小児等の特殊患者に対する医薬品の適正使用に関する研究

文献情報

文献番号
201235003A
報告書区分
総括
研究課題名
小児等の特殊患者に対する医薬品の適正使用に関する研究
課題番号
H22-医薬-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 進(香川大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 板橋 家頭夫(昭和大学 医学部)
  • 佐地 勉(東邦大学医療センター 大森病院)
  • 中川 雅生(滋賀医科大学)
  • 網塚 貴介(青森県立中央病院)
  • 中村 秀文(国立成育医療研究センター)
  • 尾崎 雅弘(ユーシービジャパン株式会社)
  • 秋山 裕一(協和発酵キリン株式会社)
  • 賀藤 均(国立成育医療研究センター)
  • 大澤真木子(東京女子医科大学)
  • 牧本 敦(国立がん研究センター中央病院)
  • 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 大浦 敏博(東北大学大学院)
  • 伊藤 秀一(国立成育医療研究センター)
  • 有阪 治(獨協医科大学 医学部)
  • 佐藤 吉壮(富士重工業健康保険組合太田記念病院)
  • 井上 壽茂(住友病院)
  • 河島 尚志(東京医科大学)
  • 石崎 優子(関西医科大学)
  • 近藤 達郎(聖家族会みさかえの園むつみの家)
  • 宮地 泰士(名古屋市立大学)
  • 関口 進一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 宮川 三平(聖徳大学)
  • 村田 光範(和洋女子大学)
  • 中川 聡(国立成育医療研究センター)
  • 横田 俊平(横浜市立大学)
  • 井上 美津子(昭和大学 歯学部)
  • 鈴木 康之(国立成育医療研究センター)
  • 高森 建二(順天堂大学 浦安病院)
  • 吉田 英生(千葉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の小児に有効で安全な薬物療法を提供するために、未承認薬・適応外薬になっている小児医薬品を選定し、それらの医薬品に対して適応症及び用法・用量を確立することである。また、小児に対する新たな適応外薬ができないようなシステムを構築することや現状の医薬品使用において発生する問題に対して解決法を見出し、本邦からこれらを一掃することを究極の目的とする。
研究方法
研究分担者と小児関連学会の薬事委員が、アンケート調査や処方箋の分析等の実態調査、各分科会でのデーターベース構築、海外資料の分析や文献検索等によるエビデンス分析により行なった。
結果と考察
研究分担者は、(1)病棟薬剤師と小児科医の協働に関するアンケート調査、(2)小児用医薬品の開発と小児薬価の関係、(3)内服薬処方箋の標準化に関して、小児薬物療法への適応の問題点、(4)有害事象情報伝達システムの構築、(5)小児治験推進策の海外情報について、(6)日本語版PEDIATRIC STUDY DECISION TREEの検討及び未承認薬・適応外薬のエビデンス研究が行なわれた。また、平成21年度に提案された内服薬処方箋の記載方法のあり方に関する検討会の報告書に関する班員への啓発と関連学会の関連学会薬事委員へのアンケート調査を行なった。
(1)医師は小児薬物療法に関して卒後も定期的に勉強し、薬剤師も小児薬物療法に対する深い知識・経験を身につけ、両者が協働することによって安全かつ有効な小児薬物療法を行なうことが可能になると考えられた。(2)小児科領域の開発承認は平成24年度は2件と少なかった。前年度の5件と比べ減少していた。(3)内服薬処方箋の記載内容の標準化を図ることは基本的に必要であるが、小児への処方を考慮したものが望まれる。(4)日本未熟児新生児学会のHP上でシステムを構築した。(5)欧州においては、小児治験が着実に増え始めていること、新生児を含む全ての年齢について医薬品の適応拡大の指示を出している。(6)日本語版PEDIATRIC STUDY DECISION TREEの検討を作成した。内服薬処方箋の標準化のアンケートに関しては、製剤量記載が小児処方において最も問題となった。小児関連学会の研究分担者は、適応外薬の適応取得や保険償還を得るための適応外医薬品のエビデンス研究を中心に研究が行なわれた。
結論
小児等の特殊患者に対する医薬品の適正使用に関する研究班は最終年度を迎えるが、小児薬物療法はthe therapeutic orphanからの脱却に向けて継続的に多方面からの研究が必要であった。

公開日・更新日

公開日
2013-05-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201235003B
報告書区分
総合
研究課題名
小児等の特殊患者に対する医薬品の適正使用に関する研究
課題番号
H22-医薬-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 進(香川大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 板橋 家頭夫(昭和大学 医学部)
  • 佐地 勉(東邦大学医療センター 大森病院)
  • 中川 雅生(滋賀医科大学)
  • 網塚 貴介(青森県立中央病院)
  • 中村 秀文(国立成育医療研究センター)
  • 尾崎 雅弘(ユーシービージャパン株式会社)
  • 秋山 裕一(協和発酵キリン株式会社)
  • 賀藤 均(国立成育医療研究センター)
  • 大澤 真木子(東京女子医科大学)
  • 牧本 敦(国立がんセンター中央病院)
  • 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 大浦 敏博(東北大学)
  • 伊藤 秀一(国立成育医療研究センター)
  • 有阪 治(獨協医科大学 医学部)
  • 佐藤 吉壮(富士重工業健康保険組合太田記念病院)
  • 井上 壽茂(住友病院)
  • 河島 尚志(東京医科大学)
  • 石崎 優子(関西医科大学)
  • 近藤 達郎(聖家族会みさかえの園むつみの家)
  • 宮地 泰士(名古屋市立大学)
  • 関口 進一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 宮川 三平(聖徳大学)
  • 村田 光範(和洋女子大学)
  • 中川 聡(国立成育医療研究センター)
  • 横田 俊平(横浜市立大学)
  • 井上 美津子(昭和大学 歯学部)
  • 鈴木 康之(国立成育医療研究センター)
  • 高森 建二(順天堂大学 浦安病院)
  • 吉田 英生(千葉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児医療現場では、個別医薬品の薬事法で承認された効能・効果や用法・用量による使用以外の方法で使用している実態が数多く見られる。また、個別医薬品の添付文書の中には小児に対する使用上の注意として、「本剤の小児に対する使用経験は充分でない」などの記載がよく見られる。このような小児薬物療法においては、効能・効果などの承認事項又は添付文書による使用上の注意といった薬事法よりも、医療現場による使用実態が先行する傾向が多く見られる。これは、小児に対する治験実施の困難さや、対象患者が少ないことによる企業の採算ベースに乗らないなど様々な理由が考えられる。このような小児薬物療法環境を医薬品の適正使用の視点から解決を図るものである。
研究方法
各研究者は、アンケートや実態調査を含む調査研究や文献検索などによる医薬品のエビデンス研究により行なった。研究内容は、(1)小児薬用量のガイドライン作成、(2)適応外薬の有害事象の共有システムの構築、(3)欧米等の小児医薬品制度の本邦への導入法、(4)「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」への選定医薬品のエビデンス研究である。
結果と考察
(1)小児薬用量のガイドラインは作成できなかったが、方向性を提示した。小児薬用量の設定は、Augsbergerやvon Harnackの計算式からの脱却であり、個々の薬物動態を検討するアロメトリー法、生理的薬物動態理論に基づくアプローチや母集団薬物動態利用などでなされる必要がある。また、製造販売後調査による薬物使用実態に基づいた小児薬用量の設定も必要である。(2)日本未熟児新生児学会のHP上に構築でき、運用可能になった。各関連分野を含む全体の統合システムを作る必要がある。(3)本邦でも、欧米に見習って、小児治験をしても利益を得ることが出来るようにインセンティブをつけると同時に成人治験時の小児治験の法令化を企業に課すようにしないと、新しい適応外薬を生み出す土壌が無くならない。(4)小児関連学会の実績評価として、解決された医薬品の添付文書が総合報告書に掲載された。
結論
日本における小児薬物療法の適正使用に関する厚生労働科学研究補助金(前厚生省)は、平成10年度から始まり、14年間テーマを変えながら続けられた。主体の研究は、本邦での小児の未承認薬・適応外薬を解決することである。その間に、医師主導治験が日本医師会治験促進センターの協力で可能になり、臨床治験をせずに承認・認可を受ける公知申請が可能になった。そして、未承認薬・適応外薬を解決する行政主導の委員会が作られ、多くの未承認薬・適応外薬が解決された。その下支えてとして、この研究班が担っており、小児関連学会の薬事委員の活動によるものであった。しかし、小児薬物療法は、これ以外にも多くの問題があることがこの研究班により明らかにされた。また、時代とともに変化する小児薬物療法や臨床試験における倫理的問題などがあり、最も継続性の求められる分野であった。

公開日・更新日

公開日
2013-05-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201235003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
科学的根拠に基づいた薬用量の設定法、小児薬物療法の薬剤と疾患との関係におけるエビデンス評価法及び暗号化通信を中心とした個人情報保護対策に講じた情報システムの開発などを中心に成果をあげた。
臨床的観点からの成果
小児関連学会からの選定された各種未承認薬・適応外薬が本邦で承認・認可され、添付文書に反映され、小児薬物療法の適正化に寄与した。薬剤副作用データベースシステムを日本未熟児新生児学会のホームページ上に構築した。小児医薬品開発のための日本語版PDIATRIC STUDY DECISION TREEの作成を行なった。
ガイドライン等の開発
小児へのボツリヌス治療における国内エキスパートオピニオン(根津 敦夫)
小児呼吸器感染症ガイドライン 2011、日常診療に役立つ小児感染症マニュアル  2012
重症心身障害児(者)気管支喘息診療ガイドライン2012(日本小児アレルギー学会、日本小児呼吸器疾患学会、日本重症心身障害学会)
小児の漢方薬の手引き(平成24年度 研究報告書)
その他行政的観点からの成果
「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、小児関連学会の薬事委員会で選定された多くの医薬品が検討され、公知申請を含む開発が「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」制度を用いてなされた。
その他のインパクト
厚生労働科学研究成果発表シンポジウム2010.10.23

発表件数

原著論文(和文)
98件
原著論文(英文等)
58件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
215件
学会発表(国際学会等)
27件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
藤田彩子、千葉幹夫、寺田智祐、中川雅生
小児悪性腫瘍の治療における適応外使用の実態
日本小児臨床薬理学会雑誌 , 23 (1) , 104-106  (2010)
原著論文2
石崎優子、宮島祐、大塚頌子、他
日本小児心身医学会員の18歳以上の発達障害患者に対する薬物治療の意識と実態に関する調査
日本小児臨床薬理学会雑誌 , 23 (1) , 124-127  (2010)
原著論文3
藤田彩子、千葉幹夫、宮口美由紀、他
小児薬物療法における薬物相互作用に関する医薬品の処方実態
日本小児臨床薬理学会雑誌 , 24 (1) , 86-89  (2011)
原著論文4
冨家俊弥、若林仁美、大内美由紀、他
添付文書上に記載された投与量および小児薬用量の推定式より算出された投与量と実際の処方量との比較
日本小児臨床薬理学会雑誌 , 25 (1) , 95-99  (2012)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235003Z