乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法についての研究

文献情報

文献番号
201235008A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法についての研究
課題番号
H22-医薬-一般-015
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名城大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 経之(長崎国際大学 薬学部)
  • 鈴木 勉(星薬科大学 薬学部)
  • 新田 淳美(富山大学 医学薬学研究部)
  • 疋田 貴俊(京都大学大学院 メディカルイノベーションセンター)
  • 間宮 隆吉(名城大学 薬学部)
  • 曽良 一郎(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学 医学薬学総合研究科)
  • 池田 和隆(東京都医学総合研究所 分子精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
13,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
覚せい剤をはじめとする乱用薬物による神経毒性や依存症に対する診断法および予防・治療法を開発し、国際的な依存・乱用防止の啓発に役立て、研究成果を社会に還元する。
研究方法
基礎研究では動物モデルを用いて病態解明ならびに候補薬物の探索を行い、臨床研究では診断法の確立、患者サンプルを用いた薬物依存関連因子の探索を行った。
結果と考察
乱用薬物による精神毒性やそれに対する抗精神病薬の作用にエピジェネテック制御が関連していることを明らかとした。大脳基底核神経回路において、直接路のドパミンD1受容体の活性化は薬物依存に関連し、間接路D2受容体の不活性化は痛みに対する忌避行動に重要であることを明らかとした。乱用薬物による精神障害にエピジェネテック修飾に作用するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が有効であること、また、覚せい剤の精神毒性にはコレシストキニン2受容体拮抗薬や、Shati/nat8lシステムを活性化する薬物が有効であることを明らかとした。覚せい剤の精神依存形成や渇望に脳内カンナビノイドシステムの活性化が関与しており、エンドカンナビノイド、2-arachidonoylglycerolの分解阻害剤JZL184は、薬物関連刺激による渇望を抑制すること、テトラヒドロカンナビノールは胎児の発育異常、催奇形性、育児異常を惹起することを明らかとした。メフェドロンは覚せい剤類似の神経毒性を示すこと、覚せい剤の精神毒性にdual specificity phosphatase 1が関連していることを明らかとした。物質関連障害になりやすいパーソナリティを検出する方法であるSubstance Use Risk Profile Scaleの日本語版を作成し、不安感受性や絶望感が高い薬物依存入院患者では問題解決への自信が低下していることを明らかとした。CREB1遺伝子の近傍の一塩基多型は覚醒剤依存患者、アルコール依存患者、摂食障害患者の重症度と関連していることを明らかとした。今までに開発した薬物再使用リスク評価尺度を用い、G蛋白質活性型内向き整流性カリウムチャネル阻害能を有する処方薬(イフェンプロジル)のアルコール依存に対する効果について検討を行った。
結論
薬物依存の診断法を確立するとともに、発症機序を解明し、多くの予防・治療薬候補物質を開発することができた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201235008B
報告書区分
総合
研究課題名
乱用薬物による薬物依存の発症メカニズム・予防・診断及び治療法についての研究
課題番号
H22-医薬-一般-015
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 俊隆(名城大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 経之(長崎国際大学 薬学部)
  • 鈴木 勉(星薬科大学 薬学部)
  • 新田 淳美(富山大学 医学薬学研究部)
  • 疋田 貴俊(京都大学大学院 メディカルイノベーションセンター)
  • 間宮 隆吉(名城大学 薬学部)
  • 曽良 一郎(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 西川 徹(東京医科歯科大学 医学薬学総合研究科)
  • 池田 和隆(東京都医学総合研究所 分子精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乱用薬物による神経毒性や依存に対する診断法を確立し、発症機序を解明し、予防・治療薬を開発することで、研究成果を社会に還元することである。
研究方法
基礎研究では動物モデルを用いて病態解明ならびに候補薬物の探索を行い、臨床研究では診断法の確立、患者サンプルを用いた薬物依存関連因子の探索を行った。
結果と考察
可逆的神経伝達阻止法を開発し、依存形成とその病態に必須な大脳基底核神経回路とその分子機構を解明した。覚せい剤精神依存にエピジェネティクス制御を介した免疫応答が関与することを明らかとした。覚せい剤退薬時に発現する渇望ならびに認知機能障害にカンナビノイドシステムが関与することを明らかとした。大麻活性成分は胎児の発育異常、催奇形性を惹起することを明らかとした。免疫抑制剤、コレシストキニン2受容体拮抗薬、豊かな発育環境および抑制系神経系の活性化や、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、依存性薬物による精神障害を緩解することを明らかとした。薬物依存形成へのshati/nat8l、transmembrane protein 168 および piccoloの関与を明らかとした。
覚せい剤乱用者の前頭葉において活性型ミクログリアの増加が認められ、ミノサイクリンが覚せい剤関連精神障害に有効であることを明らかとした。Substance Use Risk Profile Scale日本語版を作成し、不安感受性や絶望感が高い薬物依存入院患者では問題解決への自信が低下していることを明らかとした。G蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK)チャネルの遺伝子多型が覚せい剤依存と関連することを見出し、GIRKチャネル阻害能を有する薬が再使用リスクを改善させることを見出した。麻薬指定されたメチロンとメフェドロンによる精神障害の発現は、ドパミンのみならずセロトニン神経伝達が重要な役割を果たしていることを明らかとした。脳内でのspinophilin、およびDusp1の発現変化が依存性薬物による精神障害と関連していることを明らかとした。依存性薬物による行動異常を改善するD-セリンの調節にserine racemaseや亜鉛イオンが関与することを見出した。
結論
本推進事業で薬物依存の診断法を確立するとともに、発症機序を解明し、多くの予防・治療薬候補物質を開発することができた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201235008C

収支報告書

文献番号
201235008Z