コンパニオン体外診断用医薬品の臨床性能試験の在り方に関する再帰的研究(23270201)

文献情報

文献番号
201235012A
報告書区分
総括
研究課題名
コンパニオン体外診断用医薬品の臨床性能試験の在り方に関する再帰的研究(23270201)
課題番号
H23-医薬-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
池田 正行(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋澤 るみ子(長崎大学 医歯薬学総合研究科)
  • 戸高 浩司(九州大学病院 ARO 次世代医療センター)
  • 横井 英人(香川大学医学部附属病院医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コンパニオン診断薬(以下CoDx)を伴う医薬品のガイドライン、開発環境、承認状況、市販後体制等を日米欧の三極間で比較検討することにより、我が国における個別化医療の推進に有用なデータを提供する。
研究方法
1.CoDxの使用が必須とされている医薬品について、効能効果、承認状況を日米欧三極でのの承認情報を基に比較検討した。
2.EMAリフレクションペーパーはインターネット上で公開されている。またFDAのTable of Pharmacogenomic Biomarkers in Drug Labelsに掲載されているゲノムバイオマーカーに関して、各国の添付文書データベースを用いて、記載状況を調査した。
3.1)米国の承認状況及び2)日米の開発状況比較について、Web上に公開されている規制当局からのガイダンス文書、臨床試験登録、及び商業調査レポート等を調査し情報を抽出、比較をした。
4.分子標的薬10種類の審査報告書を対象として、形態素解析ツールには、特許情報のテキストマイニングに用いられた実績のある「Text Mining Studio 4.01(以下TMS)」を使用し、TMSの評判分析機能を用いて、審査報告書の文章の内容が「肯定的」なのか「否定的」なのかを自動分類する実験を行った。
結果と考察
1. 米国で承認されCoDxの使用が必須とされていたのは、17品目、18効能効果だった。18効能効果のうち、16効能効果が悪性新生物(うち固形癌7、血液・リンパ系9)だった。18効能効果中、欧州で未承認は4効能効果、日本で未承認は、6効能効果だった。
 米国と比べた時の日本での承認の遅れの中央値は28ヶ月、申請の遅れの中央値は21ヶ月だった。
2.1) EMA リフレクションペーパーの検討・邦訳 :本リフレクションペーパーの邦訳を完成し、医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス誌11月号、12月号に掲載された。
2) 日米英の添付文書におけるコンパニオン診断の記載状況:コンパニオン診断に関する記載を積極的に取り入れる傾向は、米国が最も強く、英国、日本の順に続いていた。
3.1)米国の承認状況
2013年3月4日時点で119件にもなっていた。中でもがん領域が最も多く37件、次いで精神科領域27件、消化管系9件、心血管系8件と続いていた。
2)日米の開発状況比較
米国実施が199件で、がん領域が最も多く、精神科、心血管領域などがそれに次ぐ数であった。Phase I-IIといった早い段階のものが多く、NIH funding(重複支援含む)のものが過半数を占めていた。日本実施は総数13件にと米国の6%に過ぎなかった。がん領域が多い事などの傾向は米国と大差がなかったが、比較的早期の試験が少なく、文科省、厚労省と言った公的支援を得た試験も少なかった。
4. TMSの評判分析を用いて、審査報告書の文章の内容が「肯定的」なのか「否定的」なのかを自動分類する実験を行ったが、専門家の判定と評判分析の判定一致率は低率であった。ただし、肯定的でも否定的でも無い文章」の自動判定と、専門家の判定との一致率が、50%を超えていた。
結論
1.2005年以降に米国で承認された効能効果では、日本でも米国や欧州よりも大幅に遅れることなく承認されていることが示された。今後は、CoDxの保険償還や、CoDxを含めた体外診断用医薬品全体の開発・承認審査体制の整備が課題となると考えられる。
2.EMAのリフレクションペーパーは、コンパニオン診断薬を利用した臨床試験デザインなど具体的開発方法に重点が置かれた内容であった。添付文書に関する調査では、コンパニオン診断に関する記載を積極的に取り入れる傾向は、米国が最も強く、英国、日本の順であった。
3.開発中の登録試験の比較では米国においてphase I-IIと早期試験に集中しており、これらの多くがNIHからのfundingを受けていたのに対し、本邦においては登録試験の絶対数が少ないと同時に公的資金はごく一部であった。これ以上の遅れを回避するためにも今後は制度的な物も含めた公的支援枠組みの一層の充実が望まれる。
4.専門性の高い文書を対象とした形態素解析を行う際は、専門用語辞書を追加するだけでは不十分なであり、それに加えて、解析対象から、新たに用語を抽出し、より特化した専門用語辞書を作成して解析することで、形態素解析の精度はさらに高くなると思われた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201235012Z