留意すべき医薬品がある。
結論
CQ-1において、妊娠と薬の原則を説明した。CQ-2は使用上の注意の第一の問題点(医薬品投与が必須にもかかわらず、妊娠女性禁忌とされている薬剤の存在)を解決するものである。典型例は臓器移植後の妊娠女性への免役抑制剤の投与である。必須の薬剤を禁忌としている現状を是正し、そうした女性が安心して妊娠・出産できるようにすべきである。CQ-3は第二の問題点(妊娠と気づかずに禁忌薬が投与された場合への投与後の対応)を解決するものである。こうした医薬品のうち、少なくとも妊娠初期の催奇形性とは別の理由での禁忌やヒトでは催奇形性は否定的であるのに禁忌とされている医薬品について明確にすることがきわめて重要と考える。安易な妊娠中絶が激減することが期待できる。CQ-4は特に第三の問題点(有益性投与の薬剤にもリスクを説明すべき薬剤が存在すること)の解決を目指して作成した。

公開日・更新日

公開日
2013-05-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201235015Z